25話 ゴールさん再び
今日は、私の住む『クレーター跡地の街』に、雷の大精霊ゴールさんがやってくる日だ。
「緊張してきた……」
大広場。星の精霊が集まるその中心で、私は緊張しながらゴールさんの到着を待っていた。
因みに魔法少女キラナと黒龍ギルさんは、クレーター跡地周辺の警備に。
未だに私を捕まえようとする人間がいるからね、2人は精霊達と力を合わせて、頑張って人間を追い払ってね。
「シロボシ様、大丈夫です。落ち着いてください」
シリウス先生は私のそばに居てもらうことにしたよ。サポート係だね。
「何かあれば俺が助ける」
「ゴール様は相当なことがない限りは怒らない方です。安心してください」
魔法の大精霊アンダさんと、魔法少女オーラさんも私のそばで待機。ゴールさんを知る2人がいるのは心強いね。
「……あっ! 来た!」
ゴールさんの気配を感覚で察知した。
空から感じる大きな反応からして、ゴールさんは精霊を引き連れてこちらに向かって飛んできているみたい。
気配の感じる方角に視線を向けると、遥か上空に輝くものを発見した。
雷光を纏った龍が、豪勢な馬車のようなものを引いて、クレーター跡地へと真っ直ぐ飛んで来ていた。
「あれはゴール様の龍車です」
「龍車……」
そんな龍車の周りには、鎧を纏った雷の精霊らしき存在が複数飛んでいる。護衛なのかな?
「こっち来た!」
一部の精霊は雷を纏いながら先を飛んで、クレーター跡地に作られている離陸場に即座に降り立った。
雷と共に姿を現した精霊は両手を光らせると、龍に向かって身振り手振りをして合図を送り始めた。
龍車を引く龍は、合図する精霊の元へと降下していき、精霊と共にクレーター跡地の離着陸場に着陸した。
「ゴール様、到着しました」
「ありがとう」
人型の精霊は龍車の扉を開ける。中にいたゴールさんは、精霊の手を取って表へと姿を現した。
龍車から現れたのは、とんでもなく容姿が整った美少年だった。
「ゴールさん……?」
見るからに高価な衣装に身を包んだ、貴族のような身なりの少年は精霊を率いて私の前へとやって来た。
「やあシロボシくん、久しぶりだね!」
「ゴールさん、お久しぶりです」
どうやら彼はゴールさん本人で間違いないらしい。
「前と姿が違いますね……」
「君の精霊達から聞いたよ、シロボシくんは可愛いのが大好きなんだよね?」
ゴールさんは私の前で一回転をする。
「だから、思い切って可愛い姿に変えてきたんだ! どうかな?」
なるほど、その姿はゴールさんが思う「可愛い姿」なんだ。
「すっごく可愛いです!」
「あはは! やったね!」
私に褒められたゴールさんは嬉しそうに笑った。
「この姿で来た甲斐があったよ! 所で……」
幼い姿のゴールさんは、ソワソワしながら街の方に視線を向けた。
ゴールさんの視線の先にあるのは、街全体に広がる大規模なお祭り会場。
町中に飾られた提灯に火が灯り、精霊達の喧騒で溢れかえって、街の中はすっかりお祭りムード。
大通りには綺麗な屋台がズラリと並び、精霊達はスーパーや各地で入手した食料を持ち寄って、ご馳走を次から次へと生み出していく。
美味しそうな食べ物の匂いはこちらまで漂ってくる。
「いつもより随分と賑やかだねぇ……!」
「はい! 本日はゴールさんを歓迎するために、街全体を使ってお祭りを開いたんです!」
「お祭り! なんて素晴らしい響き……!」
お祭りと聞いたゴールさんは、さらに目を輝かせた。これは手応えありって感じだね!
ゴールさんの好みはアンダさんから聞いている。
とにかく派手で楽しいことをする。それだけ。
「奴は派手な行事なら何でも飛びつく」らしいので、グレードアップした地球のお祭りを開催することにしたよ。
主にグレードアップしたのは品質とか大きさとか。どんなお店になったのかは、見てからのお楽しみ。
そうそう、アンダさんから「念の為に祭り以外の計画も立てておけ」とも助言されてたから、別のスケジュールも立ててたよ。
仮にゴールさんにお祭りが気に入られなかったとしても、予備のスケジュールが幾つかあるから大丈夫。
中には宇宙に飛び出すやつもあったりして……これは最後の手段だけどね。
でも、今回は宇宙に飛び出す必要はないみたい。
ゴールさんはお祭り会場に視線が釘付け。すでにお祭りを気に入っている、と言っても過言じゃないね!
「ゴールさん!」
私は、お祭りを熱心に眺めるゴールさんに声を掛けた。
「沢山の屋台! 美味しいご馳走に、個性豊かなオモチャとの出会い! とにかく、こちらで用意できる限りで全力の楽しいお祭りを開きました!」
「素晴らしいね! そんな楽しいのなら、僕も是非とも参加したいね! シロボシくん、会場の案内をお願いできるかな?」
「ぜひ! 私に任せてください!」
私は浴衣の格好に姿を変えて準備を整えると、改めてゴールさんに話しかけた。
「さあゴールさん! お祭りを楽しむ準備はできましたか!?」
「うん! シロボシくん、お祭りの案内を頼むよ!」
「勿論です! 一緒にお祭りを楽しみましょう!」
私はゴールさんとその護衛達と共に歩き出し、賑やかなお祭り会場へと向かったのだった。




