翌日〜
2人が愛を確かめ合った翌日の朝。
予定ではゴブリン退治でも受けようかと話していたが昨晩盛り上がりすぎた2人は出会って初めて思いっきり寝坊した。
トーマは腕に重みを感じて目を覚ます。目を開けると目の前には静かに寝息を立てるミーアがいた。
そうだ。昨日は・・・。トーマは昨晩のことを思い出して悶える。
「ん・・・」
トーマが身悶えした振動が伝わったのかミーアが身をよじる。ハラリと掛け布団がめくれミーアの一糸纏わぬ姿があらわになり日の光に照らされる。
その姿に目が釘付けになり感情が昂るトーマだったがなんとか自制心を働かせてミーアに布団をかけ直す。
トーマが慣れない手つきでガサゴソやっていたためかミーアが目を覚ましてしまい目が合う。
「んぅ・・・?トーマさん・・・」
寝ぼけ眼でトーマを見つめ、まだ寝ぼけているのかトーマの胸に頬を擦り付けるミーア。
ミーアのそんな行動にどうして良いか分からずトーマはなんとなくミーアの頭を撫でる。
くすぐったそうに身を寄せてくるミーアにトーマの自制心は限界を迎えそうになったところでミーアの意識が覚醒した。
「・・・?トーマさん?あれ?あっ・・・」
意識が覚醒し昨晩の情事を思い出し、さらに今現状自分が何をしているのかを認識したミーアは硬直する。
「お、おはようミーアさん」
「お、おはようございますトーマさん」
トーマの胸に頭を預けたままぎこちない挨拶をかわす。
「「・・・」」
そのまましばらく沈黙する2人。
「あ、朝ごはんを食べに行こうか」
「は、はい・・・」
2人はいそいそと外に出る支度を初めて食堂へ向かうことに。
食堂へ向かって歩いている途中、ミーアの歩き方が少しぎこちないことに気がついたトーマ。
「ミーアさん。歩き方がいつもと違うけどもしかしてどこか痛めた・・・?」
「えっ。あの・・・その・・・察してくれると、ありがたいです・・・」
ミーアは恥ずかしそうに顔を俯かせてしまう。
トーマは最初意味がよく分からなかったが色々予測した上で結論を出した。初めてだとこうなっちゃうんだ・・・と。
聞いてはいけないことを聞いてしまったことに慌てて謝るトーマ。
「ご、ごめん!」
「い、いえ・・・」
そのまま2人はギクシャクしながら食堂へ向かい朝食をとる。
朝食を取りながら今日の予定について話しをする。
「今日は・・・だいぶ寝ちゃったね。せっかくだし1日休みにしようか」
「はい。なんだかすみません・・・」
「いやいや、ミーアさんが謝ることではないよ!むしろ俺の方がごめんというか、ありがとうというか・・・」
「ふふっ」
お礼を言われたことがおかしくて笑うミーア。
「ま、まあ無人島から脱出することができてからもたいした休んでいなかったし休んでもバチは当たらないさ」
「そうですね。幸い保険金が出るのでお金にも困っていませんしねぇ」
「保険金を貰った後はどうしよっか」
「トーマさんの故郷へ向かうのではないですか?」
「うーん。正直なところ無人島生活を終えてなんだか当初の目的が薄れてきちゃってる自分がいるんだよねぇ」
「確かに無人島生活が刺激的すぎてこれからの生活が全然イメージできません」
「そうそう。まあ一旦故郷に戻ってみて、それから考えることにしよっかなあ」
「特にやりたいことがないのであればそれで良いと思いますが」
「そうだね。そうしよう。故郷に行くときにまた水竜に襲われるのだけは勘弁だけどねえ・・・」
「船長のアレックスさんの話しではあれから水竜が出ていないようですし今までも聞いたことがないと言っていたので本当に水竜の気まぐれだったんじゃないでしょうか」
「多分そうなんだろうね。覚悟を決めて船に乗るか・・・」
ミーアは平気そうであったが、トーマは若干トラウマになっており船が怖かったが覚悟を決めて乗ることにする。
それから2人は1日休みをとり、次の日から冒険者活動を再開した。
受けた依頼は初心者の登竜門であるゴブリン退治だったが、2人はすでに中級冒険者以上の実力があるためあっけなく達成することができた。
ゴブリン退治は相手が魔物だけあって命を落とす初心者冒険者もそれなりの数がいるし、魔物を殺すことに抵抗を覚えたりトラウマになったりすることで冒険者活動ができなくなってしまう人も少なからず存在するため登竜門とされている。
「これで命を落とす初心者がいるんだもんなあ。俺も強くなったもんだ」
「毎日が訓練みたいな物でしたからね。サーベルタイガーとの戦闘も経験していますし」
「そうだねえ。ミーアさんなんて戦闘力だけで言えば上級冒険者だもんなあ」
「いっそのこと冒険者をやってみるのもありかもしれないですね」
「そうだねえ。それも候補の一つに入れておこうかな」
そんな話しをしながら2人はギルドへ行き達成報酬を受け取る。
次の日も初心者冒険者が受けるような簡単な依頼をこなしつつ、ついに保険金を受け取る日がやってきた。
役場の職員から金貨4枚を受け取り、宿のお礼を言って役場を後にする2人。
「これでやっと一件落着というところだね」
「これからがやっと普通の生活ですね」
「お金も手に入ったことだし早速船の予約に行こうか。それと帰りにアレックスさんが居たら改めてお礼を言いに行こう」
船の予約を無事終えた2人は、アレックスの船の船員が全員食べられる量の菓子折りを持って改めてお礼に行き、ひとしきり話した後宿へと戻った。




