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硝煙の雲と銃弾の雨を抜けて  作者: 竜馬 光司
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第一部最終話

待ってくれている人が居たら、ごめんなさい。本当にお待たせしました。やっと最終回を、お届け出来ます。相変わらず読みにくいとは思いますが、是非とも読んでください。

相原彰吾を殺してから数週間。僕は横浜のある港にいた。ここの倉庫ではヤクザと海外マフィアが麻薬の取引をよく行う場所になっていた。警察も買収されているらしく彼らの邪魔をするものはいないはずだった。今日までは。そう僕たちの目的はこの取引場所を襲撃し麻薬を処分することだ。更に今回のヤクザの拠点と海外マフィアの拠点を同時に襲撃し2つの組織を壊滅させる。その為にこの取引場所に居合わせた人間を全員殺して戦力を減らす。その任務を任されたのは、僕と以前狙撃の援護をしてもらった女性狙撃手名前は蕪木ミカ。彼女と共にこの任務を遂行する。深夜、僕は倉庫の屋根の上にうつ伏せに寝そべり数十メートル先の倉庫を監視していた。その倉庫だけ明かりが点き、入り口の前には様々な車が止まり人がせわしなく動いている。情報通りここで取引をするようだ。「こちらミカ聞こえる?」「はい聞こえます。どうしました?」「そっちに車列が向かってるわ。ヤクザかマフィアどっちかしら?」僕は双眼鏡で確認してから「倉庫に集まってるのは日本人みたいですから恐らくヤクザですね」「了解。じゃあ予定通り倉庫にいるのはあなたに任せるわ。私は倉庫に向かっている奴らを合流前に襲撃するから」了解ですと言って通信を切ろうとしたらミカさんから「こんなとこで死ぬんじゃないわよ。ボウヤ」そういって通信が切れた。ボウヤか。僕はミカさんや他の人から見たらボウヤなのだろう。いや今はそんな事考えてる場合じゃない。僕は倉庫に襲撃しする為の準備を整えていく。ミカは歩道橋で迫ってくる車列を待ち構えていた。車は5台ともメルセデスベンツのSUVであるGクラスで固められている。おそらく真ん中にボスが乗り前後の4台が護衛だろう。ミカは持っているアサルトライフルAK-12を構えてドットサイトで先頭車両におおよその狙いをつけてAK-12のアンダーバレルに装置されたGP-30グレネードランチャーの引き金を引いた。GP-30から発射されたVOG-25P 40㎜グレネード弾は真っすぐ先頭車両のボンネットで跳ねてフロントガラスに当たったところで信管が作動し炸裂した。車は爆発炎上し、中の人間は破片と爆風と炎で全員即死。車は炎を纏いながら何度か回転し横転して道を塞ぐ。後続の車両は慌ててブレーキを踏むが、間に合わず2台目3台目とぶつかる。慌てて後ろにバックするがそうやすやすとは逃げれるはずもなく、ミカはドットサイトの後方に付いている倍率3倍のブースターを覗く。1番最後尾の車の運転席側に5発ずつの指切り連射を20発。ついでに助手席側に10発撃ち込む。ビキキキキッ、と音がしてフロントガラスを貫通して運転席と助手席にいた人間に5.45㎜の死神が襲いかかり、穴の空いたフロントガラスを鮮血で染め上げる。前と後ろを塞がれた3台は、逃走を諦め徹底抗戦の構えのようだ。それを見たミカは舌舐めずりをしながら空マガジンを捨てて新しいマガジンをリロードしチャージングハンドルを引いて薬室に初弾を装填しながら階段を素早く降りる。向かう先にいるのはマフィアのボスとそのボディガード13人。14対1ミカにとってこの数では正直物足りないが油断せず素早く遮蔽物を利用しながら近づいていく。マフィア達はボスを3台目の防弾装備の車に残しボディガードはその周りを固めた。応援を呼ぶために電話をかけているが何故か誰も出ない。ボディガード達はPP- 2000SMGを構えながら周囲を警戒していた。ボディガード達は一見すると冷静を装っていたが、内心は不安に支配されつつあった。不安に押し潰されまいと必死に闘っていたが、素早く近づいて来る殺し屋に気づくのが一瞬遅れたのが彼らの命取りになった。銃声がしてボディガードの1人の頭が爆ぜて仰向けに倒れる。更に2人、3人と体に穴が開き血が噴き出す。炎上している先頭車両の残骸から撃たれていると分かったボディガード達は大量の9㎜弾をばらまく。だか既に殺し屋は闇を味方にしながらそこから姿を消していた。ボディガード達は気づかず燃え盛る残骸をまるで仇を討つかの如く撃ちまくる。その隙に側面に回り込んだミカは更に5人のボディガードを血祭りに上げていく。これで残り5人。4台目の車を遮蔽物にしながらリロードをしようとマガジンを外した時に不意に5台目の後部ドアが開いた。前席にいた2人は死んだが、後部座席にいたボディガードの1人は生きていたのだ。生き残ったボディガードはドアを開けてミカを撃とうとしたがミカの方が反応が早かった。素早く近づきドアに体当たりをしてドアと車体に挟み込んだ。挟まれた拍子に落としたPP-2000を拾いボディガードの顔に9㎜弾を叩き込んだ。残りのボディガード5人が一気にミカを殺そうと近づいてきた。ミカは慌てず愛銃のコルトパイソン2.5インチモデルを懐からドロウして素早く5連射。放たれた357マグナムは、狙い違わず5人のボディガードの頭部に吸い込まれていった。地獄に堕ちていった5人を見下ろしながら、ミカはリロードをしながらボスがいる車に近づいていく。ボスは華麗な装飾を施されたマカロフを持ちながら外の様子を伺っていたがボディガードが全員死んだのを確認してから足の震えが止まらなくなっていた。コツン、とガラスに何かが当たる音がした。そちらを見ると女が銃を構えている。車のガラスはスモークガラスになっているので中は見えないはず。そう確信して、持っているマカロフを女に向けて引き金を引いた。車内で銃声が大音響で響き、硝煙が車内を包み込むホールドおープンしたマカロフを構えたままある事に気づく。車のガラスは防弾ガラスでマカロフの9㎜では貫通出来ず防弾ガラスに食い込んでいたが、女が構えているのはアサルトライフル。とっさに避けようとしたが、音速で飛ぶ地獄への片道切符を避ける事は不可能だった。ミカは無線で、「こっちは完了。そっちに向かうわ」と言ってドゥカティモンスター1200を駆り倉庫に向かう。そのエンジン音は、まだまだ食い足りないぞ。とでも言いたげな獰猛な咆哮だった。ミカさんが、マフィア達を全滅させている時、僕は、ヤクザたちが取引場所にしている倉庫の屋根にいた。屋根にある天窓のひとつを事前に開けておいたので、音を立てずに進入する。このまま飛び降り自殺をするわけではないのでちゃんと準備してある。腰のポーチからラペリング用のロープを取り出し天窓の縁にしっかりとフックを引っ掛ける。スリングで今回のメインウェポン。ドイツのGSG9でも採用されている。ステアーAUG A2モデルを背中に回し空いた両手にスタングレネードを持ち安全ピンを外し天窓から下に向かって投げ落とす。埃っぽいコンクリートの地面に落ちると同時に閃光と大音量が倉庫に蠢めく者たちを行動不能に陥らせる。僕はガスマスクを被り、ステアーに初弾を送り込みラペリングで頭を下にしてステアーを構えながら降下する。ホロサイトで照準を付けて引き金を浅く引く。