85.ALL GUNS BLAZING
高い塀に囲まれた屋敷の前に赤眼の男が降り立った。
目の前に見える通用門へ男が進む。
ガラの悪い警備が二人いる。がなりたてるそれ等を通用門ごと薙ぎ払った。
赤眼の男が広い庭園の中、遠くに見える屋敷へ歩を進める。その足跡からはマグマが沸き上がっていた。
沸き上がる熱波に放し飼いされている番犬が逃げていく。瞳に黒点を浮かべた赤眼の男が屋敷の入り口を突き破る。
全ての障害物を燃やし、溶かし、黙ったまま進む。途上にいた人間は近付いた瞬間に蒸発した。
迷路のような邸内を赤眼の男が道もおかまいなしに練り歩く。
溶けた壁を進んだ先に恰幅の良い男がいた。
「何だね、君は」
政務室でワープロを叩く手を止めて男が言った。
「指輪はメた女が来タカ?」
片言な言動に男が答える。
「分不相応な指輪を所持していた娼婦なら処分した。ところで君は」
「処分?」
赤眼の男の左手が震える。
「この国の法だ。誰かいないのか!この男を連れ出してくれ!」
「いネぇヨ。処分シタ」
通じない言語を吐いた男の周囲からマグマが噴き上がる。
沙羅の笑顔が脳裏に浮かんだ男が、彼女のために、二人のために建てた家を想う。
屋敷と、その周囲一帯がツェンの体から発される衝撃波により消し飛んだ。
誰にも指輪の価値が分からなかったため沙羅は連れていかれていなかった。
その後、沙羅が身籠ったことを知った男たちが彼女にすり寄る。
ツェンがばら撒いた貴金属の価値を知っているからだ。
子供の面倒を見させてほしいとか、中には自分の子と言い出す男もいた。
だが全ての町人が黙ることになる。
生まれた子供の赤い瞳を見た瞬間に。




