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File : Project G.O.D. 23

——傍観者機構 接続開始

——接続……成功



 隔離フロア室内。対象サナの生体反応を確認。サナは寝具に腰掛け、俯いている。対象の両腕、完全に灰色に変色。サナはこちらに気が付くと、顔を上げて笑顔を向けた。

「おかえりなさい。さっきの揺れ、凄かったですね。あなたは何があったか知ってますか? ワカバさんは気にしなくていいって言ってたけど、ミヤビ先生とはさっきから連絡付かないし」

 対象サナは自身の両手を見つめ、眉をひそめた。

「やっぱり私の事なんでしょうか。本来、末期症状寸前まで生かしてはもらえないんです。ミヤビ先生が手を回してくれたお陰で生きてこられた……それも、限界になったのでしょうか。もう、私には明日すらもらえないと言うのですか? 私が欲しいものは、そんなにいけない事なんですか? 私は、ただ……もう一度、もう一度だけ……」

 対象は強く自身を抱きしめ始める。

『サーナ! 入るわよ!』

 室内の音響装置より対象ミヤビの音声が発生。

「ミヤビ先生っ! はいっ! どうぞっ!」

 対象サナ、寝具から立ち上がり、出入り口扉まで駆け出した。

 出入り口扉が開閉、対象ミヤビを視認。

「お待たせっ! サナ」

「……ミヤビ先生、何です? その格好は」

 対象ミヤビの衣服の変化を確認。対象ミヤビ、頭以外の全身を樹脂と金属で構成された肌に沿った薄い衣服を着用。腰に短刀と小型銃器が固定されている。

「なかなか格好いいでしょ? ユリカゴ自慢、防弾、防刃の最新型ケミカルスーツよ」

「えーと、目のやり場に困るんですが……確かそれクレイドルガードで制式採用されたやつですよね……ミヤビ先生、やっぱり何かあったんですね。さっきの揺れも」

「ちょっと怖いお兄さん達が来ててね。まったくサナったらモテモテね。みんなしてサナを指名するもんだから、私がこの格好でこれからお相手に行くところよ。うちのナンバーワンを相手にするなんて百年早いって事を解らせに行くの」

「ミヤビ先生。やっぱりもう……私は……」

 対象ミヤビ、サナの頭にそっと手を乗せた。

「大丈夫、安心なさい。サナには指一本触れさせないわ」

「……ミヤビ先生、私知ってます。それ、対サイボーグ戦用で採用した、重力制御された武装を付けられる強化アーマーですよね? ずいぶん前に記事で見ました。形は少し違うけど、その時見たのと殆ど一緒です」

 対象ミヤビ、サナの顔を見つめたまま沈黙。

「先生? きっと私が行けば解決するんですよね? 私がその人達の所に行けばミヤビ先生は危険に会わないんですよね? 私が死ねば——」

「サナ!!」

 ミヤビは声を荒げ、サナの言葉を遮る。

「いい!? 二度と自分が死ねばなんて口にしないで! あなたは生きるのよ! 最後の最後まで生きなきゃ駄目! ……サナはまだやりたい事が残っている筈でしょ? 違う?」

 対象ミヤビ、もう片方の手でサナの頬を撫でる。

 対象サナ、口元まで上げた手を握りしめ、歯を食いしばる。

「言ってごらんなさい。私はサナの願いを叶えるのがお仕事よ。そのためだったら何でもしてあげるわ。必要なら神様にだって喧嘩を売ってあげる……だから、ほら」

「ミヤビ、先生……私は……私は、父さんに…………パパにっ! 会いたいっ!!」

「了解!! サナ! ナオトさんは私が責任もって連れてくる! どんな手を使っても無理矢理引っ張ってくるわ!!」

 サナは両手を胸に強く押さえ、強く頷いた。

「はい!!」

 対象ミヤビはサナから手を離し、対象サナに背を向けた。

「でもその前に、怖いお兄さん達を黙らせなきゃね。だからサナはここで待ってて。全部終わらせたら、絶対ナオトさんを連れて来るから」

 対象ミヤビはそう言って出入り口扉を開ける。

「ミヤビ先生!」

 対象ミヤビはサナの声に背を向けたまま立ち止まる。

 対象サナは対象ミヤビに手を伸ばす。しかし、直ぐに自身の胸元に戻した。

「……いってらっしゃい、ミヤビ先生」

「ええ、いってきます。サナ」

 対象ミヤビ、背を向けたま室内から退出。出入り口扉が閉まり、扉に施錠の表示が点灯する。

 対象サナは扉に手を触れ、そして額を付けた。

 サナはそのまま膝を床に付け、そしてこちらに顔を向ける。

「ミヤビ先生に付いていてくれませんか? 私はここで一人で待ちます。もし先生に何かあった時は戻ってきてください。そうすれば、私も覚悟を決められます。だから、お願いします」

 対象サナより別対象への同行要請、拒否要素無し。対象ミヤビの生体反応を検索……完了。



——傍観者機構 接続停止





管理番号_20160805 管理者名_若葉代理

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