ステアーの特徴のひとつに引き金を浅く引くとセミオート。深く引くとフルオートで撃てる。セミオートで頭を狙って撃つ。弾丸が発射されるたびに脳天に穴が開き血を噴き出す。降下している僕には、次々と血の色の花が咲いているように見えた。ラペリングで地面近くまで下りてから頭と足の位置を入れ換えて着地する。その頃には組員達も戦闘不能から回復したらしく、中国製トカレフを片手で乱射しながら、反撃してきた。僕は冷静に遮蔽物に身を隠す。只でさえ拳銃の命中精度は高くなく、ロクに訓練をしていない人間が片手で撃っても当たるものではない。組員達が半ば半狂乱に撃ちまくり、銃声と着弾音と空薬莢が地面に落ちる乾いた音が旋律を奏でる。乱射して残弾を気にせず撃ちまくっていた組員達は弾切れになった時に我にかえる。自分たちは襲撃者を殺すために狙って撃たずただ乱射して弾を消費していただけだったと。慌てて弾倉交換しようとするがその隙を逃す手はない。僕は遮蔽物を飛び出し隙だらけの組員達に弾丸を叩き込む。僕が弾倉交換する時に立っている組員は1人も居らず自身の血の海に沈んでいた。まだ生き残りがいないか周囲を警戒。違和感を感じるここにいるのは死体だけのはずなのに何かを感じる。もし誰かに聞かれたらこう答えだろう。これは殺気だ。死体のひとつが突然起き上がり、白刃が僕に迫る。寸前のところで避けるがステアーの銃身が僕の代わりに切り飛ばされた。金髪をオールバックにし高級そうな白いスーツを血に染めて刃渡り80㎝の打刀を構えて凶暴な笑みを浮かべている。こいつが組長のようだ。組長が素早く間合いを詰め僕の心臓めがけ突く。僕はとっさにステアーを盾にして組長の突きを防ぐが刀はステアーを貫通して刃が半ば飛び出して止まるが、組長はこのまま押し込んでくる。僕は左手でキャリングハンドルを右手でグリップを握りしめ押し返すがジリジリと僕は押されていく。ステアーを貫いた刃が少しずつ僕の心臓めがけて近付いてくる。僕は反撃のチャンスを待つ。組長が息を吸う息を吐く息を吸う息を吐く吸う吐く吸う吐く。息を吐き切って吸おうとした瞬間僕は組長の左足に左のローキックを当てた。組長が一瞬バランスを崩したところで、ステアーを車のハンドルのように"ぐるん"と左折させ組長の手から打刀がすっぽ抜ける。まさしくそれは、すぽん。という音さえ聞こえてきそうな見事なすっぽ抜けだった。僕はそのままステアーを刺さった刀ごと放り投げる。僕はトドメをさすためにナイフを抜いたが、組長にタックルを仕掛けられて仰向けに倒されてしまった。すかさずマウントポジションをとった組長は拳を振り下ろして来る。それはハンマーを叩きつけたかのような衝撃が防御している腕に襲い掛かる。組員は僕の防御の隙間をつき両手で僕の頭を掴み頭突きをしてくる。1発2発と重い一撃が意識を確実に削り取っていく。前にもこんなことあったなぁと思いつつ、反撃の為にナイフを探す。手探りで見つけたのはナイフではなく棒状のものだったがこの際贅沢は言ってられない。僕は何とか意識を繋ぎ止めながら

振り下ろして来るタイミングを見計らって棒状の物を眼球に突き刺す。聞く者が不快になるような叫び声を上げて、仰け反る。僕はマウントポジションから脱出しレッグホルスターからコルト

M1911A1をドロウして組長の心臓に2発頭に1発撃ち込んだ。組長の白のスーツは組長の血を浴びて真紅のスーツに染まっていた。組長の目に刺さっているのをよく見てみると切断されたステアーの銃身だった。僕は身を挺して助けてくれたステアーに感謝しつつさらに生き残りがいないか周囲を捜索すると倉庫の入り口の方に2人逃げていくのが見える。どうやら停めてある車で逃げるようだ。乗る前に仕留めようと狙いをつけたその時バイクのエキゾースト音が聞こえてきた。僕は音のする方を見た。そこにはドゥカティモンスター1200に跨るミカさんがいた。生き残りの2人は向かってくるミカさんに向かってトカレフを撃つが、当たらない。ミカは飛んでくる7.62㎜弾を意に介さずアクセルをロックしバイクのハンドルから両手を離しバイクに跨ったままAK-12を撃つ。放たれた弾丸は獲物に喰らいつく猟犬の如く1人の組員の頭部を貫かれて即死、もう1人の組員は首を撃ち抜かれて流れ出る血を必死に両手で抑えている。僕はミカさんを見てどこかの刑事ドラマで見たなぁと思いつつ、無駄な努力をして苦しむ組員にトドメをさす。「どうやら終わったみたいね」「はい。案外楽に終わりました」「何言ってるの。マスクの下ボコボコでしょうが」そう言って僕のおデコにガスマスクの上からデコピンして来た。激痛が走る。「痛いですよ。組長の頭突きよりも」「はいはいゴメンね。それじゃ、帰りましょ。」「了解です」僕はミカさんの運転するドゥカティの後ろに座って帰る事にした。今お世話になってる場所へ。「かんぱ〜い」のかけ声と共にさまざまな酒が入ったグラスが打ち鳴らされる。ここは武器屋Who Dares Winsの近くにある。barエスメラルダ。ここは普段はカウンターでショットグラスで飲むショットバーだが、常連になると料理なども出してくれるしかもかなり美味しくこの味を求めてここに通う者もいるほどだ。武器屋Who Dares Winsの店主。真壁鋼二郎もここの常連の1人だ。昨夜の仕事を成功させた殺し屋たちを労うために真壁はここを貸し切りにしていた。今ここにいるのは白髪で白い髭が似合うマスター。僕、ミカさん、真壁さん、そして僕たちと同時期にマフィアとヤクザの本部を壊滅させた。2人の殺し屋。1人は男もう1人は女性だ。2人ともかなり個性的に見える。男は覆面レスラーが使っていそうなマスクををかぶっているし女性の方は黒で統一したゴシック&ロリータの格好をしていた。「あの2人はあんま話さないから気にしないでくれよ」真壁さんがそう言ったように2人はほとんど喋らず黙々と酒を飲んで料理を食べていた。他の人がお酒を飲んでいる中僕だけ烏龍茶を味わっていると真壁さんが話しかけてきた。「それで、今回の仕事が成功したから君は我々の組合に入れる権利を得た訳だが、どうするかは君次第だ」相原章吾の襲撃で反撃にあい満身創痍だった僕は真壁さんに助けられて治療を受けた。その時僕は組織に戻らないのか?と真壁さんは聞いてきたが、僕は答えられなかった。僕は組織に対して疑問を感じていた。だんだんと自分の意思で復讐しているつもりが、いつの間にか言われるまま人を殺していたんじゃないかと。「なるほど、自分の組織が信じられなくなった。ってことかな?でもこの後どうするんだい。どうであれ君は人を殺す技術を持ち、実際に何人、何十人も殺して来たんだ。今さらまともな生活は送れないぞ」「わかっています。その辺りはなんとかしてみせます」それを聞いた真壁さんは、「そう言っても当てがないだろう?どうだウチの組合の仕事をしてみないか?君の腕なら上手くやっていけるだろうしミカのやつも君を気に入っているらしくてね」いつの間にか真壁さんの後ろのドアにミカさんが居て手を振っていた。こうして助けてもらった恩返しとして組合の仕事を手伝うようになっていた。こうして何度か仕事をこなし僕は最終試験となる今回の仕事を無事終わらせてここにいる。おっと電話だ。と言って真壁さんが外に出た。僕は真壁さんが戻ってくるまで今後の事を考えていて真壁さんの電話が来た時の警戒するような表情に気がつかなった。