79/112
79.土壌
「あれ?そういえばログは」
国境沿いのレストランで郷土料理を食べながらエルが言う。
「しばらく一人にしてほしいそうだ」
青眼の男の言葉に金眼の少年がつるんとパスタを飲み込む。
「そっか・・・そうだよな」
二人を思い浮かべたエルが呟く。
常に強張った表情のログがルーチェといる時には多少それを緩ませていた。
指を遊ばせる少年にバーズが言う。
「少しすれば帰ってくるさ」
「そん時はまたカップラーメン食わせてもらお」
「そいつぁ」
「それはね」
青い眼を光らせる男にシルファとツェンの言葉がかぶる。
「お前がいなかった時、リネアとログに二人を預けることがあってねぇ」
「ビルで鬼ごっこするとすげぇ楽しいんだ」
バーズの脳裏に逃げた猫を捕獲するかのようなログの姿が映る。
「分かってるよ。人がいるとこで迷惑はかけない」
ログの記憶の中では廃ビルを駆け回る笑顔のエルがいた。
「少し見ない間に随分と成長したものだ」
そう告げられて笑顔になるエルを見た男の姿が、誰にも気づかれない程度に少し透けた。




