4.王国
しばらくすると洞窟から巨大な剣を担いだエルとシェルアードが出てきた。
剣といってもただの黒い鉄板のような物体だが。
「バーズには分からないかもしれないけど、これホントに重いんだからね!自分で取りにいってよ!」
「何事も修行じゃ、修行」
そう言った二人が地面に置いた剣の柄をバーズが握る。
50cmほどある柄を掴むと、2m以上ある刀身が水のように透き通った。
「俺が持つと洞窟が壊れちまう」
200kg以上はある剣を軽々と片手で振り回す。
「ちょっとどいてろ」
青髪の少年がガンシュートを横に払い、積み上げられた丸太の前に立つ。
力を込めるでもなく振り下ろした刀身が丸太の間を通過した。
「あぶねぇからあんま振り回すなよ、王子様」
「もう王子じゃねぇ!カス野郎が捨てた国のことなんざぁ俺の知ったことか!」
そう言いながらバーズが野菜を切るように次々と丸太を切断していく。
30kgほどに切り揃えられた丸太を持ち上げたガンシュートが、エルとシェルアードに放り投げる。
「ふっ!!」
シェルアードが飛んできた丸太の中心を拳で叩く。
「はっ!!」
同じように飛んできた丸太をエルが蹴り上げる。
分割され、薪の形となった木材の雨が降る中、シェルアードが叫ぶ。
「遅いぞ!!まとめて投げろ!!」
「師匠!?あの量をですか!?」
驚愕するエルに黒髪の女が答える。
「ガンシュートの力を侮っておらぬか?あの程度なら余裕じゃろう」
「いえ、そっちじゃなくて!」
飛んできた丸太にシェルアードが流れるような動作で手首を滑らせると、美しいまでの均整な形に丸太が六分割された。
「オヌシもワシの弟子ならこのくらい捌いてみせろ!」
飛んでくる丸太に突きや蹴りを繰り出すエルを銀髪の男が眺めている。
「10年前でしたかねぇ。シェラに護身術を教えたのは」
男の隣に立つ3メートル程の鎧が頷く。
「そろそろですかね」
そう言った男が薪割りを続ける少年たちに近付いていった。




