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10話 師匠誕生

 ギルさんは、見た目が可愛らしい私達のことはあまり信用できてないみたい。


 そもそも私の周りには可愛い見た目の子ばかりだから、ギルさんが私達を軽んじるのは当然だろうね。


 ここはギルさんも私達も、そして誰もが頼れる存在が欲しいところ。


 と、いうわけで。ギルさんでも納得するようなすごい師匠を作ることにしよう。


「そうと決まれば早速! 師匠作りだ!」

「おーっ!」


 宇宙ダンジョンの奥にいる私とキラナは、星の力で流星の如きスピードで移動中。


 理由は勿論、外に出て師匠を作るため。


「ギルさん! ちょっと待ってて!」


 出入り口付近にいたギルさんに一言入れて、私達はダンジョンの外へと飛び出した。


「シロボシ、師匠はどうやって作るの?」

「今回作るのは魔法使いの師匠だよ。出来たらだけど、誰かが使ってた杖とかを元に作りたいかな」

「道具を元にするんだね」

「うん。魔法を使い込んでた杖なら、色んな魔法の使い方とか知ってそうだし……」


 まあ、そんな杖が簡単に見つかるわけないけど……


「あっ! シロボシ、精霊達が杖持ってきてくれたよ!」


 あるんだ。


「しかもいい感じの杖じゃん!」


 なんと星の精霊達が、私の求めていた魔法の杖を持ってきてくれた。

 人間が片手で扱えそうな、シンプルながらも使いやすそうないい杖だ。


 どこかに転がっていたのを持って来たのかな? もしかすると……いや、これ以上考えるのはやめておこう。


「それにしてもいい杖だね! 師匠が使ってそうな杖だ……!」

「そうなの?」


 師匠レベルともなれば、ごちゃごちゃした装飾がついた杖よりシンプルで扱いやすいやつを選びそう。まあ性格によるかもだけど。


「でもこの杖、流石にシンプル過ぎるよ」

「そうなの?」

「うん。何となく記憶にあるんだけど……この杖は本来、もっと豪華だったはずだよ」

「へぇ〜」


 異世界の知識を持つキラナが言うなら間違いない。


「なら、この杖の記憶を引き出しながらマナ結晶で補強して、それを元に魔法使いの師匠を作ろうかな」


 私は杖に意識を向けると、杖の補強と精霊化を同時進行で開始した。


 最初に作ったのは女の子だったから、今回は男性にしようかな。


 優しくて、それでいてしっかりしていて、気さくな冗談を言える人で……杖は片手で扱うイメージで……戦う時はしっかり戦える……


 杖は光を帯びて、次第に輝きを増していく。だんだん大きくなっていって、やがて中から1人の魔法使いが姿を現した。


 魔法使いの衣装を身に纏った、眼鏡の似合う長身の男性。長い長い長髪をまとめた、微笑みが素敵なすごく優しそうな魔法使いだ。


「出来たー!」


 魔法使いの師匠は無事に完成! たったひとつの欠点を除いて。



「シロボシ。この師匠、ガーディアンより背が高くない?」



 誕生した師匠は、周りにそびえる山々よりも遥かに巨大だった。



「でっっっかっ!!!!」



 何で私達の前に巨人がいるの!?


「シロボシ……確かに師匠は大きいイメージはあるけど、これは流石にやり過ぎだよ……」

「違う! あれは私が望んだ師匠じゃない!」


 人魚座りの師匠は雲の上から顔を覗かせて、優しい笑みを浮かべながら私達を見下ろしている。


「私は確かに普通の大きさで作ったはず……! 片手で杖を扱う魔法使いを……」

「シロボシ様」


 私が慌てていると、大きな師匠は私達に語りかけてきた。


「私の本体を確認すれば、謎は解けると思います」

「本体……」

「では少々失礼」


 巨大な師匠はそう言うと、私達の目の前で輝いて、やがて本体に変化した。



 私達の前に現れたのは、杖と呼ぶにはあまりにも巨大すぎる、謎の大きな装置だった。



 というかその装置、だいぶ大き過ぎる。本体だけでもガーディアンといい勝負なんだけど。


「そもそも、これって杖じゃない……?」


 ここで私は、さっきキラナが言っていた言葉を思い出した。


[この杖は本来、もっと豪華だったはずだよ]


「豪華っていうか……これってもはや杖じゃないよね……」

「これ、魔導砲だね」

「魔導砲……?」

「うん。ドラゴンや巨大な魔物相手に使う魔導兵器だよ」


 つまり私は、この巨大兵器を片手で扱える師匠を所望してしまったばっかりに、師匠の身長がこんなに大きくなってしまった、と……


「師匠ー!」

『はい』


 師匠は本体のまま返事をする。


「私達と同じ大きさまで縮めますかー?」

『縮めますよ』


 どうやら大きさはどうにかなるみたい。あー良かった。


『いざという時は身長を伸ばし、相手より優位に立てるのが強みですね』

「いざという時に伸び縮みする師匠なんかやだよ」


 師匠ならそんな小細工無しで勝負してほしいところ。さて、この師匠でギルさんを納得させられるかな?

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