真壁は外に出ると電話に出た。「もしもしお久しぶりです。珍しいですね貴方から電話がかかってくるとは」「それはこちらのセリフだ。剛二郎。お前に電話かける理由はわかっているだろう?」わかっていますよ。真壁剛一郎兄さん彼の事ですか?」「そうだ。彼、23号を取り戻そうと組織は躍起になっている」「かなり焦っているのでしょうね。何たって真壁剛一郎一等陸佐殿が、いち殺し屋の弟に電話してくるのですからね。でも我々がかれを引き止めている訳ではありません。彼の意思でここにいるのです」「そうか、だが組織はそうは思っていない。確かにお前の組合と正面衝突するほど馬鹿ではないが、確実に組織は策を仕掛けて取り戻してくるぞ」剛二郎はその時その時だな。と思いながら、「その組織というのは一体どういう組織なのですか?自衛隊上層部を動かせる程の影響力を持つ組織というのは」つい熱くなってしまったようで、剛一郎は、落ち着けと言ってから続けた。「俺も詳しい事は知らないが、自衛隊は長い間実戦を経験していない。表向きはな。だが極秘に数年に海外の紛争地帯などに民間軍事会社のいち社員として実戦を経験させていたが、だが、ある時上層部からひとつの案が出た。お前は第二次世界大戦で兵士の発砲率を知っているか?」剛二郎は何の話だ?と思ったが、口に出さず沈黙が続いたが、その沈黙を破ったのは、剛一郎だった。戦時中兵士の発砲率は2割程と言われている。つまり相手の顔が見える状態で相手を殺せる人間は極端に少ない。このままの状況を打破する為に上層部は人を殺すことに違和感を感じない人間を探す事にした」「そんな人間を探せる方法はあるのか?」「幼少期に苛酷な体験。虐待や両親との死別そういう子供たちを探し出し訓練とクスリを使い組織に必要な人間を手に入れて行き殺しに抵抗を感じない人形を作り出して来た。だから・・・」剛一郎はまだ何か言おうとする兄の言葉を止めた「分かりました。知りたい事はそれで全部です。そろそろ戻らないと回りから不審がられますので、それでは失礼します」兄からの警告という数年ぶりの電話を切りbarに戻った時彼の姿は消えていた。ミカに聞くと携帯のメールを見て血相変えて出て行ったと言うのだ。真壁はそうかと一言いって黙々と酒を飲んでいた。真壁さんが戻ってくる少し前酔っ払ったミカさんの相手をしていた僕の携帯にメールが来た。誰からだろうと送り主を確認したとき僕ついに来たか。と心の中をばれないようにミカさんをかわして店の外に出てメールの内容を確認した。送り主は組織の連絡役のイノウエさんからだ。内容は僕にどうしても伝えたい情報があるとの事。もし会えるならこのメールが送信された時間の30分後指定した場所に会いましょう。というメールだ。もちろん僕はこれを真壁さんたちに伝えてもいいのだが、これは僕の問題なので、僕は1人で行く事にした。もちろん何があってもいいように準備を整えてから向かう事にした。30分後、僕は待ち合わせ場所についたが、付近には誰もいない。ここは人が殆ど通らない路地裏だから誰かがいれば嫌でも目立つが、今は僕しかいない。これは嵌められたかなと思いながら、引き返そうとした時、何かが破裂した音が2度聞こえた。この音は銃声だ。僕は用心の為に持ってきた。M1911A1の安全装置を解除しながら、銃声のした方へ向かった。そこに着いた時感じた匂いは2つ1つは銃口から放たれた火薬の匂いもう1つは地面に力なく座り込んでいる女性の腹部から流れる。血の匂いその2つが僕の鼻を支配していた。「あなたがイノウエさんですか?」僕が聞くと顔を伏せていた女性は僕のほうを見て目を合わされた。「ええ、私がイノウエです。お久しぶりです23号。直接顔を合わすのは今日が初めてですね」彼女、イノウエさんは僕に話しかけながらも自分の腹部を手で抑えていた。そこからは血がドクドクと流れて黒のジャケットとスカートを赤く染めていた。「私は、大丈夫。これをあなたに渡そうと来たのですが、いきなり襲われて、何とか返り討ちにしましたが、」イノウエさんの他にもう1人うつ伏せで倒れている男がいた。顔から血が流れているのでおそらく即死だろう。イノウエさんはゆっくりと僕に血に染まったUSBメモリを手渡してくる。「これに何が入ってるんですか?」「ここには、あなたのご両親を殺した人間の情報が入っています」

何だって、今何と行った?僕は怪我をして苦しそうなイノウエさんに詰め寄った「両親が殺されたってどういうことですか?僕の両親はくびを吊って自殺したはずです。一体誰に殺されたんですか?」「あなたの・・・お父さまはある男を調査していました。しかしその証拠は奪われご両親は・・・自殺に見せかけて殺されてしまいました。その男は相原幸蔵の事です」その名前を聞いた時僕の体に衝撃が走る。まさか相原幸蔵と僕の両親の死が関わってくるとは、でも1つ疑問がある。「何故この事を教えるのですか?僕は組織から逃げたのに」イノウエさんは微笑みながら「さあ何故でしょうね。ただあなたのような人間を何十人も見てきました。何故かあなたの事は他人の気がしなくて、私の・・・死んだ弟にあなたが似ているからかもしれませんね」イノウエさんは呻き声を上げた。かなり苦しそうだ。「もうここを離れたほうがいいでしょう。銃声を聞いて誰かが警察に通報しているかもしれません」「あなたはどうするのですか?」「私が助けて下さい。と言ったら助けてくれますか?」僕は一瞬返答に迷う。「私のような怪我人は足手まといです。さあ早く行きなさい。そして『相原幸蔵に復讐しなさい』」僕の頭の中でカチンと音がした気がした。「分かりました。さようならイノウエさん」イノウエさんの返事を待たず僕は駆け出した。自分のなすべき事をする為に。彼が去ってから数分後私の近くに黒のトヨタのクラウンが近づいてきた。私は何事もなかったかのように立ち上がり車の方に歩き出した。黒スーツ姿の男がドアを開け私はクラウンの後部座席に乗り込む。車の中は全員黒スーツ姿の男たちだ。私は後部座席の真ん中にいて男の1人から電話を受け取る。「もしもし、はいこの電話は盗聴の心配はありません。はい上手くいきました。はい23号に暗示をかけてありますので、それを上手く利用しました。」暗示それは私の声と特定のワード(例えば○○に復讐しなさい)を使って確実にこちらの思惑通りに動く駒とする。彼自身気づかぬ内にには本人に仕込んでおいた。もっとも23号は何かしら不審に感じていたようだが。更に報告を続ける。「はい、これで九割九分成功です。ですがもしもの為に保険を掛けようと思うのですが、はい、よろしいのですか?分かりました。では、23号が成功、もしくは失敗した場合は、掃除屋に任せるということで。はい、いえ、スーツ一着の犠牲で彼を動かせるなら安い物です。では、吉報をお待ちください。浪根防衛大臣」報告を終わらせた私は掃除屋の人間に電話を掛けていく。肩峰三郎巡査部長。警視庁捜査一課に所属する刑事だが、彼は窓際族で出世街道から外れた人間だ。仕事が出来ない訳ではないが、必要最低限のことしかせず人付き合いも悪く挙げ句の果てに「無事に定年退職出来て年金生活出来ればいいや」と言い出す始末。なので周りの同僚や上司から彼の存在は日に日に薄らいでいた。今日は夜勤で誰もいない中黙々と仕事をせず夜食のラーメンを食べているとと携帯が鳴る。番号は登録されてないが、自分の頭の電話帳に登録されている番号からだ。