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「え、え?何で黙っちゃうの?」
「ヘビは普通喋らないから……えーっと、何処から夢なんだ?」
赤い空を見てアウェクルに乗ってこの遺跡まで来たはずですが、何処から夢だったのか考えてみるとそもそも赤い空だった時点でおかしいわけで。
そう考えてみると、起きた時点で夢の中だったという事。
なんで疑問に思わなかったんだろうと少しばかり悩もうとするわけですが、ペチペチよりも強いゲシゲシという擬音ぐらいのいつもよりちょっと強めのアタリの強い攻撃を撫子がしてきます。
「痛いって……え?」
「そう。痛いでしょ?夢じゃないから」
「いやいや。ヘビは喋らないよ?」
「だーかーらー。喋っているわけじゃなくてこのロボットの中でだけ意思疎通が出来るようにしたの」
「誰が?」
「私が」
「なんで?」
「だってー、いつまで経っても何もしないんだもん!」
「どういう事?」
「普通、ロボットがあったら動かそうとするでしょ?」
「まあ、うん。というか、実際ここまでしてきたわけだから動かせるように色々と試したよ?」
「もう少し閃いたり、私が木を持って来た時点で察することぐらい出来るでしょ?」
「いやぁ、それは無理かなぁ」
「なんで!?」
何でって言われても、一応休みもとりながらだけど借金返済もあったし生きるためには多少なりともお金が必要。何もしないでロボットの事だけを考えるという事も無理だったわけで。
どう説明をしたらいいか考えていると、また無言になってしまうわけですが、撫子的にはそれは困る話みたいで、ぺちぺちといつものように叩いてきます。
「だーかーら。無言はやめて!」
「いや、考えていただけなんだけど……というかいつもこんなに喋っていたの?」
「そうよー?まあ、聞こえていないというか反応がないからたのし……困っていたんだけど」
絶対楽しんでいたって言おうとしていたみたいですが、反省の色はなさそうで。
「やーっとロボットが動かせる状態になったのに、全然反応も良くないし、どうしちゃったの?」
「どうしちゃったの?って言われても、ロボットの動かし方なんて分からないよ?」
「あれぇ?」
そうなの?って不思議そうにこっちを見てきますが、知らないモノは知らないわけで。
「視線を合わせるのは出来たでしょ?」
「うん」
「あとは動ければいいのかしら?」
「まあ、そうなるのかな?一応起動しますかって表示が出たのは……」
「それはちゃんと『はい』を選んだのを見ていたわよ?」
少しだけ考えるようにいつものお腹の辺りですりすりと撫子はしているのですが、ちょっとだけいつもとは違い今日はくすぐったい感じ。
「じゃあ、後は歩ければここから出られるって事ね?」
「ココから出て、どうするの?」
「え?何しにここに来たか忘れちゃったの?」
「何しに?…………」
少しだけ悩むように考えてみますが、遺跡にこっそり何しに来たのか。
正直そこまでの大きな理由があったかと考えたのですが、何かあったかな?って顔をすると、さっきと一緒でゲシゲシと強めのコミュニケーションを撫子がとってきます。
「赤い空をどうにかしに来たんじゃないの?」
「あー、うん。赤い空ね。うん、うん。でもあれってどうにか出来るの?」
「どうにかするためにここに来たんじゃなかったの?」
「いや、まあ、出ちゃダメって言われて反抗するような気持ちで寝床から出た感じはあったけど、初めて見た時もそうだったけど、どうにかできるような相手かなぁ?」
「まあ、普通の人間や身体強化を使った人間ではかなりそれこそ無茶をしないとダメだと思うけど、この子がいれば大丈夫よ!!」
撫子が器用に尻尾をつかってヘルメットの一部を叩いてきます。
「この子って、このロボットだよね?」
「そう」
「名前ってあるの?」
「勿論」
「でも、さっきはアンノウンって出たんだけど」
「あれぇ?そうなの?じゃあ、アンノウンでいいんじゃない?」
思わず「雑っ!」と言いたくなるぐらいあっけらかんと撫子が言いますが、名前ぐらいはあった方がいいような気がするわけですが、勝手に名付けるわけにもいかないのでまあこのままでもいい様な感じもあって。
「じゃあ、歩けるようになったら色々と進むって事ね?」
「多分?」
「えーっと、そうしたら……このままだとダメだからちょっと中に入るわね?」
そう言って許可など全くとるつもりはないみたいでさっきと同じようにヘルメットの中にしたからにゅるんと入って来るのですが、さっきは右側を占拠するような形でしたが、今回はさっきまでのような遠慮をするつもりも全くなさそうで、しっかりと真ん中の首元から入ってきますが、真ん中というのもあって左右の端の方のナニカが少しだけ読める程度。
何をしているのかはさっぱりわからないままですが、ちらっと先程右側で見えていたような文字が出て来ては崩れるものが目の前で色々と起こっています。
「えーっと、なるほど?今はチュートリアル中だから、これをこうして、あーして、こっちはこれで……とりあえず動くにはこの辺りでいいかしら?」
一人色々とぶつぶつと撫子が喋ったかと思ったら、入ってきた時と同じような速さでスッと抜け落ちると目の前には「歩き方」の一文が。
「これで、歩けるはずよ?」
どうやらチュートリアル再開みたいですが、えーっと……夢の中ではないみたいです。
喋る相手が居るって素晴らしい!
一人黙々も悪くないけど、喋れると筆が進みます。
そして、ついに、やっと、ロボットが、動く!
いやぁ……ここまでが長かった。。。
ココからは楽しくなるといいんだけど……説明……なしで突っ走るのも一つかな?




