5.使命
「精が出ますねぇ」
バーズ達に近付いた40歳ほどの銀髪の男が声をかけた。
「おお、師匠。メイル。何処に行っておったのじゃ?」
「シルファ姫へご報告することがありまして、王宮の方へ」
「は?おいソーマ」
声を上げたバーズが長い銀髪を後ろで結った男に詰め寄る。
「シルファに会いにいくんなら俺も連れてけよ」
「頭領を連絡係に?できる訳ないでしょう」
「ちっ、次からは伝えてから行きやがれ」
舌打ちをした青眼の少年にソーマが告げる。
「バーズ王子とクィン王が王宮にいらっしゃれば、こんな手間も必要ないのですけどね。バーズ=プラストゥ様」
「あのカスを王だの俺を王子だの」
大剣をソーマの喉元に突きつけたバーズが吊り上がった大きな眼を邪険に歪めて告げる。
「殺すぞ」
銀色の眉を微動だにさせずソーマが応じる。
「頭領が王宮に出向かれることの意味、お分かりですよね。私のような書士が参じるのとは違うのですよ」
青い瞳を見つめながらソーマが続ける。
「バーズ君が城から離れて盗賊まがいの行為を続けていなければシルファ様とお会いするのは日常でしたけれどねぇ」
剣を引っ込めた青髪の少年が叫ぶ。
「だーっ!!分かったよ!そのイヤミな言い方やめろ!!」
王子が王宮へ戻ってきたと民衆が知れば、どのような騒ぎになるかをバーズも理解していた。
「会いにいくならいつも通りお忍びでお願いしますね」
「バレてんのかよ」
「オヌシの姫への想いを知らぬヤツなどここにはおらんぞー?」
にやにやとした表情でシェルアードがバーズに言う。
「そっちのことじゃねーよ」
「からかい甲斐のないヤツじゃのぅ」
胸を張ってバーズが告げる。
「はっ!想いに人目は関係ねぇな。ここが城下町でもシルファが好きだと叫んでやるぜ」
「姫様のことも考えてあげてくださいね」
木々の中から姿を現したウェーブのかかった長髪の女―――メリュアラーゼが10人ほどの子供を連れてそう言った。
各々がキノコや木の実でいっぱいになった籠を手にしている。
「考えてるから言ってんだろ」
「それされると恥ずかしいですよ」
口をへの字にしてバーズが押し黙った。




