遭難73日目〜
武器の作成を決めた2人は早速作業に取り掛かることにした。
「槍は木を削り出せばいいけど、弓矢ってどうやって作ればいいのかなあ」
「父が鍛治職人だったころ、知り合いに弓を作っている方がいて作り方を簡単に教わったことがあります」
「本当!?それはありがたい情報だ!」
「確か粘り気のある木を使うこと、あとは紐がない場合は木の皮をよじって弦にできるとか言っていたと思います。実際に作れるかどうかはわかりませんが・・・」
「なるほどなるほど。その知識を頼りに作ってみよう!槍を作る木は逆に硬い木の方が良さそうだね。まずは木の選定から始めようか」
方針を決めた2人は森に入り、武器作りに適していそうな木を探し始めた。拠点周りの整備をした時に出た木材も確認する。
「何種類か良さそうな木があったから何個か作ってみて試してみよう」
「そうですね。まずは簡単そうな槍から作ってみませんか?」
黙々と木を削り出す2人。長さは2m程とし気の使用も想定して若干太めにすることにした。槍の先はシンプルに尖らせるだけである。
「うーん。とりあえず作ってみたものの非常にダサいねえ」
「ふふ。武器屋さんのようには作れませんでしたね」
完成した槍を眺めながら感想を述べる。ただ長い棒の先を尖らせただけの何かという感じだ。
「まぁ機能的には一応大丈夫そうだけど、先が木だから一度使用したら潰れてしまいそうだね」
「石や金属をつけることができればもう少しマシになりそうですが・・・」
「石をつけるとなると加工が難しそうだなあ。紐で結びつけるのがポピュラーだと思うんだけど紐がねえ」
「弓の弦をうまく作ることができればそれを代用してみても良いかもしれませんね」
「じゃあ次は弓矢を作ってみてうまくできたら槍の機能アップだね」
順調に武器作りを進める2人。弓の方はすぐに作ることができたが弦を作るのが思いのほか一苦労だった。
樹皮を使用してみるも弓の力に耐えきれずにすぐ切れてしまうのだ。
色々な樹皮で試した2人は二日かけてなんとか繊維質っぽい樹皮を見つけ出すことに成功し弦を作成することができた。
素人の2人は最初、弦にする樹皮は太い木だろうと想定して素材集めをしていたがそれが間違いで弦の素材に適していた樹皮は大きい木ではなく細くてしなっとしている木だったのだ。
「まさかあの木の樹皮が弦に向いているなんてなあ。完全に太い木の樹皮だと思っていたよ。思い込みって恐ろしいねえ」
「私も太い木の樹皮が良いと思い込んでいました・・・」
「まあなんとかできたことだし、ちょっと試し打ちをしてみようか」
それから2人はできた弓で試し打ちを行ったが矢が思い描いていたように真っ直ぐ飛ばなかった。
「弓ができた次は矢が真っ直ぐ飛ばないなあ」
「普通の矢は鳥の羽がついていたと思うのですがそれを真似してみるのはどうですか?」
「そうだね。あの羽ってあんまり重要じゃないと思っていたけど、大事なのかも。ちょっと探してこようか」
そこそこ大きい無人島であるため鳥類は見かけることがよくある。そこら辺を探せば抜け落ちた羽を見つけることはすぐにできた。
「うーん。羽をとってきたはいいけどどうやってくっつけたらいんだろうなあ」
「まずは木の樹皮で縛り付けてみましょう」
「そうしてみようか。弦より丈夫じゃなくていいと思うからなるべく重くならないように細いやつで縛りつけよう」
着々と改良を重ねていく2人。
そして矢に鳥の羽を終わったものを試し打ちしてみたところ何もつけていないものに比べて格段に真っ直ぐ飛ぶようになった。
「すごい!鳥の羽がつくだけでこんなにも性能が変わるのか」
「こんなに重要なものだったんですねえ。あの・・・今更なんですが、完成したものを見て思ったことがあるのですが・・・」
「思ったこと?」
「その、気を使って弓を使ってしまうと壊れると思うんです。それであれば私たちは気が使えるので槍を投げた方が良いのではないですか?」
「あ・・・確かにそうかも・・・。俺はともかくミーアさんの力に耐えらえる弓なんて作れそうにないし・・・」
「ま、まあ小さい獲物を狙うことなんかがあれば弓矢は使えると思います」
「そ、そうだよね。弓矢の用途は小物様ってことにして、大型用の投げ槍を作ろうか・・・」
今まで気なんて扱えなかったトーマは扱えていなかった頃の自分の能力をベースに弓矢を作ることを考案していた。
現状の自分たちの能力を考えると弓矢をちまちま射るよりサーベルタイガーのような大型な魔獣となると槍を投げつけた方が確実に効果が高い。もちろん投げられる槍を大量生産する必要はあるが。
武器の作成が順調に進む中、弓矢を練習がてら持って歩いていた2人はなんと森にいた鳥を実際に仕留めることに成功した。仕留めたのはミーアだ。狩りまでできちゃうミーアにトーマが脱帽したのは言うまでもないだろう。
「まさかこんなに早く獲物が取れるなんて!ミーアさんすごすぎだよ。今夜は鳥の丸焼きだね!弓矢を作ったかいがあったねえ」
「運よく当てることができました。鳥のお肉なんていつぶりでしょうか・・・弓矢さまさまですね」
「お肉といえばサーベルタイガーは量はあったけど美味しくなかったし、俺は寝込んでいたからあんまり印象に残ってないんだよね。サーベルタイガーよりは美味しいことを期待しよう」
「そうですね。今夜の調理は気合を入れなくては」
その日の晩、塩水に漬けてちょっと塩味にした鳥の丸焼きを半分こにして食べる2人。
「う、うまい!」
「美味しいです!」
ただの野鳥に塩味をつけただけの鳥の肉。普通に生活して普通のものを食べていたら美味しいとは感じなかっただろうが、2人は2か月以上も魚介類ばかりを食べてきている。食べ飽きた魚介類とは違う味や食感、旨味に舌鼓を打つ2人だった。
面白い・続きが気になると思ってくれた方は是非ブックマーク、評価をしてくれると嬉しいです!




