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77.和解
「とても安心しました」
そう言った修道女の顔を疑惑に満ちた眼差しでログが見つめる。
「以前ここに来られた時は、酷く思い詰められて・・・誰かを殺してしまいそうな目をしていましたから」
思い悩んだ男が口を開く。
「赤眼の男を殺したかった」
小箱を見つめている男に女が告げる。
「許せたのですね」
「いや」
椅子から立ち上がったログが言葉を続ける。
「俺の勘違いだった」
己の言動を恥じた男が言い直す。
「勘違いだったんです」
俯く男を優しい声色が包み込んだ。
「今は誰かを守る目をしています」
少しの沈黙の後、ログが天を仰いで言う。
「それでも、俺はルーチェを殺した」
「その方の・・・何かを守るためだったのでしょう?」
小箱に置かれた認識票を見た女が告げる。
「そう、願いたいです。ありがとうございました」
そう言って立ち去る男の背に修道女が言葉を投げかけた。
「私はそうだと思います」
教会を出ると雪合戦をしている子供達がログの目に映る。
その姿を確認した青眼の男が告げる。
「宿についたら話すことがある」
バーズの青い瞳を見た黒髪の男が黙ったままその前を通り過ぎた。




