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【18】 ファム、決着

「治癒はすぐ終わるわ。少し待ちなさい」

レインはまことの手に自分の掌を重ねて、念じる

重なった掌が淡い光に包まれる

「俺の力……」

純は呟き、自問する――






「あなたには、わたしを倒すことはできない!」

ウンディーネは時間を止めることで落ち着き、頭のなかを整理できた

「ファム。あなたの本気を見せなさい」

「さっきの一撃、ウンディーネしゃんだけだったらやられてたはずでしゅ。本気は必要ないでしゅ」

舌足らずの口調でファムは言葉をかえす

「あなた以上に多くの仲間を持っていることを思い出したのです。わたしはあなたに負けない」

ウンディーネは考える

古くの敵との戦闘から仲間を守るべく、純たちに隠し事をしてファムに挑んだ

それは確かに仲間の無事を願うのであれば最善の判断

しかしながら、仲間への信頼が無かった

自分の持つ素晴らしい仲間たちを信頼できていなかった

「行きます……!」

ウンディーネは右手に氷のエストックを作り、左手に氷のナイフを作り出す

日本に伝わるこんな話がある

宮本武蔵の行った双剣の戦闘方について

木刀の二刀流だった。と、言われている

そしてその木刀は利き手に長い武器を持ち、もう片方に短い武器を持つスタイル

アンバランスに見えるが、知能もしくは経験があれば強力な戦闘技術だ

長い剣で敵に先制攻撃を仕掛けたり、短い剣で近距離からの攻撃をしたり

二本の剣で身を守ることもできる

速さを望むなら短い剣で攻撃も可能

先程のウンディーネの不意討ちの失敗原因の近距離からの攻撃にも対応ができる

ブンッ!

ウンディーネはまず最初にそのエストックを横凪ぎに一閃する

「やっぱウンディーネしゃんは楽しい!」

ファムはウンディーネとの戦闘が楽しくて仕方無いと言う。無垢な笑顔は本物だ

だが、無駄口をたたきながらもバックステップでよけたファムは魔法で応戦をする

「雷球!」

ファムの周りに明るく放電する球体が五つ飛び回る

「無駄です!」

ウンディーネの目の前に無数の水球が生まれて、ウンディーネがナイフを振ると同時に飛び立つ

「電気に水じゃ効果はないでしょ!」

ファムの周辺の雷球が飛び、水球とぶつかる

パチパチッ

水球が空中で弾ける。どうじに雷球も消滅する

「……!?」

「水に電荷を持たせて弾けさせれば電気は形状を保てないでしょう」

科学的な説明なのだろうが、魔術の戦いなので攻撃も対応策も科学とは関係ない

「隙あり!」

ウンディーネが右足を前に出して膝を曲げ、右手を強く前に伸ばした西洋剣術の美しい突きを繰り出す

ビュンッ

だが、エストックは空を切る

「魔法が効かないなら白兵戦か……ウンディーネしゃんは魔法がいいのにぃ」

ファムはその鍛えられた戦闘技術で突きを見切り、避けながら言う

「ナイフもたぶん効かないんだよね……」

ファムはやる気なさそうに言いつつナイフで高速の突きを放つ

一般人であれば目視も厳しいような速度の突きも、ウンディーネには効かない――





ギシャアアアア!

水の熊のクローが白竜のクローとぶつかる

高さでは水獣は白竜を凌駕しているが、相手は幻想生物、そう簡単には倒れない

白竜が咆哮を轟かせ、水獣への攻撃を強くする

巨大な翼を広げ、飛ぶ

白竜は空から強力な火炎放射を水獣へ放つ――





「治ったわ!」

「サンクス!」

レインによる傷の治療が終わった純は右手を少し動かして呟く

「すごいな……」

「普通は薬草と併用して薬草の効果を増幅させるんだけど、わたしたちダークエルフは何も使わなくてもある程度の回復はできる。その代わりに魔力をたくさん使うんだけどね」

「なるほどな……あとどれくらい魔力残っている?」

「まだまだ余裕よ」

戦闘に介入したばかりで他の魔法を使っていないレインは魔力が余っている

「よし、レインはウンディーネと交代、ファムを抑えてくれ!ウンディーネは一回引いて待機」

少し、作戦変更だ

流魅は今、強くなっている

レインも今はファムに勝てるだろう





爆炎に包まれた水獣の姿が見えなくなる

だが、流魅は冷静にその姿を見続けている

そして、ゆっくりと唇を動かし、流魅の力の強さを示す

「水獣……変形!」

爆炎の中から巨大な透明な翼が飛び出し、羽ばたく

周辺の炎は吹き飛ばされて炎から巨大な透明のドラゴンが現れた

「イメージできるものは全て再現できる!その竜の力、もらった!」

流魅の第二の力、形状再現の強さだ

水と作りたいもののイメージさえあれば、模倣して作ることができる

今の場合、白竜の強さを認識した流魅は白竜そっくりのドラゴンを造り出したのだ

そしてこのドラゴンの強さは、白竜と同等

「いっけえええええ!!」

シャアアアアアアアア!

