1.再開
「・・・-ズ!ねえバーズったら!!」
金髪金眼の少年に体を揺さぶられながらそう言われた青髪青眼の少年が眠りから目を覚ます。
「何だよ、エル」
「釣りに行くって約束してただろ。いつまで寝てるんだよ」
バーズと呼ばれた青い眼をした少年が天を仰ぐと、それは燦燦と輝いていた。
「もうそんな時間かぁ」
大樹を背にし伸びをすると黒が混じった青髪の少年が立ち上がる。
「暗くならないうちに行こうぜ」
ターバンのように頭に布を巻きつけている青眼の少年の言葉に金眼の少年が苦笑しながら言う。
「誰のせいだと思ってるんだよ」
「ちょいと良い夢見てたんだよ。お詫びと言っちゃなんだが新作の釣り竿を貸してやるぜ?」
「そう言ってボロ竿を僕に押し付けるつもりだろ?いいから行こうよ」
歩き出した金髪の少年の後を青髪の少年が追っていった。
「大漁大漁ー!」
バーズが次々と川から魚を釣り上げる。
「ハッハー!こりゃ勝負にもならねぇなぁー!」
「勝負してるつもりはないけど」
折れた竿を持ったエルが流れに針を任すように糸を垂れている。
「釣れそうもないから枝でも集めてくるよ」
溢れそうになっている魚籠を見た金髪の少年が生い茂る木々の中へ姿を溶け込ませた。
「用意できたよー」
「あいよ!」
組んである焚き木に、青髪の少年が枯草を巻きつけた小枝を滑らせる。
一瞬にして燻る枯草に息を吹きかけ、勢いよく燃え上がり始めたそれを焚き木にくべる。
火の回りにエルが枝に刺した魚を並べる。
パチパチと音を立てる焚火の横で、青髪に青い服、青い眼をしたとにかくすべてが青い少年が串を手に取る。
「こうした方が早く焼けるんじゃねぇ?」
火の中に魚を突っ込んで少年が言う。
「ん-・・・どうかな」
ニヤリと笑いながら金眼の少年が答えた。
「塩貸せ」
「さっきかけたよ」
「そうかぁ?何か足りねぇ気がすんだが・・・」
「気のせいだよ」
「ふーん。そうかい!」
そう叫んだ青眼の少年が金眼の少年の口に焼けた魚を突っ込む。
「んんんンンあああアアーーーー!!!??」
「苦ぇだろ!!モツ取ってネェからなァあ!」
金髪の少年がバーズの腕を抑え込んだ。
そのまま青髪の少年を押し倒し、金の眼を見開いた少年が言う。
「普通に考えて火傷するよ!!」
「僕も普通に考えて苦いと思いまーす!」
腹を蹴り上げエルの身体を跳ね飛ばしたバーズが、焼けている魚を頬張りながら言う。
「下手な小細工しやがって!こいつぁ全部俺様のモンヴッァアアアアアア!!」
口から火を噴くような勢いで叫んでいる青髪の少年をエルが笑う。
「それ食べられないヤツ」
「何じゃ、オヌシ等」
唇を腫らしている二人に長い黒髪の女が問う。
「なんでもねー」
「いつものことだよ。シェラ」
魚が詰め込まれた大漁の魚籠を目にした黒髪の女がエルに言う。
「今日の稽古は中止じゃ」
「ふーん。そりゃまた何で?」
金眼の少年の問いかけに、彼等が持つ魚籠を手に取り黒目の女が言った。
「今日の食事当番はワシじゃ。この量は捌き切れなくてのぅ」
「じゃあコイツ持ってけよ」
シェラと呼ばれた女性の前にバーズがエルを押し出す。
「僕にも予定ってものが」
「ワシとじゃイヤか?」
黒目の女がエルの眼前で、にッと笑う。
金色の眼でその黒い瞳を見つめているエルが頬を赤らめて答える。
「お手伝いさせていただきます。シェルアード師匠」




