33.君を想う日
弾丸が舞う。
リネアに近づく人影にログがマシンガンを撃ち続ける。
防弾シールドを持っている様子もない影が金属音を響かせて銃弾を弾いていることを不思議に思ったログが肩にかけたホルスターからリボルバーを抜くとその内の一体に撃ち込んだ。
「大して効いてなさそうねぇ」
「軽口を叩いている暇があったらさっさと逃げろ。道は作る」
ログがリネアの避難経路を模索しながらも銃撃を受けつつリボルバーを撃つ。
不気味な人影が近付く中、自分を守る男に女が叫んだ。
「いいよ!!私が死んだ方が上手く行くんだ!!お前こそ早くいなくなれ!!」
「できない相談だ」
駈け出すリネアの腕を掴んだログが告げる。
「契約上、俺はお前を守らなければならない」
「悪魔との契約なんかどうでもいいだろ!」
その言葉を聞き、掴んだ腕を離さないままログが言った。
「だったら先程の言葉とは矛盾が生じるな」
そう言いながらログが担いでいたライフルを人影に向けて撃ち込む。
「戦力差を読めない訳ではないんだろう?逃走経路を作っている。隙があればこの場を離れろ」
「私が原因なのに、自分だけ逃げるなんてことはしたくない」
不死身かと思える集団に牽制を続けながら、リネアにそう言われたログが答える。
「俺を逃がそうとした女に言われたくはない」
「死ぬつもりの男に言われたくはないわねぇ」
リネアの言葉を聞いたログが告げる。
「死にに来た訳じゃない。俺は任務を遂行するだけだ」
「それは私を逃がすってことよねぇ?この状況で私達は生きて帰れるのかしらぁ?」
ログが手榴弾を投げ込み、リネアの頭を抑えながら伏せた。
「お前を逃がした後に考えるだけだ」
「何だか捨て鉢に聞こえて嫌なのだけれどぉ?」
爆発の後、砂埃の中にログがロケットランチャーを放った。
「下らないことを言っている暇があったら、さっさと逃げろ」
「気に食わないのよ。その物言いが」
ポーチに隠していた拳銃を手に取るとリネアが言う。
「貴方が生きる保証がないなら、私も戦うわぁ。貴方の契約なんか知ったことじゃないわよぉ。死なれでもしたら後味が悪くなるだけだしねぇ」
「半端な意気込みは俺の仕事をやりづらくする」
「私だって警察学校で訓練は受けたし、それなりの実践も」
言葉の途中でリネアを片手で組み伏せた男が言う。
「邪魔だ」
立ち上る爆炎の中に見える人影にリボルバーを撃ちながら抑揚のない声でログが告げた。
「自分のことを人任せにして生きていたくないのよ・・・!!」
「状況を考えろ。今ここにお前がいる理由はない」
リネアを担いで人影と距離を取った男が言った。
「私が足手まといにしかならないってことは分かったわよぉ。ただアレ相手にこのまま逃げられそうもないのよねぇ」
一息間を置いてリネアが言う。
「ごめんなさいねぇ。厄介な親子に付き合わせちゃって」
「道は作る。隠れていろ」
ログがリボルバーを撃ちながら吐露する。
「アイツは必ずお前を守りに来る」
「だったら今はログさんにエスコートして頂きますわよぉ?」
赤い眼を光らせる銀色のロボット達が二人に迫っていった。




