表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/11

第八話


都鳥くんは過去最高に機嫌が悪いと、言ってたけど、私からしたら、普段のいつも通りに見えた。


都鳥くんにしか、分からないのかな。


学食から戻って来たと思われる、泉宮くんは今も隣の席の椎奈さんと話していて、普通だと思う。


椎奈さんが楽しそうに話して、泉宮くんは笑みを浮かべて多分、相槌を打ってる。



都鳥くんはどこを見て、泉宮くんの機嫌が悪いと感じたんだろう……。


……謎だ。


考えても分からなかった。



泉宮くんと初めて話したのは、入学式の日である。


式が終わり一年一組の教室に行って、担任になる涼風先生の話が終わって、少しの自由時間に泉宮くんは、椎奈さんを含む女子達に囲まれていた。


内容は新入生代表の挨拶良かったよ、とかだったと思う。


口振からして、同じ中学なんだと。


泉宮くんの前の席の明石くんは、居心地が悪そうだった。



女子に囲まれるのが慣れてるらしく、笑顔で対応していた。


ファンサービスをするアイドルと、熱狂的なファンみたいだなぁと、見てると目が合った。


泉宮くんは小首を傾げる仕草をして、言葉には出さずに目だけで、何?という表情を浮かべた。


怖い人だと思った。


……表情ひとつで、人の心臓を止めそうで。



私は見てたのがバレたのが恥ずかしくて、顔に熱が集まり赤くなったのが自分で分かった。


「入夏さん、だよね?」


帰りの準備をしてると、そう話し掛けられた。



「……入夏です。」


「合ってた。泉宮葵です。席が近いし、仲良くしようね。」


手を差し出されたが私には、今日、初めて会った人の手を握るのはハードルが高く、ただそれを見つめた。


「ごめん、癖で。」


私の反応を警戒と取ったのか、泉宮くんは手を引っ込めた。


「海外に住んでた事があるの……?」


握手をする習慣のある人なのでは。


「うん。親の関係で。入夏さん、海外のご経験は?」


泉宮くんは冗談めかして、片方の眉を上げた。


そんな表情も魅力的だった。


チャーミングって、言葉が合う。


「全く。飛行機にも乗った事ない。」


私は首を振った。


「そうなんだね。これからの新しい体験、楽しみが沢山あって良いね。」


「……泉宮くんって、素敵な考え方をするんだね。」


泉宮くんは微かに、目を見開いた。


「ありがとう。褒められると、照れるね。」


全く、照れてなさそうだった。



泉宮くんの考え方、物事の捉え方には余裕が感じられた。


新入生代表挨拶で、登壇した姿を見た時も思ったが、立ち振る舞いが堂々としていてノイズがない。


スピーチは原稿が用意してあるとはいえ、緊張するもの。


髪や顔を触ったり、えー、とかあー、とか挟みがちだ。


声のトーンもスピードも、訓練されてるのでは。


格が違う。


とっつき難いと思いきや、話しやすくてユーモアがあった。



海外マウント取りがちな人が多いのに、泉宮くんは違った。


英語が話せるのはすごいと思う。


中学の時にやたらと話し掛けて来て、鬱陶しい同級生がいた。


海外に親が持つ別荘があるから、遊びに来いよと、しつこく誘って来たやつが。


行くわけねぇだろ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