26話 お祭り開始!
街にやって来た『雷の大精霊ゴールさん』のために、街を丸ごとお祭り会場に変えて大歓迎してみました。
「すごい……! 街全てをこんな賑やかにしてしまうなんて……!」
楽しいことが大好きなゴールさんは、お祭り会場を前に大喜び。
「ではここで、もうひと手間を加えましょう!」
「もう一手間?」
「それっ!」
私は空に向かって力を解放した。すると、空は一瞬にして薄暗い色へと変化して、空には大きな月が浮かんだ。
「この土地だけ夜にしました!」
「おぉ……!」
私達の前に広がるお祭り会場は、提灯などのさまざまなな明かりで、これでもかってくらいに輝きだした。
「綺麗だ……!」
「見た目だけではありません! このお祭りでは、とにかく楽しい出し物をたくさんご用意しました! ぜひ、心ゆくまで堪能してください!」
「うん!」
美少年姿のゴールさんは元気よく頷くと、猫型マスコット姿の私と共に、夜のお祭り会場の散策を開始した。
「…………」
「…………」
私達の後方にはゴールさんの護衛と、私の付き添いである大精霊アンダさんと魔法少女オーラさん、そしてシリウス先生が無言でついて来ている。
何か話をすればいいのに……
「あっ! あれは!」
ゴールさんは早速、気になるお店を発見したみたい。
護衛が反応するより早く駆け出したゴールさんは、アクセサリーが並ぶおもちゃ屋で足を止めた。
因みに、指輪やネックレスに使われている大粒の宝石は全て本物以上。
あ、因みに本物以上ってのは、ルビーやサファイアより更に高価な宝石ってことね。
この世界にあるダンジョンや秘境で採れる「幻石」っていう、石の中なのに炎が揺らめいてたり、水が流れてたりする、ものすごく綺麗な石だよ。
アンダさん曰く、「幻石をお店で購入しようとすると、とんでもない値段になる」のだとか……
「おぉ、ものすごいものがならんでいるね! 雑に並んでいるからオモチャなのかと思いきや、まさか本物の幻石とはね!」
「値段を付けられない代物が幾つも並んでいる……」
ゴールさんの護衛の1人は、沢山並ぶ幻石のアクセサリーを見て呆然としている。
「幻石をオモチャのように扱うとは……宇宙の精霊は興味深いね!」
だけどゴールさんの興味は、アクセサリー類の隣に並べられている光る輪っかに向けられていた。
「これは……! ライトフープじゃないか! なんて懐かしい!」
「ライトフープ?」
「この光る輪っかのことだよ! 昔はこれが大流行してねぇ! いやあ、懐かしいねぇ〜!」
ゴールさんは高価な幻石よりも安い輪っかに感動しているみたい。
ちなみにこれは、僅かな魔力で光る輪っかだよ。付け外しが簡単で、腕や首に簡単に取り付けられる優れもの。
魔法の精霊が作り方を教えてくれたよ。
夜のお祭りならやっぱり、光るアクセサリーがないとね!
「よし、買おう! 髪飾りと首飾りをそれぞれ2つ、腕輪は6つ貰おうか!」
「ありがとうございます! あ、腕輪は5つ買うと1つオマケでついてきます!」
「なら腕輪は5個で頼もう!」
『お買い上げありがとうございま〜す!』
ゴールさんの護衛がお金を支払う。売店の精霊店員は、光るアクセサリーをゴールさんに手渡した。
ゴールさんは光るアクセを早速装備。頭に飾りをつけて、ネックレスを首にさげて、カラフルな光る腕輪を腕に通した。
ゴールさんはピカピカになった。
「いいねぇ〜!」
まだ冒頭なのに、ゴールさんはかなり上機嫌。これはいい感じだね。
「…………」
「…………」
後方で控える護衛と私の付き添い達の会話はまだ弾む気配はない。なんか気まずい。
「やはり光る物はいいねぇ……おっ! あっちにも光る物が!」
「あれはヨーヨーすくいですね!」
ゴールさんがお次に見つけたのは、お祭りの定番、ヨーヨーすくい。
模様が光るヨーヨーは、プールの中をゆらゆら漂っている。とってもきれい。
「水の中を風船が流れているね。これがヨーヨーなのかな?」
「はい! 水が入った風船にゴムがついていて、こうやって指に引っかけて……こうやって跳ねさせて遊ぶんです!」
私は店員からヨーヨーをひとつ貰うと、ヨーヨーを装備して手を上下させた。
ヨーヨーは光を発しながらポンポンと上下に飛び跳ねた。
「へぇ〜!」
ヨーヨーを見たことがないのか、ゴールさんはそれなりに興味を示してるみたい。ならばお次にアレをお勧めしてみようかな?
