閑話休題:GIA入庁教育補助資料(第1講)
『入庁希望者への概要説明抜粋』
提供部門:GIA本部管理局・人事教育室
監修:GIA本部記録部 オスカー・ヘイズ
1. GIAとは
正式名称は「グローバル・インシデント・アライアンス(GIA)」。
世界各地で発生するあらゆる形態の事件・異常現象・災害・犯罪に対し、情報の集約・調査・記録を担う多国籍連合機関である。
各地の支部はそれぞれの地域や文化に合わせて運営されているが、記録の保全は本部直属の中立部門によって統括されている。
この記録資料群は、その最終段階に位置づけられる。
2. 入庁条件について
GIAは、世界各地の教育機関、研究施設、軍政組織、治安機関などからの選定・推薦・招請および自薦によって人材が集められる。
選考対象となる人物には、以下のような傾向がある:
・特定分野における高度な観察・分析能力を有する者
・犯罪・災害現場において冷静な判断ができる者
・科学、魔術、信仰を問わず、理性を最優先とする姿勢を持つ者
・一定の記録保持訓練に耐えた者
なお、かつて被疑者であった者が選ばれる例もある。
「記録の重さ」を知る者であれば、過去の経歴を問わず招かれることがある。
3. 配属と階級制度
GIAには多様な役職が存在するが、主に以下の5つに大別される。
なお、各職にはGIA内部で用いられる古語(GIA語)による正式呼称があり、以下に併記する。
記録者(Viarka)
事件の現場で記録を行い、報告文書の作成や記録庫の保全を担う中核的な存在。
GIAの記録理念を最も体現する職であり、判断よりも“構造”を残す技術が求められる。
捜査官(Trenvar)
現場への初動対応、被疑者の確保、証拠収集などを担当する実動部隊。
物理的な危険への耐性と、冷静な観察力の両立が求められる。
解析官(Zeydran)
毒物、魔術、心理、法科学などの専門分野に特化し、捜査および記録を支援する知識職。
現場には出ず、支部内部での活動が主となることも多い。
連絡員(Feirune)
各地の支部間、または外部機関との連絡・調整を担う。
語学・交渉術・宗教観の理解が求められ、最も「人」と向き合う職でもある。
管制官(Droskel)
記録の統合、照合、封印を担う記録制御の最高権限職。
GIA全体の記録体系を理解していなければ務まらず、担当者は限られている。
これらの職位は、基本的に適性と必要に応じて配属されるが、
実際には複数の職を兼任する者も多く、記録者でありながら現場に赴く者や、捜査官でありながら記録文書を起案する者も存在する。
また、職位間に明確な階級の優劣はない。
GIAにおいて重要なのは、どの任務に就いていたかではなく、
「どれだけ未来に耐える記録を残したか」である。
4. 福利厚生・生活環境
GIAは軍属機関ではないため、構成員には一定の自由と尊厳が認められている。
以下は基本的な制度の一部である:
・全支部に24時間対応の食堂・医務室・静音区画を設置
・一部支部には瞑想庭園・温泉区・個人観測室なども完備
・曜日や暦によらず、記録負荷に応じた循環休暇制度を導入
・独自通貨制度が採用されており、支部内で生活を完結可能
・小型生物の同伴可。ただし「人語を解する存在」は許可制
なお、Viarkaの多くは支給された空間の一角に“沈黙の棚”を設け、
誰にも知られない記録を、そっとそこに置いているという。
5. 補足:記録部からの私信
GIAは、誰かの正義を叶える場所ではない。
誰かの命を、誰かの記憶を、ただ確かに記録する場所である。
そこに価値があると信じる者だけが、この扉の前に立つ。
もし君が、この記録集の続きを“自分の手”で残したいと願うなら、
以下の手順に従い、入庁意志を示せ。
書式の定まらない一枚の紙に、自身の名を記し
日没直後の灰が漂う場所にて
「何も書かれていないポスト」へ、封をして投函すること
それだけでいい。届くかどうかは、君の記録力次第だ。健闘を祈る。




