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The ability  作者: 不破陸
The ability
46/112

46.それぞれの日々

「ふー、流石に七人もいると随分と喰ったなぁ」

そう言いながら残った皿を片付け始める赤眼の男に青目の女が苦し気に告げる。

「あの・・・うぉっ、手伝い・・・ます・・・」

「ルーチェちゃんは俺が呼んだお客さんなんだ。気にしないでくれよ」

ツェンが流し場に皿を持っていく様子を見て栗色の髪の少女が言う。

「私の部屋で休みません?ツェンの料理って美味しいから、初めは私も食べすぎちゃったんです」

「うう・・・でも、そんなぁ・・・」

ツェンに続いて皿を持っていくエルの肩越しにキッチンを見た青目の女が再び苦しそうに告げた。

「あそこに・・・ババロアが・・・」

「後で呼ぶからしばらく休んでいろ」

青髪の男がそう言ってホットプレートと食器を手に取るとキッチンへ向かう。

「吐くまで食べる癖は直せ」

「ログがいて・・・隊長とか皆といた時を思い出したら・・・」

黒髪の男の言葉に、食卓へ倒れ込むルーチェが呟いた。

「シルファ、ベッドまで案内してくれるか?」

「はい」

そう答えた少女の先導に赤毛の女を抱きかかえてログが後を追う。

その後ろ姿を見送った黒髪の女は、手持無沙汰に油が飛んだテーブルを布巾で拭った。


「看ておいてくれ」

シルファのベッドに女を横たわらせたログが言う。

「ログさんが看病された方がルーチェさんも安心すると思いますけど」

「食べ過ぎの看病などしたところで無意味だ」

去ろうとする男の太い腕を栗色の髪の少女が掴んだ。

「ルーチェさんが吐いたら私のベッドをどうしてくれるんですか。私一人じゃ介抱もできません」

シルファの剣幕に黙ってログがルーチェが横たわるベッドに腰を下ろす。

「エルに勉強を教える約束があるので後はお願いし」

「昨日の宿題、全部やったから答え合わせしてくれ!」

乱暴に扉を開けて金眼の少年が姿を現した。

その声量にルーチェが悶える。

「部屋に入ってくる時はノックして」

「前に扉叩いたら外れちまって、止めろって言われてるんだ」

おずおずそう告げるエルに呆れた顔でシルファが言った。

「どんな風に叩いたらそうなるの」

「ん?こんな風に」

扉に向かってノックをしようとした少年を黒目の男が立ち上がり、その手を掴む。

「この程度の力で叩け」

掴んだ手でドアを一緒に叩く男にエルが告げる。

「試してみていいか?」

「今は止めろ」

呻いているルーチェに視線をやったログを見て、金眼の少年が握っている手を下ろす。

「アイツ大丈夫なのか?」

「しばらく静かにしてやってくれ」

そう言われたエルがシルファに歩みより、手にしたノートを差し出す。

「俺の部屋で見てくれ。下さい」

「まだ何もない部屋なので、必要があればバーズかツェンに言って下さい。失礼します」

ログにそう告げた栗色の髪の少女がエルと一緒に部屋を出て行った。

寝息を立て始める女の横に座った男が、机の上に置いてある写真立てに目をやる。

自分を含めた6人が写るそれを見て、ホルスターから取り出したリボルバーを解体しては掃除をする作業に耽った。


「何点だった?」

「2点」

採点を終えたシルファがエルに答える。

「それって良いのか?」

「良くはないわね」

100点満点の宿題の結果を見たブラウンの瞳の少女が告げる。

「俺、勉強する意味あんのかなぁ。あんま点数変わらねぇし」

「バーズが出した問題の答えは2点だけど、私から見れば満点みたいなものよ」

怪訝な表情をしてエルが問う。

「どういうことだ?」

「字が読めてるし書けてる」

かろうじて読める文字を見ながらシルファが言った。

「そこは昨日先生に読んでもらったところだろ」

「それを覚えるのが勉強なの。最初は字も読めなかったでしょ」

嬉々とした表情を浮かべてエルが言う。

「俺、頭良くなってんのかぁ」

「元々頭は良いんじゃない?教えたらすぐ覚えるもの」

照れくさそうに笑うエルに少女がノートを開いた。

「間違えたところは直しましょう」

「えー、一緒にゲームしたい」

「直した後にもう一度解いて満点が取れたらね」

見開く金眼で宿題を見つめた少年に、栗色の髪の少女が問題の説明を始めた。

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