13話 友達宣言
魔法の大精霊アンダさんから貰ったネックレスが突然輝いたかと思うと、なんとネックレスから新たな魔法少女が誕生した。
「魔法少女……?」
同じ魔法少女であるキラナは、目の前に突然現れた女の子に目を丸くして驚いている。
「魔法少女オーラ……ちゃん?」
「はい」
キラナの疑問混じりの呼び掛けに、オーラさんは無表情のまま反応する。
「私は魔法少女キラナさんを元に、アンダ様の手により生み出されました。平和を守る存在として、今日からこの土地をパトロールします」
「そうなんだ!」
淡々と話をするオーラさんに対して、キラナは嬉しそうに言葉を返す。
「じゃあ私は先輩で、オーラちゃんは後輩ってことになるんだね!」
「そうなります」
「やったー!」
キラナは新しい魔法少女が増えて大喜び。その場で何度も飛び跳ねて喜びを表現している。
目の前のオーラさんは無表情のまま、大喜びのキラナをじっと見つめている。
「オーラちゃん、よろしくね!」
「よろしくお願いします……キラナ先輩」
「!!」
先輩と呼ばれたその瞬間、キラナは直立の姿勢のまま軽く飛び跳ねた。
同時に、地面に転がっていた石が重力を失ってフワリと浮かび上がった。どうやらキラナから星の力が漏れてるみたい。
「オーラちゃん!」
我に返ったキラナはすぐさまオーラさんに接近した。周囲の重力は元に戻って、浮かんでいた石は力なく地面に落下する。
「分からないことがあったら何でも言ってね! と言っても私も生まれたばかりだけど!」
「ありがとうございます」
キラナはオーラさんを気に入ったみたい。オーラさんもはしゃぐキラナを前に、僅かに表情を緩ませた。
「あっ! オーラちゃん今笑ったよね! かわいー!」
「笑ってません」
キラナに指摘された途端、オーラさんは一瞬で無表情に戻った。なんかシュッて効果音が出たんじゃないかってくらい素早かった。
こうして可愛い子を眺めるのもいいもんだね。
「それにしても……まさか突然現れたかと思えば、ここの平和の為に戦ってくれるなんてね。なんか見返りとかある?」
「いえ、滅相もないです」
私の言葉にオーラさんは無表情のまま首を横に振る。
「見返り無し……ただ、美味しいご飯さえあれば他に何もいりません。特に揚げ鶏……」
オーラさん唐揚げ大好きなんだ。なんかアンダさんに似てるね。
「それに、大精霊シロボシ様はアンダ様のご友人ですから。私は謂わば、友好の証です」
「……?」
今、なんて言った?
「友達……って? 私とアンダさんが、ってこと?」
「はい」
はい?
「お食事の会場でシロボシ様に声を掛けられ、そこで友人になったのですよね」
……まさか、バイキング会場でアンダさんに「新しいお皿で取ってください」って言ったアレ!?
もしかしてあの一声をかけたことで、アンダさんから友達判定されたの!?
「へぇ〜! シロボシってば、いつの間にアンダさんと友達になってたんだ!」
「えっと……あの……」
色々と言いたいことはあるけど、これは下手に放置したら絶対にまずい!
いつかどこかで亀裂が入って、取り返しのつかない事態に陥りそう……!
「シロボシ様。今後とも、アンダ様とも仲良くしていただけたらと……」
「あのっ! オーラさんっ!」
私はオーラさんに食いつかんばかりに言葉を発した。
「アンダさんが作った神殿って、何か入り方とか何かしら作法とかあるかな!?」
「えっ?」
私の言葉が想定外だったのか、オーラさんは目を少し見開いた。かなり驚いてるみたい。
「あの、ひょっとして……シロボシ様、アンダ様の家に遊びに……?」
「そんな感じ!」
「……!」
オーラさん、なんかソワソワしている。どことなく嬉しそう。私はかなり焦ってるけどね!
「アンダさんにまともに挨拶できてないからさ! 挨拶しに行きたいんだよ!」
「あ、それなら私も行くよ!」
「ありがとう!」
キラナは思ったことを口に出しがちだから少し心配だけど、すごく心強い。
ありがたいけど……やっぱり心配の方が勝つ。
「キラナさんまで……ありがとうございます。では、私が家にご案内します」
私とキラナはオーラさんを先頭に村を歩いて、あっという間に神殿に到着した。
「シロボシ様、キラナ先輩」
大きな神殿の前でオーラさんは振り返る。
「大声を出したり、装飾を破壊しないなど、最低限のルールさえ守れば大丈夫です」
「分かった。ねえオーラさん」
「はい」
「もし私がマナー違反してたら遠慮せず注意してね」
「分かりました」
私の提言に、オーラさんは柔らかい笑みを浮かべた。
「お心遣い、感謝します」
どうやら私の言葉はアンダさんへの気遣いとして受け取られたらしい。
変なことして逆鱗に触れないよう気を遣ったわけだし、ある意味で間違いじゃないんだけども。
「では、お邪魔しまーす……」
オーラさんを先頭のまま、私達はアンダさんの神殿へと足を踏み入れた。
その瞬間。
「「「「シロボシ様、ようこそお越しくださいました」」」」
「えっ!?」
「何?」
足を踏み込んだ私達を、大小様々な精霊らしき存在が出迎えてきた。
巨人から妖精まで、色んな姿の精霊は道の脇に立って私達を見つめている。
「これは……」
「我々一同、ご友人の来訪を心より歓迎します」
「ようこそ、ぜひ楽しんでいってください」
「えっと……その……」
「シロボシ様」
精霊達に歓迎されて困惑する私達に、オーラさんは声を掛けて来た。
「魔法の精霊達は全員、シロボシ様のことを歓迎しております」
「でも、これは少し大袈裟すぎないかな……?」
「久しぶりのご友人ですから、喜ぶのも無理はありません」
オーラさんは更に言葉を付け加える。
「アンダ様が友達を招いたのは数千年振りですから」




