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港町へ

 トーマ達が無人島を脱出して4日後の夕方、港町に船が到着した。


「ついたぜ!」


 トーマ達を救出してくれた船の船長アレックスが到着を知らせる。

 船が港に係船し各々船を降りていく。


「本当にありがとうございました!」


 トーマとミーアも船を降りアレックスと船員達に深く頭を下げる。


「気にするこたあねえよ!困った時はお互い様だからよ!無事着いたことだしまずはあんた達のことを役場に報告しに行かなくちゃならねえから着いてきてくれ」


 3人はその町の中心にある役場へと向う。

 アレックスは役場に入っていくと窓口の職員と話し始め、窓口の職員は事が重大であると判断したのか事務所の奥へと行き上司らしき男を連れてやってきた。


「あなた達があの船の生き残りという話しを伺ったのですが・・・」


「そうです。水竜に襲われて2人だけ無人島に漂着して今までなんとか生きてきました」


「そこを俺がたまたま見つけてここまで連れてきたってわけさ」


「そんなことが・・・捜索隊も派遣したのですが船らしきものは見当たらなかったと報告が上がってきたので何かがあって沈没してしまったとは思っていましたがまさか水竜に遭遇していたなんて・・・」


 トーマは船が水竜に襲われた時のことを簡単に説明する。


「えぇ、俺と彼女は水竜のブレスが船に着弾するときになんとか海に飛び込んで助かったのです。船に乗って直撃を受けた人たちはひとたまりもなかったでしょう・・・。俺たちが漂着した島には他に人が流れ着くことはありませんでした・・・」


 役場の職員は報告書を作成するためにトーマたちの証言をメモしながら話しを聞く。


「なるほど・・・。今まで生き延びてこられたあなた達2人にはとても非情な話になってしまうのですが、先ほど申し上げました通り派遣した捜索隊は船の痕跡を見つけることすらできず既に捜索は打ち切られていました。国への報告も沈没した可能性が極めて高いこと、生存者はいないであろうことを報告しております。つまり生存者はあなた達2人だけになります」


「アレックスさんからあの無人島の周りに人が生きていけそうな島はないと聞いてはいましたがやはりそうでしたか・・・」


「えぇ、あの島の周りには他に島はありません。そしてあなた達が本来向かっていた島までも船で1日以上かかります。そこまで船なしで辿り着くことは困難でしょう。今現在も報告は上がってきていませんし・・・」


「そう、ですか・・・」


 トーマ達は改めて生存者が他にいないであろうことを知らされて顔を俯かせる。

 それを見た役場の職員は落ち込む2人に気を使って今日は休むよう促す。


「今日はもう遅いですしお疲れでしょう。明日改めて詳しいことを教えていただいても宜しいでしょうか?それとあなた達2人には保険金がおりるはずなのでその手続きも行う必要がありますので」


「はい。わかりました。と言っても俺たちは今無一文です。どうしたら・・・」


「もちろん宿や食事は役場の方でご用意させていただきます。あと5か月も遭難していたのです。見たところお二人は健康そうに見えますが念のため医者を手配しますので後で宿に向かわせますね。手配しますのでそちらの席で少々お待ちください」


 そういうと役場の職員は事務所の奥へと消えていった。

 トーマ達は促された席に座りながら会話を始める。


「なんだか至れり尽くせりって感じになっちゃったなあ」


「そうですねえ。しかしお金はないので助かりましたね」


 そんな呑気な会話をしている2人を見てアレックスは少し呆れながら話しかける。


「あんた達・・・5か月も無人島に遭難していたとなればこれくらいは普通だろう・・・むしろ早く医者に見てもらった方がいいと思うんだが・・・」


「そういうものなんですか・・・無人島生活はそれなりに充実していた部分もあるのであまり遭難していたっていう実感がわかないんですよねえ」


「必死に生きて来ましたけど食料に困ることはありませんでしたからね・・・」


「まああんた達が元気ならそれでいいんだけどよ。よしっ!俺の役目はここまでだ!船員のやつらも待っているだろうから戻らなきゃいけねえ」


「アレックスさん・・・。本当に俺たちを助けてくれてありがとうございました。あなたが来てくれなければ俺たちは一生をあの島で終えていたかもしれません・・・本当にありがとうございます」


「だから気にすんなって言ったろ!そんなに感謝されちゃあむず痒くて仕方がねえ!ただの巡り合わせでこうなっただけだからよ!俺は行くぜ!俺たちはこの町を拠点に活動してるから何か困ったことがあれば船まで来てくれたら手助けはするぜ!じゃあな!」


 そう言ってアレックスは役場から出ていった。

 アレックスが出ていった扉を見つめながらミーアはぽつりと呟く。


「気持ちのいい人でしたね」


「うん。本当にいい人だったねえ。感謝しても仕切れないや」


 そんな話しをしていると役場の職員が手配を終えたようで2人の元へやってきた。


「宿と医者の手配ができました。宿へ案内しますので着いてきてください」


 そうして宿まで案内された2人は医者の診察を終え、健康に問題なしと診断されてから久しぶりの暖かい食事とふかふかのベットに感動しながら眠りに着いた。

 

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