12話 何考えてるの?
お昼ご飯を食べる為にダンジョンを出ようとした私の元に、ひどく慌てた様子の精霊がやって来た。
精霊曰く。
大精霊アンダさんが、朝食を食べた施設の隣に家作ってます!
私は慌てる精霊に案内されて、早朝にバイキングを楽しんだ大きな施設へとやって来た。
「…………」
リゾート施設のような大型の建物の隣に、やけに荘厳な造りの神殿が鎮座していた。
神殿はその辺に建てられている大型の施設より遥かに大きくて立派で、今のクレーター跡地の穏やかな景観の中で大きな存在感を放っていた。
「……どういうこと?」
大きな神殿からは確かに、あの時出会った大精霊アンダさんとよく似た気配を感じた。
「よく分かんないけど、確かにあの神殿は大精霊アンダさんが建てた物な気がする……」
「そうなの? 大精霊アンダさん、もしかして此処に住むの?」
「いや、そんなまさか……」
ただ此処に神殿建てただけでしょ。まさか本人が此処にいるわけ……
……もしかしてアンダさん、私を監視する為に誰か置いてった?
「あっ! 神殿から誰か出て来た!」
私達が視線を向ける中、神殿の奥から何者かが姿を現した。
大精霊アンダさんだった。
「…………」
「…………」
神殿から姿を現した魔法の大精霊アンダさんは、私と無言のまましばらく見つめ合う。
やがてアンダさんは再び動き出して、隣の大型施設へと吸い込まれていった。
キラナと一緒にそっとアンダさんの後をつけていくと、到着したのはバイキング会場。
アンダさんは大量の唐揚げを皿に盛り付けてテーブルに運び、黙々と唐揚げを食べ始めたのだった。
「……」
私達は無言でバイキング会場を後にすると、神殿のことを報告してきた精霊に顔を向けた。
「……精霊さん、あの神殿はそのまんまにしといていいよ」
私の言葉に精霊は頷くと、ワープでその場から姿を消した。
「…………多分、こっちに敵意はないよね?」
「アンダさん、朝食の唐揚げが気に入ったのかな? それでバイキングの隣に?」
「唐揚げかぁ……アンダさんずっと唐揚げ食べてたもんね」
でも唐揚げだけのためにあんな神殿みたいなもの作るかな……
そもそもアンダさんとは初対面だし、それ以前に何の断りもないし……
まさかこの世に生きる大精霊みんなこんな感じじゃないよね?
「何はともあれ、何事もなくて良かったね!」
「そうだね……そもそもアンダさん、食事のお礼みたいなものまでくれたわけだしね」
私は異空間を開けて、異空間の中に置いていた透明なネックレスを取り出す。
因みに、大精霊は自分の異空間があって、その異空間に出入りしたり物を収納したりできる。とても便利。
「それにしても……」
私はアンダさんから貰ったネックレスをじっくり眺める。
「このネックレス、どことなくキラナの本体と似てるような……」
「ホントだ! 私に似てすごく可愛いね!」
ネックレスに付いている丸型の大きなブローチは、シンプルながらも綺麗な装飾が施されている。
「……あれ? なんかブローチが……」
「光ってる?」
ブローチを眺めていると、手の中にあるブローチが僅かに輝きを放ち始めた。
ブローチは私の手から離れて浮かび上がって、次第に輝きを強めていく。
その輝きは人の形を形成していく。キラナと変わらない大きさの人型だ。
「えっ? 何!?」
「これってまさか……!」
やがて輝きは落ち着いていって、光の中から1人の少女が姿を現した。
真っ白な髪をショートカットにした、無表情の美少女。
魔法少女キラナと似た衣装を身に纏うその姿はまさしく、魔法少女だった。
私もキラナも目をまん丸にして驚く中、目の前に浮かぶ少女はブローチから透明なステッキを取り出すと、少し固めだけど可愛い魔法少女ポーズを取った。
「魔法少女オーラ、参上」
今、魔法少女って言ったよね……
「大精霊アンダ様の命により、今日からこの土地を守る魔法少女として活動を始めます」
「……えっ? 大精霊アンダさんの命令でこの土地を……?」
「はい」
魔法少女オーラはポーズを解除してステッキを下ろす。
「大精霊シロボシ様。不束者ですが、これからよろしくお願いします」
「えぇ……?」
なんと、意図しない形で魔法少女が増えた。