「もしもし、肩峰です」それはイノウエという名の女性からだった。「もしもし、肩峰三郎さんですね。あなたに掃除を頼みたいのですが」もちろん普通の掃除ではない。掃除=人を消すということだ。「ええ、大丈夫ですよ。時間は?・・・大丈夫です。その日も夜勤ですしといっても面倒な書類整理で退屈ですし、次の日に上司に謝ればいいだけですから。それで何名で掃除に取り掛かって何部屋掃除しますか?」掃除に取り掛かる人数=何人で襲撃するか?何部屋掃除=ターゲットは何人?「あなたを含めて5人。一部屋の予定ですが、二部屋になるかもしれません詳細はメールで送ります」つまり5人で襲撃しターゲットは1人か2人ということだ。「分かりました準備をしておきます」そう言って肩峰は電話を切る。久々の仕事だ。楽しくなりそうだな。そう思いながら肩峰は、伸びきったラーメンをおいしそうに啜った。僕がパソコンでイノウエさんからもらったデータを見ている時、真壁さんが話しかけようとして、口を開きかけた時、パソコンの画面を見て一瞬フリーズしかけたがすぐさま回復して言葉を吐き出す。「これを何処から手に入れたんだ?」少し語気が荒くなる。それもその筈で画面には相原幸蔵の今までの悪事が全てそのデータには収められていた。更に相原幸蔵と部下達のここ最近のスケジュールや住所家族構成、経営する企業の本社ビルの警備状況や清掃業者がいつ入るかなど事細かに収められている。「これはある組織の人からからいただきました。ここには僕の両親の事も書いてあります。どうやら僕の父は相原幸蔵を内定していたようですが、証拠を掴んだ直後に見つかってしまい僕の母ともども、自殺に見せかけて殺されたみたいです・・・」そこから短い沈黙の後僕は続けて、「だから僕は相原幸蔵に復讐しますだから僕はあなた達の組合には入れません。僕は復讐を1人でやり遂げます」真壁さんは少し悲しそうな目をしながら「そうかそれが君がやり遂げなければいけない事なんだな?」僕は力強くうなずいた。「おそらくこの復讐が成功しようがしまいが、僕はもう生きていないでしょう。でも、あなた達を巻き込む訳にはいきません」「分かった確かに我々は手伝えないが、せめて武器装備ぐらいは、ウチのを好きなだけ持って行きなさい。あとできる事があれば何でも言ってくれ。」ではひとつだけ調べて欲しい事が・・・」僕は真壁さんにある人物の居所を調べてもらう様にお願いした。「分かった。場所がわかったら君の携帯にメールしておく。いつここを発つ?」「朝には出ようと思います。それまでに装備を整えます」こうして僕は真壁さんの厚意で装備を整えた後、短い間だったが居心地の良いこの場所から去ることにした。玄関を開けた時太陽が寝床から顔を出し始めていた。「ではお世話になりました。ミカさんによろしくお伝え下さい」「いいのかミカに直接挨拶していかなくて?」昨夜あんなに飲んでいたミカさんの事だ。きっとちょっとやそっとでは起きないだろう。「はい大丈夫です。それでは失礼します」「持っていく装備は返そうなんて考えなくていいからな。めいいっぱい使い倒してくれ」「ありがとうございます」僕そう最後に言って歩き出す。再会の言葉はお互い使わなかった。何故ならもう2度と会う事は無いのだから。「行っちゃったの?」いつの間にか、真壁の後ろにミカがいた。「ああ、あいつはあいつのやりたい事が出来た。そのことに俺たちは関われない」これ以上関わったら、組織との血みどろの闘いになるだろう。そうなれば、双方無事にはすまない。「まぁ、できる限りのサポートはするさ。どうしたミカ寂しいのか?」「・・・今まで通りのアンタと私の二人組に戻るだけでしょ。それよりも昨日飲み過ぎたから頭がガンガンするのだからまだ眠るわ。今日は仕事入れないでよね」「はいはい」寂しいか?という質問に否定も肯定もせずミカは自分の寝床に戻っていった。それから一週間後僕の最後の復讐が始まる。相原幸蔵はここ一週間というものずっとイライラしていた。彼の経営する会社は民間警備会社だ。若い頃警視庁のエリートだった彼は警察を退職しその時得た裏の知識を駆使して会社を大きくしてきた。更に近年諸外国の治安の悪化、それに伴い国内の治安も悪化を利用して民間の警備員を派遣。これは表向きの仕事で、裏では犯罪組織の警備や、海外で民間軍事会社の経営をしている。今まで順調だったが、誤算が生じた。稲生親子が殺され、息子の章吾も殺された。だが稲生達を殺した殺し屋は雇った殺し屋が始末した。生き残ったのは1人だったが、これで安泰と思っていたら一週間前から異変が起きた。1日1日毎日のように部下達が死んで行く。あるものは自宅であるものは通勤中に、更に昨日は幸蔵の自宅でガス爆発があった。幸い幸蔵は本社にいたので事なきを得たが、わざといない時間を狙って家を爆破されたと幸蔵は思っていた。そして恐らく今日襲撃されるだろうと半ば確信していた。今まで部下達を殺され、昨日は家を爆破された。そして今日は幸蔵の誕生日。誕生日を祝おうなどという気持ちはとっくに無いが、自分を殺しにくる奴を歓迎してやろうと幸蔵は警備の人数を増やしある人間を1人雇うべく電話をかけた。相原幸蔵は自分の誕生日に合わせて殺されると思っていたらしいが、実は違う。その日がたまたま誕生日というだけで、僕はある手段を使って相原幸蔵がいるビルに潜入しようとしていた。・・・時刻は午前6時女性リポーターがカメラに向かって現場の凄惨な状況を伝えていた。「こちらはIPSCの本社ビル前です。今日の深夜3時頃、爆発音がしたという通報があり、消防が出動しました。しかし一部では銃砲らしき物が聞こえたという報道があり、現場は混乱している模様です・・・はい、はい。今新しい情報が入りました。ビルから負傷者が運び出されている模様です。そちらに向かいます」リポーターは走り出し、カメラマンが撮影しながら必死に追いかける。数分後息を整えたリポーターがリポートを再会する。「只今負傷者の男性に話しを聞こうと思います。中で一体何があったのでしょうか?」負傷者の男性は、ぽつぽつと話し出した。・・・3時間前、午前3時。一台の日産キャラバンがAPSC本社地下駐車場の入り口で止まった。バンの窓が開き一人の若者が顔を出す。入り口の守衛が、話しかけてきた。守衛はSecurityとプリントされた青いジャケットを羽織っているがよく見ると腰の辺りが膨らんでいる。どうやら拳銃を携帯しているようだ。「何のご用ですか?」バンの若者が答える。「オトヒメエビ清掃の者です。今日深夜3時半から清掃の依頼を受けたので来たのですが、伝わってないですかね?」「ちょっと待って下さい。ああ、清掃会社の人ですね。伺ってますよ。今日は一人ですか?」「あ、すいません。今日はもう一人はちょっと遅刻しちゃいまして僕一人で先に作業する事になったのですが」「そうですか。じゃあ28番のところに止めて下さい」若者は、一言礼を言って車を止めに行った。若者は一人で清掃道具の詰まったカートを押していたが若者は掃除をする気は全くなかった。若者は手近なトイレに入るとトイレのドアに清掃中の札をかけて誰も入らない様にした。若者はツナギを脱ぐ。インナーとボトムズだけになった僕はカートから装備を取り出して行く。カーゴパンツを履き、コンバットブーツで足を固め、上半身にボディアーマーを着けその上からタクティカルベストを纏う。肘と膝を保護するパッドを着け、耳を保護するイヤープロテクター、顔を保護するガスマスクを被る。腰にタクティカルベルト、右腿にはレッグホルスターを巻き、左腿にはグレネードポーチを巻く。次にベストとベルトにつけたマガジンポーチに予備マガジンを大量に詰め込んでいく。左腿のグレネードポーチには手榴弾と40㎜グレネード弾。ナイフをベストの鞘に差し込んだら

