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The ability  作者: 不破陸
The ability
39/112

39.悪魔

降車口で腕を組み、赤眼の男が壁に背中を預けていた。

その姿を見つけたログが声をかける。

「不服か?」

「お前の質問に答える意味があんのか?」

苛立った口調ながらも静かに返答する赤眼の男に黒髪の男が告げる。

「バーズ達は次の駅で降りる。身の振り方は考えておけ」

「どうせリネアも一緒なんだろ」

そう言ったまま、ログを見ようともせず赤眼の男が沈黙を続ける。

「バーズがリネアに言った言葉を教えてやろうか?」

「聞きたくねぇな」

視線を合わせないツェンに、ログが言葉を吐く。

「だったらお前はそのままそこにいろ」

「知ったような口きいてんじゃねぇぞ」

腕を組んだままの赤眼の男は、言葉を発した黒い瞳を睨みつけた。

「バーズの目的は知っているんだな?」

「誘導尋問ってことで認識しておくぜ?」

組んだ腕を下ろしたツェンが拳を握りログへと向き直る。

「お前が言った言葉は『バーズだったか?アンタが消える前に俺を殺してくれ』らしい」

「知らねぇな」

自身に近づいてくる赤眼の男に、黒目の男が言葉を続けた。

「その時にバーズはお前に『君の最期を円満に終わらせてやる』と答えたそうだ。『お前との約束は果たす』とも」

壁に背を預けたまま言う男の言葉を聞いた赤眼の男の足が止まる。

「それを知ってるってことは、アイツの言葉だって信じるしかねぇなぁ」

「東国のホテルで芝居をさせられる際に知らされた。音声で聞いた訳ではない」

ツェンがログから視線を外し降車口の窓から空を見やった。

「ホテルに設置されていた盗聴器をわざと残して俺達が芝居をしたのは、お前とリネアを狙う存在を炙り出したかったためだ。明確な情報は得られないまま空振りに終わったようだが」

炙り出すと言う言葉に怒りを感じながらも、赤眼の男がログに対して答えを口にした。

「そうか」

二人の男が無言のまま腕を組んで背中を壁に預けていると、停車しようとする列車の自動扉が開き、黒髪の女が顔を覗かせた。

「あらぁ?お二人様ぁ。私を待っていてくれたのぉ?」

「へぇへぇ、そうでございますよ。お嬢様」

投げやりに言ったツェンがその後ろに立つ青い髪の男を見て更に言葉を続けた。

「テメェは何しに来やがった」

「観光を交えた帰路だと言っただろ?」

肩から力を抜いたツェンが答える。

「テメェに構うだけテメェのことを嫌いになれるような気がしてきたぜ」

「俺はお前の好意など求めてはいない。約束は果たす、それを忘れるな」

青い眼の男の背後に少女と少年を眼に捕らえた赤眼の男が、静かに列車から降りた。


「ここんところ、お前が企んでることがよく分からねぇ」

「俺は目的を果たしたいだけだ。お前に対する企みなどはない」

先を行く4人の姿を捉えてバーズがツェンに言葉を返す。

「その目的がずれてきてんじゃねぇのかって言ってんだよ」

「私も未来が見える訳ではない」

青い眼を光らせる男に赤眼の男が静かに告げる。

「お前さんにとって、リネアの存在は迷惑だったか?」

「迷惑ではないさ。だが彼女はお前と同様に各国から狙われる身になったことは分かっているんだろう?」

青眼の男の言葉を聞きながら、前を歩くリネアの後姿を見ながらツェンが言った。

「そいつぁ迷惑だって言ってるのと変わらないぜ?」

「俺にとって護る対象が拡がっただけだ。お前と同様にな」

その返事に肩をすくめると、前を行くリネアの隣へと歩を合わせた。

「ツェンへの説明はアレで良かったのか?」

リネアの隣を歩いていたログが歩速を落としてバーズの隣に並んで告げた。

「君はよくやってくれた」

「あまり黙っているのも奴等を含めてお互いのためにならないと思うが」

黒眼の男が懐を探りながら言葉を返す。

「ヤツに必要なことは伝えてある」

「お前に都合がいい範囲までの話だろう?」

「君にとって都合がいい話をしている」

青い眼の男が黒目の男を、その目付きで牽制しながら言った。

「お前の話を信じることができない」

「信じさせてやろうか?」

青い眼を光らせる男にログが告げる。

「それでお前が納得できるなら受け入れてやるが、俺からも言わせてもらう。子供じみた真似はやめろ」

「私のやっていることが子供じみているかは、お前が判断しろ」

青い眼を強烈にログへと光らせた男が言った。

「お前の目的は分かった」

黒眼の男が言葉を続ける。

「俺もその願いが果たされることを願う」

そう言って、懐から煙草を取り出したログの手をバーズが制止する。

「この国で喫煙は重罪になる」

「どうにも面倒臭いことばかりだ」

懐に煙草をしまい、黒目の男が言った。

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