表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数字のない時計  作者: 夕星。
2/3

俺の友人ってやつは・・・

「あれ?まだ森田来てないっぽい?」

 店の中を見渡しながら、箕久馬は店員の喫煙席希望かどうかの質問をフル無視していた。

「そのうち来るだろ」

 先に店に入った箕久馬の横を通り抜けて、喫煙席のテーブルに向かう。

「メニュー決まりましたら、ボタンでお呼びください」

 手際良く水とおしぼりを置いて去っていく。続いて隣に座っている箕久馬が俺の耳に顔を近づけた。

「今の子、高校生かな」

「あの人、俺らの行ってる大学にいたぞ」

「え、まじか。知り合い?」

「いや」

 またこいつは・・・と思いながら携帯に視線を落とす。

「・・・というか箕久馬、何で隣座ってんの?」

「森田が向かい側座ると思って」

「箕久馬は俺のことが嫌いなのかな?」

 後ろの方から別の声が聞こえてきた。後ろを見ると、そこには笑みを浮かべた森田が立っていた。


「だから違うって」

「何が?」

「いや、森田がいっつも向かい側だから気を利かせてー」

「ってことは気を遣うんだ?そうか隣は嫌かー」

 森田が席に座ってからずっとこのやりとりだ。森田、絶対この状況を楽しんでるな。

「お待たせ致しました、ポテト大盛とサバ定食です」

 ふと携帯からテーブルに目を移すと、がっつりとした定食が森田の目の前にあった。

「森田、そんなに腹減ってたのか?」

「ん?あぁ、昼抜いちゃったからな。寝てた」

 森田はいただきますと言ってから食べ始めた。隣でポテトが来たことにより静かになった箕久馬が

「また夜なんかしょーたん?」

 と急に方言を投げ込む。そしてさりげなく俺にもポテトを勧めてきた。

「新作のアプリ作ってた」

「すごいよな~、作ってる途中の奴この間見たけど仕組みわからん」

「森田、そういや今日までのレポート出した?電話で間に合わないって言ってたけど」

「もうバッチリ」

 ここが森田のすごいところだ。俺も森田の家に行った時に作ってるアプリを見たが、結構本格的にしているようだった。これで勉強も出来るときたもんだから驚異的だ。隣でレポートを忘れたことにテンションが下がっていく箕久馬の様子がみてとれた。そのまま携帯を見て、

「あ、もう4時か、バイトの時間来るから出るわ」

 と言って去っていった。大盛ポテトが半分くらいしか減っていない。俺が食べろっていうのか・・・。


「・・・なぁ、卒業したらどうするんだ?」

 食べ終えた森田は煙草を一本出した。

「んー・・・そうだな。森田は?やっぱITとか?」

 俺は箕久馬が残していったポテトを食べながら聞いた。

「どうかな。アプリ開発をしたいけど・・・よくわかんね」

 暫く周りの席の雑談や食器の音が耳に響いた。ふと思ったことを聞いてみた。

「煙草、意外だよな」

「一本いる?」

「いや、吸わないし。普通に気になった」

 と俺が言うと一呼吸おいてから、

「かっこいいだろ?」

 と言った。・・・俺今どんな顔してんのかな。

「昔、俺が苦手なこととか嫌いなもの多くて、親父から早く大人になれって言われたのがくやしくてさ。そん時親父が煙草を吸いながら言うから、大人になったら俺も同じ目線で煙草吸って何か言ってやるって思った。でも親父も歳とるから同じ目線なんて無理だけどな、当たり前だけど」

 森田は苦笑しながら吸い皿に吸い終えた煙草を捨てた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