、次は銃を取り出す。メインウェポンのHK416(室内で取り回しやすいショートバレル)を取り出し弾丸がたっぷり詰まったマガジンを差し込みチャージングハンドルを引いて初弾を装填、更にアンダーバレルに装着されたM320グレネードランチャーに40㎜グレネード弾を装填する。相棒のコルトM1911A1もマガジンを装填しスライドを引いて初弾を装填し、レッグホルスターに、これで準備は整った。僕はトイレ備え付けの鏡で自分の姿を見る。ガスマスクを被り銃火器で武装した18の殺し屋。これが僕だ。今から僕は相原幸蔵の命を刈り取る死神だ。そう思うと心臓がドクンドクンと早鐘を打つ。アドレナリンが出てきて気分が高揚してきた。僕はこの状態が終わるまでに決着をつけるためにPHSである番号に掛けた。復讐開始のゴングが鳴る。僕は階段を駆け上がり40階を目指す。相原幸蔵のいるオフィスへ。相原幸蔵がオフィスで仮眠を取っていると固定電話がけたたましく鳴る。幸蔵は眠りを邪魔された苛立ちのまま電話に出る。「お休みのところ申し訳ありません。問題が発生しました」「何があった。」「地下駐車場で爆発がありました。清掃業者の車が爆発したようです。」ついに来たか。と幸蔵は確信した。「分かった。緊急事態だ。もう殺し屋がこのビルに潜入しているはずだ。警備員全員に通達。警戒を厳にし、ビル内にいる殺し屋を発見即射殺しろ。それと地下の武器庫で武器を装備させろ。警察の方には手を回してあるから派手にやれ・・・後、警察、消防は絶対敷地内に入れるなよ我々だけで片をつけるんだ」指示を出した後、別の番号にかける。「俺だ、そうだ奴が来た。どれぐらいでこちらに来れる?分かった10分くらいだな。出来る限り早く頼むぞ」幸蔵は備え付けのボディアーマーを着けウィスキーにグラスを注ぎ一口で飲み干す。そしてデスクの引き出しを開けて、エングレーブ加工されたブローニングハイパワーを取り出すのであった。警備員達は幸蔵の指示を受けて慌ただしく動き回っていた。ある者は侵入したと思われる清掃員を探し、ある者は地下の武器庫に武器を取りに行っていた。地下の武器庫にエレベーターで降りた警備員達はプレートキャリアを着け、HK XM8にマガジンを差し込む。しかしエレベーターに乗ってしまった事が彼らの誤算になる。幸蔵のオフィスで再び内線が鳴り出す。「何だ」「警備員から報告がありました。20階の男子トイレで清掃員が来た形跡あったそうです」「分かった20階から上の警備を厳重にしろ。絶対にしとめるんだ」警備員が2人階段を降りていく。彼らは無線から聞こえてくる情報を聴き逃すまいとそちらに夢中になりすぎて下から上がってくる影に気づくのか遅れた。僕は上から降りてくる1人の警備員に一気に近づき、M1911A1で頭を撃ち抜きそのままもう1人の警備員にぶつける。死体と壁にサンドイッチされて動けなくしてから頭を狙って引き金を引いた。銃声が鳴り響き僕の居場所はバレてしまっただろう。静かにいくことはもう無理だろう。早速、複数の足音が近づいてくる。僕は足音が聞こえる方へHK416を構える。上から来た警備員達に指切りの短連射を浴びせて行く。先頭の警備員がクルクル回りながら倒れる。後続の警備員達も負けじとMP5Kを撃ち返す。9㎜弾と5.56㎜弾が交差する。タタタッ、バララララ、とけたたましく銃声が鳴り響くが、勝利の女神はどちらか一方の者にしか微笑まない。4人いた警備員は全員崩れ落ち僕は無傷だった。しかし1階登る度に上から迎撃される。その度に足止めを食い、弾と体力を消費させられる。33階まで来た時、遂に下から警備員が追いついてきた。僕は仕方なく手榴弾で警備員を足止めして階段から退避した。33階で敵どうにか警備員を巻けないか考えているとき、エレベーターが動いているのが目に止まった。どうやらこちらに向かってくるらしいが、自殺行為にしかならないだろう。エレベーターの中では地下の武器庫から武器を取ってきていた警備員達が無線を聞いて、33階に向かっていた。もう少しで着くというところで彼らは銃の安全装置を解除した。誰かが緊張のためか唾を飲み込む音が聞こえた。33階につき扉が開いた時、彼らは自分たちに向けて銃を構える人間を目にした。それが彼らが最後に見た光景だった。僕はエレベーターの扉が開くと同時にM320の引き金を引いた。飛び出した40㎜グレネードは放物線を描きながら迷う事なくエレベーターに飛び込み、先頭にいた警備員を奥に吹き飛ばす。エレベーターの扉が閉じた瞬間・・・40㎜高性能炸薬弾が炸裂。扉が閉じて、密室となったエレベーターの中で逃げ場もなく、死の暴風が吹き荒れる。再度エレベーターの扉が開いた時、中にいた5人全員は焦げた肉の塊となり壁には血がこびりついていた。僕は階段から迫る警備員を迎え撃ちながら階段に向かう。1人目の頭を撃ち、2人目の喉を貫き3人目は2人目の死体を盾にして近付き、銃口で腹を突きストックで顎を殴り頭に3発。脇腹に強い衝撃、4人目から撃たれたようだが、痛みを無視して撃つが、相手の銃に当たって、弾け飛ぶ。照準を修正しようとしたが、相手が体勢を低くしてタックルしてくる。相手のタックルを受け止めて足を掛けて相手を倒して、ナイフで首を突く。敵の攻撃の勢いが弱まったところで、階段を上がって行く。後7階。幸蔵は内線で逐一状況を受けている。「殺し屋を仕留めたか?まだ?早く仕留めろ」「北の正面玄関に女子高生が来ているだと?どっから入ったんだ追いかえせ」「殺し屋は今何階だ?35階に追い込んだ?絶対そこで仕留めろ」受話器を置いてから幸蔵は気付く。さっき報告にあった女子高生の事だ。慌てて携帯で、敵殺し屋の現在位置を伝える。確か雇った殺し屋は女子高生だったからだ。僕は35階に追い立てられていく。通路の前後を挟まれた僕は近くの部屋に飛び込む。パーテーションに仕切られパソコンが置かれている部屋だ。飛び込んだ瞬間壁を貫通して弾丸が飛んでくる。僕は慌てて部屋の奥へ、尚もフルオートで弾がばらまかれパーテーションに穴が開きパソコンの液晶が砕け散り、天井の照明も破壊され、様々な破片が降ってくる。銃声、空薬莢が落ちる音、物が破壊される音が僕の耳を襲いかかる。この時ほど耳栓をつけていてよかったなと思う。銃声が止んだ。敵はこの部屋に入ってくるようだ。ドアは2つ。僕の正面から見て左から3人右から3人。照明は破壊されているので室内は暗く警備員達は慎重に索敵していく。照明のは1つは点滅し光と闇を交互に作り出す。殺し屋は見つからない。6人30発合計180発この部屋に撃ち込んだから殺し屋はハチの巣のように穴だらけのはずだ。後は死体を見つけて社長の前に引き出せばそれで終わりなのにこの感情は何なんだ。まるでこちらが罠に誘い込まれ獲物のような気分だ。照明が点滅している光と闇を交互に作り出す。光から闇から光になった瞬間ガスマスクが視界を埋め尽くした。僕は近くの敵の隙をついて正面に立ち相手の銃を払って、左の逆手でナイフを首に突き立てる。