流魅が叫ぶと水の竜が翼を広げて咆哮をあげる

その咆哮をも白竜と似ていることから、この水の竜がどれほど完璧に模倣されてるかがわかる

水の竜が唸り、口から強力な水流を打ち出す

先程白竜が行った火炎放射のままの勢いで噴出される水流は、白竜の体を飲み込み、吹き飛ばし、山の岩肌に激突させた

幻想生物、されど生物

白竜、絶命






「ウンディーネ様!代行いたします!」

「わかりました!お願いします!」

ウンディーネが隙をみて退き、レインがファムと対峙する

ファムは右手に鋭く光るダガーナイフを握り、レインを睨み付ける

「あなた、一体何者でしゅ……?その肌と髪……人外でしゅね?」

「幻想生物慣れしてるようね。わたしの名はレイン。ダークエルフよ」

「だ、ダークエルフ!?」

ダークエルフの血脈を引き継ぎ、強力な魔法を持つファムも驚く

当然だが純血のダークエルフとダークエルフの血を引くだけの人間ではダークエルフの方が魔力は強い

「ダークエルフなんて高知能て強力な魔法をもってる種族はとっくに死滅したはず……!」

「自らを守るべく、滅亡したと言うことにしたのよ」

知能を持つものは死後の存在を殺そうとは思わない

「試しに、わたしと魔法で勝負してみる?」

レインは笑いつつ右手をファムに向けて念じる

「まずは氷からよ」

レインの掌から冷気が迸ると同時、ファムは咄嗟に横とびして回避する

パキパキパキ……

ファムが慌てて見やると、レインの掌から直線上にうっすらと冷気の軌跡が残り、その先にある木が折れていた

「木の中の水分が膨張して各細胞が破壊。細胞壁の破壊された木は形状を保てず倒れてしまうわ。ちなみに、水分量だと人間の方が多いわよ」

カイオ○ガでもそんなに多くうつことができない冷凍ビ○ムを一瞬で、言霊も唱えずに片手だけで放射した

これはダークエルフの力の証明であり、序の口でもある

「次は炎」

レインが両掌を上に向け、掌から大量の火の玉が現れる

それらの火の玉は一直線にファムにつっこむわけではなく右手から放たれた火の玉は反時計回りに、左手から放たれた火の玉は時計回りにファムを囲みながら円を描く

「どうなるのかしら」

レインは呟き、炎の玉が一気にファムに襲いかかる

「……!」

全方位からの攻撃

ファムには避けることができず、直撃する

炎はファムが纏っていた外套を焼き払い、ファムの体は炎に包まれる――







「キヒヒッ!」

ファムはわらう

これから起きる不吉な出来事を、嘲笑う

「ウンディーネしゃんとの戦いは楽しかった!だけどもうわたしは要らないみたいでしゅ。だから、選手交替の時間でしゅ!」

狂気を振りまく極上の笑顔で、鋭く尖ったナイフの切っ先を自らに向け——

「やめろ!」

純が叫んで止めようとするも、獄炎に焼かれるファムは自らの体にナイフを突き立てた



「……キャハッ!あなたたちに、あの方は倒せない——














——ジャンヌ・ダルク様は、最強なのでしゅ!!」


ファムがうずくまり、最後の狂鳴を響かせたとき、炎の燃え盛る強さが一気に強くなり、嫌悪感を抱かせる低音が哭く

紅蓮の炎が舞い、陽炎が揺らめく

月光の下に爆炎が蠢き、されど純たちの背筋は凍りつく

「まさか……!?ジャンヌって!?」

「ウンディーネさん、ジャンヌ・ダルクって死んだんじゃ!?」

「ウンディーネ様!?」

純、流魅、レインは驚いてウンディーネに聞く

「…………彼女は……不老不死なのです」




業火が一層の輝きを増し、やがて威力を弱める

違う、威力が弱まったのではなく、一点に集り始めた

集る時も炎の力は弱くはならず、むしろ強さは増していく

やがて炎は人の形を形成し……人になる

「ごきげんよう。みなさん」

深紅の半袖ワイシャツ、深紅のミニスカート、深紅と漆黒のチェックのベスト、頭には黒の小さな帽子を乗せている女性マジシャンのような風貌の少女が純たちの目の前に対峙した

「四精霊サラマンダーと契約、身体を炎に変える力を持つジャンヌ・ダルクです。以後、お見知りおきを」








フランスの竜使い、ファムとの決着がつき、ラスボスが登場しましたね

意外な人物ですか?

最初の方に出てたから勘の鋭い人だと気付けたかもしれません

さてさて、クライマックスでございます

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