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The ability  作者: 不破陸
Bandits
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99/112

13.空奏

赤眼の男が荒野を歩けば、そこには花が咲き乱れ、森林が生まれ出で、小鳥の囀りや鹿の鳴き声が聞こえてくる。


それらを背後にしてツェン=フォーカスが極東にある小さな島へと歩を進めた。





自室にいるシェルアードをウェーブのかかった長髪の女―――メリュアラーゼが訪ねる。


「ソーマから話は聞いてる。大丈夫?」


「ヤツの名前など聞きとうない」


膝を抱えて壁際に蹲っている黒髪の女が答えた。


「辛いよね」


「リリィのノートは見たのじゃろう?オヌシは辛くないのか?」


嗚咽のような呟きに長身の女がシェルアードの前に膝をついて答える。


「驚きはしたけどシェラほどじゃない思う。シェラはソーマとの付き合いが長かったから気持ちは分かる。私だって兄さんが卑怯な隠し事してたら許せない」


「ワシにとっての弟達を騙していたことは卑怯者のすることじゃ」


浅黒い肌の女が優しくシェルアードを抱きしめる。


「大丈夫」


「ワシ等は裏切られたのじゃぞ」


震える肩を抱いてメリュアラーゼが告げる。


「理由があるのよ」


「オヌシはその訳を知っておるのか?」


顔を上げたシェルアードにメルが首を横に振った。


「皆を集めてる。信じてもらうために」


自分へということを理解したシェルアードが顔を袖で拭って立ち上がる。


「すまぬ。心配をかけた。話もせずに疑うワシが愚かだったのぅ」


「納得できなきゃ叩いてあげなさい」


「うむ!!言われんでもそうするわ!!」


二人の女が会議室へと向かっていった。






青眼の巨漢が王女の部屋で上質な椅子に座っている。


「どうぞ」


栗色の髪の少女がテーブルにブラックコーヒーを差し出した。


「選択の時が来る」


対面に座るシルファにクィンがそう告げた。


「バーズ、私は」


「クィンと呼べ」


言葉を遮られ視線を落とした少女が先の言葉を続ける。


「私はあなたといることを選ぶ。エルもそう思ってる」


「バーズの決断に委ねるということだな」


「あんなのどうでもいいよ。エルは絶対に私と同じ考えだから」


光ることのない青い眼が少女を見つめる。


「明日、審判が下る」


そう告げた青い双眸は暗い輝きを放っていた。

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