接近戦になるので右手にはM1911A1を構えてナイフで殺した死体を盾にしながら左側にいた2人の頭に2発ずつ撃ち込む。M1911A1にはロングマガジンを装填してあるから残り6発。右側の3人に狙いをつけようとしたところ敵が発泡死体の盾が穴だらけになる。僕も何発かもらうが全てボディアーマーが貫通を防ぐ。4人目、5人目を地獄に送り6人目に照星と照門を相手の頭に合わせて引き金を引く相手の頭に穴が開くと同時にスライドが後退したままになる。弾切れだ。僕は素早く空マガジンを落とすと同時に左手で新しいマガジンを装填しスライドストッパーを解除周りに敵がいないか警戒。敵がいない事を確認して僕は階段に向かう。階段に向かう途中、僕は左腕から血が滴り落ちている事に気づく。どうやらさっきの戦闘で被弾したようだ傷は深くないが、止血のために僕は手近の部屋に入るどうやらこの部屋は会議室のようだ。医療キットで応急手当を終えた直後、背後のドアが開き「手を上げろ」という警告の言葉が聞こえた。どうやら油断していたようだ。会話しているので2人いるらしい。1人が無線で報告しているらしい。「了解しました」そう言って無線から指示を受けた警備員2人は殺し屋の頭を狙って引き金を引こうとするその時、廊下からこちらに向かってくる足音が聞こえ、「見つけた。私のエモノ」場違いなほど明るい女性の声に僕も警備員達も一瞬、思考停止状態に陥る。「何だ、おま・・・がっ」そう言い終わらないうちに警備員2人の頭に7.62㎜フルメタルジャケット弾が空洞を作っていた。「あいつは私のエモノなの横取りするなオッサン」そう言って自身の血溜まりに沈む死体達に語りかける。「さて、邪魔者もいなくなったし2人きりで楽しもうかエモノさん?」そのセリフには残忍さと狂気の2つが宿り僕は得体の知れない恐怖を感じていた。「こっちを向きなさい。このままあんたの脳みそぶちまけてもいいんだけど、あんたは1度私の手から逃れた。今までエモノを逃した事なんてなかったのにあんたは生きている。だ・か・らあんたの顔が見てみたいわ。生き延びたエモノの顔をね」僕は振り向いた。それ以外の手がなかったからだ。振り向いた先の殺し屋の顔を見た時、僕の顔は驚愕で固まった。「そのガスマスクも取りなさい」エモノがガスマスクを外していく。そもそも何でこのエモノの顔なんて見る必要があるのか?理由は分からない。ただなんとなく見ないといけないと思った。ガスマスクが取れて顔が露わになる。「き・・・君はっ!」一瞬構えていた銃口を下げてしまった。その一瞬の隙を突かれて、彼女が銃口を下げた一瞬の隙を突いて、僕はHK416を拾って構えて撃つ。避けられた。反撃の弾丸が放たれとっさに身を低くして机に身を隠す。

反撃をかわして僕も撃つ。彼女が隠れている机に穴が開くだけで、手応えがない。居場所を素早く変えて攻撃を避けているようだ。僕の方にさらに弾丸が迫る。机は弾を防ぐには頼りなさ過ぎる。机は身を隠すには最適だが、身を守るには全く適さないそれは向こうも同じのようで、一ヶ所に留まらず、数発撃ったら移動を繰り返していくが、2人の放つ弾丸は机、椅子、壁を破壊していくだけだった。そして、2人が至近距離で銃を向けあった時 ガチンッと同時に弾切れを起こした。数秒間静寂の世界に包まれた。その沈黙の殻を破ったのは僕の一言だった。「お久しぶりです。生徒会長」そう彼女は僕が通っていた学校の生徒会長。宝城マリア、学校の人気者で美しい金髪と吸い込まれそうなほど綺麗な黒い瞳が僕の視界を覆い尽くす。

「久しぶり、今まで何してたの?」その言葉をきっかけに僕と生徒会長は同時に動く。2人とも左手で新しいマガジンをつかみ僕は右の人差し指でマガジンリリースボタンを押し、生徒会長は左手のマガジンでマガジンリリースレバーを押して空マガジンを捨て新しいマガジンを装填し薬室に初弾を装填し引き金を引く。2人とも頭を狙って撃つが紙一重でかわす。「殺し屋としてスカウトされました。人も殺しました」「何人も?」「何人も殺しました。みんな悪いやつでした。」会話しながらも2人とも双方の頭を狙い銃弾が飛び交う。「生徒会長はいつから殺し屋を?」「私?私は小さい頃からやってたわ。君よりも多くの人間を殺してきた」会話しながら殺しあう。僕と生徒会長。端から見ればただ殺しあう男女にしか見えないが、僕は死ぬかもしれない恐怖は感じなくなり、それよりも、生徒会長と殺しあうことに喜びを見出している自分がいた。「フフフッ」生徒会長が笑っている。その表情はとても魅力的に見える。僕の心臓が高鳴る。頭に狙いを定めて引き金を引く直前、相手の銃が僕の銃にぶつかり、無理やり狙いを逸らされる。生徒会長が僕の頭に狙いをつけるが、僕も銃をぶつけ狙いを逸らす。狙う。逸らされる。撃つ。狙われる。逸らす。撃たれる。それを繰り返し再び弾が切れる。「いいよスッゴイ楽しい。君と殺し合う事がこんなにも楽しいなんて」生徒会長は持っていたAKMSUを落とす。「僕もとても楽しいです」僕もHK416を捨てる。予備マガジンはもうない。「もっともっと楽しもうよ!」生徒会長はスカートの裾をつまんでたくし上げていく。僕は顔を赤くしながら、その光景を見ているとスカートの下にスパッツを履いていてスパッツの上のベルトと太もものベルトで固定されていた棒状の物を両手に構えた。トマホークだ。生徒会長はトマホークを片手に一本ずつ構え、「さぁ第2ラウンドの始まりだよ」机の上に飛び乗った生徒会長は左右のトマホークで僕の首を狩りに来る。間一髪後ろに下がって避ける。ブォンという風切り音がして一瞬前まで首があった場所を二振りのトマホークが通り過ぎていく。僕は左手にナイフを右手にM1911A1のスライドを持ってグリップを相手に向ける。右のトマホークが迫る。かわす。すかさず左のトマホークが向かってくる。避けられない。グリップで受け止め・・・止められない。ズンッと重い衝撃が右手を襲う。僕は受け止めずに受け流す。右、左とコンパクトにトマホークを振るう生徒会長。素早くかつ重い斬撃。僕は防戦一方になり反撃が出来ない。ガン、ギンと甲高い音が起こるたびに僕のナイフと銃のグリップが削れていく。トマホークの斬撃ばかりに気を取られていると右のローキックが僕の内腿を抉る。「さっきから防御ばっかりね。もう死ぬ?」そう言って生徒会長が僕の顔を見る「でもまだ死ぬ気はなさそうね。」「えっ?」僕は思わず聞き返してしまった。「だってあなたとても楽しそうな表情(かお)をしてるもの」「それはそうですよ。」僕はトマホークの一撃を受け流す。「生徒会長と殺し合う事が凄く楽しいんです。僕は狂っているんでしょうか?」生徒会長は声を上げて笑う。「いい、いいよ。君最高だよ。そう私達みたいなのは狂ってるんだよ。狂ってるから人間を殺しても何も感じない。けどね」ミドルキックを防ぐ。「私も君と殺し合うのはすごく楽しいよ。ずっとこうしていたい。けど、私も依頼を受けてあなたを殺しにきてるからそろそろ終わらせるよ」更に激しくトマホークが迫る。このままでは、死ぬ。まだ死ぬわけにはいかない。僕は賭けに出た。生徒会長のトマホークの一撃が僕の右腕に吸い込まれる。瞬間僕の右手首が銃を握ったまま宙を舞っていた。「これで、トドメ」トマホークが脳天に振り下ろされる。僕はその一撃をかわして懐に飛び込む。