48.殺意と愛
「本日はご馳走様でした。失礼いたします」
「またな」
深々と頭を下げた女が事務所の扉を開け去っていった。
送り出したその姿を確認したシルファがバーズを見て告げる。
「あの人、私たちを探っているようで嫌」
「探られて困ることでもあるのか?」
青い髪をした男の答えにブラウンの瞳を伏せて少女が答える。
「私は・・・」
「どうかしたのか」
玄関からリビングに戻ろうとするシルファの頬をエルが突く。
「何でもないから人の体に軽々しく触るのは止めて!」
「いつもお前は俺の頬を摘まむじゃねぇか」
「今は止めて」
「お前がそういう顔してるからだろ」
ムスっとした表情を浮かべて金眼の少年が少女の目を見る。
「アイツが原因なんだろ」
「君と馴れ馴れしすぎるからよ」
そう言われた少年が困惑しながら言葉を返す。
「先生と何が違うんだ?」
「それが嫌なの!!」
「もういいや」
しばらくいがみ合った後にエルが自分の部屋へ戻っていった。
追いかけはしないが寂しそうにしたシルファが黙って食卓の食器を片付け始める。
「悪ぃな。シルファちゃんはあんまり気にしなくたっていいんだぜ?」
赤眼の男にそう言われたブラウンの瞳の少女がキッチンへ向かう。
「なあ」
その後姿を見たツェンがバーズに声をかける。
「俺は女の子を悲しませたくねーのよ」
「俺も子供たちが悲しんでいる姿を見たい訳ではない」
青い瞳を赤い眼にやる。
「毎度毎度言ってることだがよ、言い方ってモンがあるだろ」
「これが最善だ。お前に指図される謂われはない」
「そうかい」
ふ、と息を吐いてシルファの後を追ったツェンが言う。
「あの娘については説明しろよ。じゃなきゃもう手伝わねぇ」
自分に背を向け、栗色の髪の少女の横に立つ黒髪の男を見たバーズがその背を眺めていた。
「大体は分かったよ」
「ならばいい」
赤眼の男が指を鳴らしながら言う。
「気には食わねぇがな」
「それはお前の勝手だ」
「お前さんは目的に近づこうとしてるのか?それとも遠ざかろうとしてんのか?」
「お前が死にたくないのならば、やり方を変える」
青眼の男の言葉に溜息を吐いてツェンが言葉を返す。
「へぇへぇ、そこは最初の約束通りでいいですよ」
「お前との約束は守る」
バーズがそう言うと、赤眼の男は不服そうな顔をして部屋から出ていった。
「ねえ、入るよ」
何度もしたノックの返事が無く、栗色の髪の少女が扉を開けた。
黙ったままの少年が座布団に座り、TVゲームをしている。
「隣、座るよ」
「勝手にしろよ」
TVから視線を移さないが、答えた少年の言葉に少女が安堵した。
「一緒にゲームしていい?」
「勝手にしろって言ってるだろ」
シルファがコントローラーを手にする。
何も言わず、エルが参加承認だけ行った。




