6.追憶
「じゃあな、リネア」
赤眼の男が娘に告げた。
「また会いにくるよ。その時はサラにも」
「それはそれは、楽しみにしてるわぁ」
リネアの言葉を背に、二人の巨漢、二人の子供が赤眼の男と共に東国を後にした。
「シルファ姫への定例報告の内容を共有しましょう」
銀髪の男―――ソーマが椅子に座る5人にそう告げた。
会議に参加している3m程の甲冑は椅子が壊れるため立っている。
「毎度思うんだがよぉ、報告含めてこれやる意味あんのか?」
青眼の少年の言葉に長い銀髪を後ろで結った男が返事をする。
「ここを拠点として使う以上は必要なことですよ、バーズ君。元々はガンシュートさんとメルさんが暮らしていた場所ですから」
「クィンの野郎が王国から姿を消してから孤児も増えていくばかりだ」
モジャモジャの赤髪と髭を蓄えた男がそのまま続ける。
「ここを使うのは構わない。だが何度も言うが、お前が城に戻った方が話が早い」
ガンシュートの言葉に両の掌を天に返してバーズが言う。
「こっちも何度も言うけどよぉ、俺は天上への上り方を知らねぇんだ」
そのまま天を指してバーズが続ける。
「だからクィンと違って死人を生き返らせるとかもできねぇ。空位に就くだけの王なんざゴメンだな」
「それなら殺しはやめていただけませんかねぇ」
銀髪の男―――ソーマが諫める。
「強殺すんなら殺されたって文句ねぇだろ。あのカス野郎、突然消えやがって」
クィンがいなくなってから荒れ始めた国を憂うバーズが歯噛みしながら言った。
自分が城に戻っても治安を維持できないこと、父との圧倒的な統率力、求心力の差を悔しく思いつつ。
「メイルと初めて会った時のことを思い出しますね」
佇む巨大な甲冑を見やりながらソーマが言った。
「あの時は本当にバーズ君が殺されるんじゃないかって思いましたから」
「負けは負けだ。それより報告会議じゃなかったのか?」
くすっと笑った銀髪の男が返事をする。
「ええ、会議ですよ。ですから昔話をするのも良いかな、と」
巨大な甲冑が少しだけ揺れた。