「コノッ」トマホークの乱舞を僕は避けて、受け流して生徒会長に肉薄する。近過ぎてトマホークを振れない生徒会長はトマホークの柄で僕のこめかみを狙うが、手首に痛みが走って右手のトマホークを取り落とす。右手が使えないならばと、左のトマホークでこめかみを狙うが、同じく取り落とす。傷みを感じたところを見ると両手首の動脈を切られたようだ。血が噴き出している。(ああ、これで終わりか)そう思いながら、生徒会長は心臓に迫るナイフを見つめていた。僕のナイフは生徒会長の左手側の第3肋骨と第4肋骨の間に抵抗なく入ってく。刺した時の勢いで僕が生徒会長を押し倒すような形で床に倒れる。僕が身体を起こそうとすると生徒会長と目が合った。彼女は恨んでるわけでも悲しんでるわけでもなく、満足した表情をしていた。生徒会長は口から血と共に言葉を吐き出した。「・・・勝ったと思ったのにな」「すいません」「謝んないでよ。変な奴」ゴホゴホッと血を吐く。「僕はまだ殺さなければいけない人間が2人いますだからまだ死ねません」「そう・・・そうだ。君の・・・」生徒会長の口が動いているが何を言ってるか聞き取れないので、僕は生徒会長に近づいていく。と、突然生徒会長に傷ついた両手で後頭部を固定され生徒会長の唇が僕の唇に触れた。ファーストキスは血の味がした。「な、何するんですか、会長」「君の命は奪えなかったけど、ファーストキスは奪っていくよ。君まだしたことないでしょ?」生徒会長はいたずらをした子供みたいな顔をしていた。「後1回くらい名前で呼んでよ。バカ・・・」それっきり生徒会長は喋らなくなった。「会長・・・いや、マリアさようなら」僕は残った左手でマリアの瞼をそっと閉じた。右腕に激痛が走り、自分の腕の状態を思い出し直ぐに応急処置を施した。それから飛んでいった右手から銃を回収(グリップは所々抉れロングマガジンは切断されていた。)し新しいマガジンを装填しベルトに挟む。HK416の弾は全て使い切り拳銃一丁では心許ないので、警備員の武器を拝借しようとした時、つま先に何かが当たった。見ると生徒会長が使っていたAKMSUだった。僕はそれを借りることにした。(ついでに予備マガジンも何個か借りた。)

準備を整えて相原幸蔵がいる40階に向かう。歩くたびに僕の右腕から血が落ち床を紅く染めていた。その頃ビルに向かってヘリUH-1Hイロコイが向かっていた。報道局の名前が描かれていて一見報道ヘリにも見えるが、乗っているのは報道局の人間ではなく、組織が雇った掃除屋が5人載っている。その中には警視庁捜査一課窓際族肩峰三郎の姿も合った。5人全員バラクラバで顔を隠しているので状態は不明だが、肩峰と同じ警官や自衛隊員などもいる。そもそもこのヘリ自体が、自衛隊から夜間飛行の訓練という名目で極秘に借りているものだった。ヘリが屋上に着くと着陸せず平気ロープを垂らす。そのロープで掃除屋達はラペリング降下する。掃除屋達は気配を殺して40階の相原幸蔵のところに向かう。だが直接手は下さず待つ。こちらに向かってくる殺し屋が、幸蔵を殺せば、掃除屋が殺し屋を始末する。殺し屋が死んだら幸蔵を始末する。もし2人共生き残ったのならば2人共始末すればいい。掃除屋達は40階で慌てふためく警備員達を交わしたり始末したりして身を潜めることにした。僕は階段を登って行く。全力で階段を上がり、追いかけてくる敵を撃ち落とし待ち構えている敵を撃ち倒していく。銃のストックを肩の窪みに当て脇を締めて構えたまま上に上がる。39階で、僕の足音に気がついたのか。1人上から表れた。敵も僕も出合い頭に会ったので、ろくに狙いもつけずフルオートで弾をバラまく。9㎜と7.62㎜が交差していく。警備員が鉛弾と死のダンスを踊り狂いう。だけど僕もそれを見ている場合ではない。9㎜が何発か当たっている。だがこれで止まることはない。止まってなどいられない。僕は遂に40階に到達した。40階にはあまり人の気配は感じられない。むしろ静か過ぎる。少し進むと答えがわかった。警備員達が死んでいる。誰がやったのかはわからないが見事な腕だ。ほとんど急所を撃たれたり突かれて殺されている。かなりの腕だ。だが僕の邪魔をするつもりはないらしく、仕掛けてはこない。気配と殺気を殺してジッとこちらを観察しているらしい。邪魔をしないならこちらも無視することにした。むしろそちらに残された少ない体力を使いたくなかった。傷口から血とともに僕の体力が零れ落ちていく。銃を構えながら慎重に目的地に向かう。まだ敵はいるのだから。この曲がり角を曲がれば着くというところで、僕は足を止める。耳を澄ますとかすかな物音が聞こえて来るのどうやら曲がり角の奥が敵の最終防衛ラインになっていた。そこは椅子や机でバリケードが築かれ免れざる来訪者を阻んでいた。その奥では警備員達がMP5Kを構えて待ち構えている。僕は角から姿勢を低くし片目だけで覗いて敵の動向を探る。慎重に時間をかけるよりも素早く攻める事にした。僕は最後の手榴弾の安全ピンを外し安全レバーを開放する。それから1秒、2秒と待ち、バリケードに向かって投げる。警備員達が僕に気づいて撃ってくる。僕は素早く壁に身を隠して

手榴弾が目覚めるのを待つ。投げられた手榴弾が、地面を転がりバリケードに当たる。その直後バリケードが吹き飛び、奥にいた警備員達に牙を剥く。椅子の足が1人の喉を貫き、机の破片が1人の腹を割き内臓が零れ落ちる。僕は爆発音が聞こえると同時に飛び出し奥に向かう。相原幸蔵がいるオフィスの扉に。相原幸蔵は窓の外を見ていた40階から見える景色は最高だ。高い所から見下ろすだけで自分は特別な人間だと思っている。今もそうだ。これからもっと上に登り今までよりも多くの人間を見下していく予定だったはずが、今彼の眼下に広がるのは、赤色灯が明滅している。このまま殺し屋を返り討ちにしても、身の破滅は免れない。ならば、ならばこそ、殺し屋を確実に殺す。俺の人生を崩壊させたあの殺し屋を道連れに地獄に落ちてやる。その時、扉の向こうで爆発音がした。幸蔵は椅子に深く座りデスクの上にブローニングハイパワーを置いた。来い、殺し屋。ドアに銃弾が撃ち込まれ鍵が破壊された。ドアが開く。幸蔵は間髪入れずにブローニングハイパワーの引き金を引く。引き続ける。13発全てを撃ち尽くし、ハイパワーのスライドが後退して止まるが、幸蔵の指はなおも引き金を引き続けていた。銃声の後に聞こえるのは引き金を引く音と、空薬莢が地面に落ちる音が響く。幸蔵が放った9×19㎜パラベラム弾は全くの無駄になった。なぜならドアを開けたと同時に撃った時には僕は思い切り姿勢を低くしたので弾丸は全て僕の頭上を通過していった。僕は部屋に入り冷静に狙いをつけ5回引き金を引く。僕のM1911A1から発射された45ACPが幸蔵のブローニングハイパワーを指とともに吹き飛ばし左の肘、肩、右の肩、肘の順に撃ち込む。幸蔵の両腕は鉛弾でグチャグチャになっていて2度と使い物にならないだろう。そんなことをもう考えることもないだろうが。両腕の激痛が幸蔵の精神を抉り続けていたが、それよりも近づいてくる若い男の殺し屋に目が離せなくなっていた。こんな、こんなガキに俺は殺されるのか。幸蔵は必死に穴だらけの右腕を動かそうとしていた。動くはずもない右腕を必死に・・・僕はこの両腕が動かなくなったイモムシのような男の額に照準をあわせる。幸蔵の口が動き何か言葉を紡いでいる「・・・。