70.移ろい
「シルファ、君の将来のことも考えなければならない」
エルに押しのけられている栗色の髪の少女に青眼の男が告げる。
しゅんとした表情を見せていたシルファが畏まる。
「さっきも言ったが気楽に聞いてくれ。ツェンが作っていた資料は見たんだろう?」
「企業への斡旋リストのこと?」
「それについてだが、就業にはまだ早すぎる。あいつが問い合わせた大学や、ソフィアのコネで研究の手伝い等は紹介できるが・・・君はどうしたい?」
筋骨隆々の男が真剣な眼差しで、だが優しく少女に問いかける。
「それは・・・いつまでも、ここにいる訳にはいかないけど・・・」
言い淀むシルファに青眼の男が告げる。
「ハイスクールに入る年齢まではここで暮らすといい」
「じゃあ・・・その・・・ええ、と・・・」
表情を明るくした少女が、しかしもごもごと口を開きあぐねる。
青い眼を光らせ、ただこちらを見つめているバーズにシルファがようやく言葉を発した。
「エルと一緒の学校に行きたい!」
頷く青い髪の男にシルファが続ける。
「私、大人とばっかり一緒にいて、趣味とか友達なんてなくて、だから」
「分かっている」
多弁になった少女の言葉を青眼の男が遮る。
「来年の春から通えるよう手続きを済ませておこう」
幸福でにやけた頬を金髪の少年がつつく。
「一緒にいっぱい友達作ろうぜ」
「うん!」
笑いながらシルファが答えた。




