15話 自己紹介します
魔法の大精霊アンダさんの神殿にお邪魔した、星の大精霊の私。
私を友達認定するアンダさんに対して私は、この場に大勢の星の精霊を集めると、私の可愛らしさを使った自己紹介を始めることにした。
「では……私の自己紹介したいと思いますっ!」
アンダさんや透明な騎士達が見守る中、私は大々的に宣言しするとその場から姿を消した。
それと同時に、周りにいた精霊達は一斉に魔法を展開して、この広大な神殿内に宇宙の景色を形成した。
「……!」
周囲に作り物の星が浮かび上がる景色に、アンダさんをはじめとする魔法の精霊達は揃って釘付けとなる。
そんな美しい宇宙空間の中から、私は派手なエフェクトと共にポンと姿を現した。
「初めまして! 私は星の大精霊、シロボシ! 星の力を持った大精霊です!」
私の周りに惑星が集まって星らしさをアピールする。
「主な星の力をご紹介します!」
私はそんな惑星の中の、特に地球っぽい緑豊かな星に飛び乗った。
そこに他の精霊達も集まって惑星に降り立つ。
「私の力は主に……重力!」
自分のいる緑の惑星に力を向けると、重力が軽くなって私と精霊達はフワフワと浮かび上がった。
「ワープ!」
私達はその場から消えて、ワープで何度もあちこちに姿を現す。
「高エネルギー攻撃!」
重力を解放したらお次は、両手から高威力のビームを出して辺りに浮かぶ隕石を一掃。
「そして……大爆発!」
少し大きめの隕石に力を込めると、隕石は眩い閃光を放って周囲を巻き込みながら消滅した。
「……主にそんな感じのことが得意な大精霊です! まあ、争いは好きじゃないので、基本はあまり力は使わないと思いますけど……」
その場で寝そべる仕草をすると、精霊達はベッドや食べ物の形を作って私を取り囲んだ。
ぐうたら感が出るし、これはかなり分かりやすくていいね。
「お次は、私を構成する主な物を……つまり、私自身について説明します!」
私はベッドから飛び降りる。
「私の考え方は基本的に人間寄りで、食べることが大好きです!」
精霊達は食べ物を手に私の周りに集まった。
「安全な場所で食べて寝て……そんな感じの生活をするのが将来の夢。そして、楽しいことが何より大好き!」
精霊達は私から離れると花火になって弾けたり、闇夜に輝くジェットコースターや観覧車になって動き回ったりしてくれた。
「……そんな感じです!」
私が雑に締めると、精霊達は景色を元に戻して、ワープで私の周りに集まってくれた。
行き当たりばったりで雑だけど、少しは伝わったかな?
「えっと……そうだ、私は友達というのがよく分かっていません! ものすごーくラフなものだと思っています!」
最後に、私は友達の考え方について話をする。
「アンダさんとも、まずはゆるいお友達から始めてみたいなと……そんな風に、思っております……以上です」
出し物に不安を覚えたからか最後は尻すぼみになったけど、何とか自分の自己紹介を終えた。
……行き当たりばったりだったけど、大丈夫だったかな?
自己紹介の前に、私は生まれたての赤ちゃんだって宣言はしてたけども……なんか知らないところでアンダさんに喧嘩売ったりしてないよね?
かなり軽率だったかな……でも、変に何もせず友達を続けても、どこかで仲違いを起こす可能性もあったし……
なんて考えていると、パタパタと何かを叩くような音が聞こえてきた。
音のした方を見ると、そこには綺麗に並んだ透明な騎士達。
そんな透明な騎士達はみんな、私に向けて拍手をしてくれていた。
騎士の群れの中央にいる大精霊アンダさんも、無表情のまま拍手をしていた。
「素晴らしい見せ物……です」
魔法少女オーラさんも、僅かに表情を緩ませてゆっくり拍手をしていた。
「今のシロボシ様自身を、私達に頑張って伝えようとしているのがよく分かりました」
「ありがとうございます……えっと、不適切なところはなかった……ですかね?」
「大丈夫です」
アンダさんとオーラさんに交互に顔を向ける私に、オーラさんは優しく言葉をかけてくれた。
「シロボシ様の言いたいことは何となく分かりました。これからお互いに理解し合い、仲を深めていこう……ということですね」
「まあ、そんな感じです!」
「大丈夫です。私も、アンダ様も理解出来ました」
良かった……アンダさん、私の言いたいことを少し理解してくれたみたい……
「では、始めましょう」
「えっ?」
オーラさん、何を始めるって?
なんて問う前に、私は目にも留まらぬ速さで動いたアンダさんの手に捕まった。
「うわあっ!?」
そのままアンダさんに抱き抱えられた。
「キラナ先輩は私と一緒に……」
「えっ? 何々?」
キラナはオーラさんと手を繋いだ。
「えっと……これは……」
「アンダ様は、シロボシ様の見せてくれた出し物に応えようとしています」
「応えるって……」
一体何する気?
「アンダ様も自己紹介として、これから魔法の大精霊様の異空間にご案内するそうです」
「えっ?」
「本殿で歓迎会を開く、とのことです」
「えっ? えっ?」
私の困惑には目もくれず、アンダさんはその場でジャンプして、物凄い勢いで空を飛び始めた。
「えっ!? ええっ!?」
「きゃー! すごーい!!」
神殿の中を飛んで中庭に入って、果てしない空を飛び続けたら、その先に待っていたのは幻想を超えたとんでもない世界だった。
あちらこちらに土地があって、見たことない植物が群生する森に恐竜に、透明になって壁をすり抜ける騎士団に、果てしなく大きな巨人に……
なんというか、もう色んなものが盛りだくさんだった。
「すご……」
「シロボシ様、あそこです。あの本拠地で歓迎会を開きます」
「……えっ?」
数々の森を抜けた先に広がるのは、クレーター跡地にあった神殿よりも遥かに巨大な、もはや建物と呼ぶには大きすぎる大神殿。
「ひぇ……」
飛んで中に入ると、そこには神殿で見かけた時より遥かに数の多い精霊の姿が。
恐竜人間、結晶人間、巨人に小人に……とにかく、ものすごーい数の精霊でひしめいていた。
そんな精霊達は……
『星の大精霊シロボシ様、ようこそ』
既に話はついていたみたいで、精霊達はみんな、見たことない料理を手に私を歓迎していた。
「これは……」
「シロボシ」
困惑する私の前で、アンダさんは初めて口を開いた。
「お前を友として、心から歓迎する」
「あ……ありがとう、ございます……」
これ、本当に大丈夫……だよね?
次回からは週一更新となります。




