2.共存
「おーい、肉が足りねぇぞ」
「ワシは給仕係ではない!自分で取ってこい!!」
シェルアードの返事に屈強な肉体をした男が席を立つ。
数十人いる子供たちが食事をとっている食卓の合間を縫い、声をかけながら赤毛の男が歩く。
2mほどもある筋骨隆々の、見るからにいかつい見た目の髭男であったが子供たちは嬉々とした表情を見せていた。
「ガンシュート、食事が終わったらまた遊んでー」
「だめ!私と遊ぶの!」
言い合う子供たちを窘めてガンシュートと呼ばれた男が洞窟の中を行く。
岩をくり抜いた天然のキッチンに赤毛の男が入った。
「メル、肉追加だ」
「お肉は切れちゃったから魚しかないよ、兄さん」
ウェーブのかかった長髪の女が応じた。
「じゃあ魚でいい。どうせ使い切らなきゃならん」
「座ってて。すぐ持ってくから」
髭の男が席に戻る中、メルと呼ばれた二十歳ほどの女がダークブラウンの長髪を揺らめかせ、キッチンで魚を捌く。
洞窟を活用しているためキッチンなどとは呼び難い穴倉で、軽く塩で揉んだ魚に刻んだ大葉を盛り付ける。
当番制では手が足りなくなっている昨今はメルも手伝っているが、彼女にとってそれは嬉しい出来事でもあった。
徐々に増えていく子供たちを餓えさせないことを喜び、バーズ達が取ってきた大量の魚にも感謝していた。
「お待ちどおさま」
そう告げた長髪の女が、刺身やカルパッチョ等の魚料理を机に並べると子供たちから歓声が上がる。
「メリュアラーゼさんありがとう!」
一斉にお礼を告げて貪るように皿をつつく子供たちを尻目に、胴着を着た黒髪の女が肩を落として言う。
「ワシの料理は不味いのかのぅ・・・にしても露骨じゃ・・・露骨・・・」
「僕は師匠の料理も好きだけどなぁ」
自身と同じ程の年齢の女が作った料理を食べながらエルが気遣う。
「性格の問題じゃねーの」
目の前にあった料理を平らげた青眼の少年が告げた。
その言葉に立ち上がったシェルアードが拳を握り締める。
「ワシの何処に問題があるという!!」
「そういうとこだろ」
ターバン風な布を頭に巻き付けている青髪の少年が言葉を返した。
机にもたれ掛かったシェルアードが隣に座る金髪の少年に絡む。
「エルー、酒持ってきてくれー」
「これ以上はダメです!師匠もそこは線引きしてください!ただでさえ最近物資が足りないんですよ」
くどくどと弟子から小言を告げられる長い黒髪の女が、やがて酔いつぶれてガーガーといびきをかきながら眠った。