こ・なガ・に・は殺さ・・・か」何を言ってるかは分からないが口は意味不明な言葉を延々と紡いでいた。「もう黙れ」僕は引き金を2回引いた。放たれた鉛の獣2匹が幸蔵の額から侵入し皮膚を食い破り骨を噛み砕き脳味噌を食い散らかし後頭部から抜けていった。終わった。僕の全身から途端に力が抜けていく。後方から何者かが近づいてくる気配がする。おそらく僕を消しに来た組織の殺し屋か何かだろう。だが僕のやる事は終わった。だからもう地獄に落ちても構わない。その時携帯が落ちた。メールが入っていた。僕はそれを確認した途端全身に力が入る。そうだまだ復讐する人間が1人いた。そいつを殺す為にはここから生きてでなくては、僕は武器を確認し、迫り来る脅威に対応する為に意識を集中させた。「・・・それで、なんとか敵を撃退して脱出して来たんです」話を聞いた女性レポーターは思考停止になっていた。この負傷者は何を言っているのか?きっと大怪我で意識が朦朧としていてるのだろう。だから私は正常。この怪我人がオカシイのだ。レポーターは脳内でそう判断した。「すいません。負傷者を搬送しますので離れてください」救急隊員に注意され離れる女性レポーター。彼女は注意深く見ていれば気づいたかもしれない。今、インタビューした負傷者を乗せた救急車が病院とは反対の方向に向かっていることを・・・。僕は目を覚ました。ここはどうやら救急車の中らしい。怪我は手当が施され血も(あくまで一時的にだが)止まっていた。「あら目が覚めたみたいね」「ミカさん?」「そうよ。アンタを助ける為に剛二郎と2人で救急車盗んできたの。もう大変だったんだから」「それはそれは、ありがとうございま・・・イテテ」傷が痛む。右腕が特に。「彼は目覚めたかい?」「ええ、目覚めたわ」救急車を運転しながら剛二郎が話しかけてきた。「すまないね。僕たちには、応急手当が精一杯でね。このままモグリの病院に向かうかい?」「いえ。先ほどもらったメールの所に向かいます。適当な所で降ろしてください」「分かった」「ちょっとちょっと、アンタそんな身体でまだ復讐しようっていうの?」「ええ、行きますお二人もこれ以上僕と関わるとまずいと思います」「そう、じゃあさっさと行っちゃいなよ。このバカ」救急車が止まる。「それじゃあ、ありがとうございました」僕が降りようとした時、「忘れ物だ」僕は剛二郎さんからパスされたM1911A1を受け取る。「ありがとうございます」僕はお礼を言ってその場を後にした。これが最後の1人だ。早朝、塵大吾はアパートから仕事先に向かおうとしていた。彼は運送会社で働いていたが、裏では麻薬の売人で小銭を稼ぎ、それをギャンブルにつぎ込んでいる生活を何年も続けていた。塵は最近運が悪くてイライラしている。競馬はガミってばっかだし、売人の小遣い稼ぎをつい最近大きな組が壊滅したとかで売ろうにも麻薬の在庫がない。こんなに運が悪いのは、あの出来事からだと塵は思っている。そう運送の仕事中に野良猫かなんかを引いて、トラックに傷がついたって理由で俺が修理代を払わされた。悪いのはあの糞猫なのに、今日は仕事が終わったら風俗でも行くか。と思いながら玄関のドアを開けると、目の前に男が立っていた。誰だ?清掃業者の格好をしているが、掃除など頼んでないし何より血だらけ傷だらけの男が、塵の目の前に立っていた。「なんだお前‼︎」相手は無言。「聞こえているのか。俺は今から仕事なんだよ。どきやがれ」塵が男を押しのけようと手を伸ばそうとした時、男の左手が素早く動き懐から何かを取り出した。それは拳銃のようなもので、幸蔵の額にピタリと狙いをつけていた。片足を裏稼業に突っ込んだ塵でさえ拳銃を向けられるのは人生初で人生最後の出来事になった。僕は塵の額から首に狙いを変え引き金を絞るように引く。銃声が響き渡る。塵は仰向けに倒れた。首からは動脈を撃ち抜かれ地面に血溜まりが出来る。塵は即死せず首の穴を塞ごうと両手で抑えるが、地獄に落ちる時間がほんの少し伸びるだけだ。僕は苦しみながら死んでいく塵をじっと見つめていた。やがて塵の目から光が無くなり動かなくなった。血溜まりはどんどん大きくなっていく。「仇はとったよ」僕は一言天国にいるであろうあの子猫に報告した。「動くな」背後から警告される。全く気づかなかった。「こちらの言う通りに動きなさい。変な動きをすれば・・・どうなるかわかるわね?」僕は小さく頷いた。どうやらかなりの凄腕だ。僕では全く歯が立たないだろう。「ゆっくりとこっちに振り向きなさい」僕は振り向く。そこに居たのは、グロック18Cを構えた女子高生が居た。「久しぶり23号あの時の訓練以来ね」彼女は僕が組織で訓練を受けていた時に一緒に訓練を受けて生き残ったもう1人の殺し屋「・・・24号、君が来たのか?」「ええ、あなたを殺すように組織が私に依頼してきたの」「そうか、24号、君は組織の殺し屋の道を選んだんだね。僕の復讐は終わった。こいつが最後の1人だった」「そうよ。私にとって殺し屋は最高の職業よ。これからもどんどん人を殺していくわ。そういえば、その男はなんで殺す必要あったの?」「こいつは子猫をひき殺したんだ。とても可愛い子猫を」「私も猫が好きだからそいつは死んで当然ね」24号が耳に手を当てた。インカムから支持が飛んだようだ。おそらく組織から。「じゃあそろそろお別れね」「そうだね、でも僕も簡単には殺されないよ」一瞬の静寂が2人を包み込む。バンバンと、2発の銃声が静寂を破り1人が倒れる。僕は空を見上げていた。胸のあたりが熱いどうやら心臓を綺麗に貫かれたらしい。24号が近づいてくる。「何か言い残すことある?」撃たれた後に聞かれてもな。とは口に出さず僕は別の言葉を血と共に吐き出す。「せめて僕を殺した君の名前を教えてくれないか?僕も自分の名前を君に教えるから」24号は少し考えてから「・・・いいわよ」「ありがとう。僕の名前は・・・・・・です」「私の名前は・・・・・・よ」「君の名前はとてもかっこいいね」あなたの名前は可愛い名前ね」僕たちは笑った。「じゃあトドメを頼む」私は彼に銃口を向けて引き金を絞る。こうして23号の物語は終わりを迎えた。数日後、私は組織の依頼場所に向かっていた。歩いてる途中で、街頭ビジョンがニュースを伝えている。「IPSC本社で起きた爆発事故は未だ原因解明には至っておらず原因の解明が急がれています。また警察はこの事故で亡くなった相原幸蔵氏に大してテロ組織に資金提供の疑いがあるためなんらかのテロ行為の疑いも視野に入れて捜査していろとの事です」結局真相は闇の中。「次のニュースです。アパートで射殺されていた塵大吾さんは麻薬の売人をやっていたという情報があり、麻薬がらみのトラブルではないかということです。犯人は未だに逮捕されておらず一刻も早い犯人逮捕が望まれます」真相を知るのは悪人ばかり

私のスマホに着信が入る。イノウエさんからだ。「さあ今日も元気に悪人を殺しに行きまょう‼︎」



ここまで読んでくださってありがとうございます。彼の23号の物語はこれで終わりです。彼女24号の物語も一応考えてありますが、他に書きたいジャンルなどもあるので、新しい物語が出来たら、また読んでいただきたいです。それでは最後まで読んでいただいてありがとう御座いました。

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