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68.緩急
シルファが自室に戻ったのを確認したツェンが、いつかの言葉を思い出して告げる。
「シルファちゃんのこと『心根はまだ子供だ』って言っておいて、お前さんのデリカシーってヤツが心配になるぜ」
「俺にはお前が見てきたものが見えている」
「それが何だって・・・」
そう言いかけた赤眼の男が思案し再び口を開く。
「そっか」
「俺はそれを忘れることも、記憶を朧気にすることもできない」
「そうだったよな」
ツェンが誤魔化すように軽く笑った。
「話の続きをしようか」
「1200年前だっけか?今更そんなもん知ってどうなんのよ」
少しの沈黙の後、青眼の男が言う。
「そうだな。無意味な話だ」
「いいんじゃねぇか?シルファちゃん達にはお引き取り願って」
無言のまま青い眼を伏した男にツェンが告げる。
「また二人で仲良くやろうぜ」