「これが普通のヨーヨーです! 隣には大きなヨーヨーもあります!」
「大きなヨーヨー?」
「はい! 隣の屋台です!」
私はヨーヨーすくいの右隣にある屋台を指し示した。
「これって……プール?」
お祭り会場に、これでもかというくらい大きなプールが設置されている。
「階段を上ってプールの中身をご覧ください!」
「中……あっ!」
私と一緒に階段を上がってプールの中を見たゴールさんは、目を見開いて驚いた。
「大きなヨーヨーが沢山流れてる!」
綺麗な水が並々注がれたプールの中には、人の頭よりも大きなヨーヨーがどんぶらこと漂っていた。
そんな巨大ヨーヨーも勿論、模様は光る仕様だよ。
しかも! そんな巨大ヨーヨーの中には、光るスーパーボールや、水遊び用の色んなおもちゃが入ってるよ。つまり、水属性の福袋だね!
「すごーい!」
ゴールさんは巨大ヨーヨーをすっかり気に入ったみたい。プールのそばに駆け寄って、流れるヨーヨーを熱心に眺めている。
「僕これ欲しい!」
「分かりました! では早速、ヨーヨーすくいを始めるとしましょうか!」
「始める?」
「はい! これはヨーヨーすくいという遊びですからね!」
不思議そうにしているゴールさんの元に、おもちゃの釣り竿を手にした精霊が姿を現した。
「この釣り竿で、お目当てのヨーヨーをすくい上げるんですよ!」
「へぇ〜! 楽しそうだね!」
「失敗しても1個貰えますからね! 折角だから私も参加します!」
「じゃあ、こっちは護衛も入れて3人でやってみようかな!」
『あいよっ!』
精霊は元気よく返事をすると、4人分の大きなおもちゃの釣竿を持って来てくれた。
「よし! じゃあルナ、ライト、君達にこの釣竿を託そう!」
「はっ」
護衛の2人はゴールさんの前で跪くと、おもちゃの釣竿を丁寧に受け取った。
「ルナはあの光ってるやつが沢山入ったヨーヨーを、ライトは大きなおもちゃが入ったヨーヨーを取って!」
「かしこまりました」
美少年姿のゴールさんは、護衛に派手な巨大ヨーヨーを取らせようとしてるみたい。
ゴールさんの指示に恭しく返事をした護衛は、目当ての巨大ヨーヨーが浮かぶポイントへと走り去った。
「よし! 僕は1番大きなヨーヨーを狙ってみようかな! シロボシ、どちらが大きなヨーヨーを釣り上げられるか勝負しよう!」
「いいですね! では、大きさだけでなく、ヨーヨーの中身勝負もいかがですか? 中に入ってるおもちゃの凄さで競うんです!」
「いいね! どちらも絶対に負けないからね!」
「私も手加減しませんよ!」
こうして、私とゴールさんとのちょっとした勝負が始まった。
「あれが1番大きそう! 中身も豪華そうだ!アレさえ釣れれば僕の勝ちだね!」
「なんの! こっちにも大きくて面白そうな物が入ったヨーヨー見つけましたよ!」
私達は互いに声を飛ばし合いながら、大はしゃぎで巨大ヨーヨー釣りを楽しんだ。
ゴールさんはとっても楽しそうだった。
なんというか、はしゃいで遊ぶゴールさんは見た目だけじゃなくて中身も幼くなっていたような……そんな気がした。




