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遭難39日目〜

 島一周の探索を終えた翌日。


「いやぁ〜。やっぱり拠点は安心するね!」


「もう1ヶ月くらいここで過ごしていますしね。拠点は落ち着きます」


「もう1ヶ月くらい経ったのかあ。濃厚だったけどあっという間だったよ」


「生きることに必死だったからでしょうか・・・」


「そうだねえ・・・。良いんだか悪いんだか・・・。よし、今日は早速斧を研いでみようか」


 二人は日課である罠の確認をしてから砥石になりそうな石を集める。

 拾ってきた表面が荒い石に水を含ませて研ぎ、サビを落としていく。


「だいぶサビが取れたな。刃の部分が見えてきたから本格的に研いでいってみよう」


 続いて表面がツルツルしている石で刃の部分を時間をかけて丁寧に研ぐ。


「かなり鋭くなった気がするけど、どうかなあ?」


 ミーアに研ぎ終わった斧を見せるトーマ。


「わぁ!研ぐ前と比べて見違えましたねえ。ピカピカです。試し切りをしてみてはどうですか?」


「そうだね。ちょっと細い木で試してくるよ」


 研ぎたての斧を持って森へ向かうトーマ。手頃な木に向かって斧を振り下ろす。

 スッパリとはいかなかったが数回振り下ろしただけで細い木を倒すことができた。


「これはすごい!ちょっと大きい木でやってみるか」


 ゴッ、ゴッと太い木に斧を打ち付けるトーマ。

 それなりに木に傷がついており時間を掛ければ倒せそうである。


「流石に簡単には倒せないか。あっ!気を腕に集中させてやってみるか」


 すっかり気を使うことを忘れていたトーマは気を腕に集中させて再度斧を振り下ろす。


 ゴンッ!ゴンッ!と先ほどより力強い音がなりすんなりと太い幹の真ん中ほどまで木を削り取る。


「こりゃあ・・・かなり気の扱いが上達したみたいだ・・・ここでの生活自体がほとんど鍛錬みたいなものだからなあ。後でミーアさんにもやってみてもらおう」


 気の扱いが上達したことに驚きながら拠点へ戻るトーマ。


「ミーアさん。ばっちり木を倒せたよ!」


「良かったです!」


「気を腕に集中させてやってみたんだけど扱いが上達していたみたいでかなり楽に倒すことができたんだ。ミーアさんは俺より気の扱いがうまいし上達もかなりしてるだろうからちょっと試しに斧を使ってみない?」


「本当ですか?ちょっとやってみますね」


 二人で森へ行き先ほどトーマが切り倒したものと同じくらいのものを選ぶ。


「じゃあやってみますね」

 斧を引いて振り下ろすミーア。


 ドンッ!!!っと胸の奥に響くような衝撃をトーマは受けた。


「ええっ!?」


 ミーアが振り下ろした斧は一撃で深々と木に食い込んでいた。


「わぁ。こんなに食い込むとは思いませんでした」


「いやいやいや、食い込み過ぎだよ!ミーアさんの気の扱いは本当にすごいな・・・」


 ミーアの気の才能を改めて実感するトーマ。


「えへへ。ちょっと倒すまでやってみますね」


 褒められて恥ずかしくなったミーアは木を倒すことに集中する。


 ドンッ!!!ドンッ!!!バキッ!


 「「あっ」」


 なんとミーアの一撃が強すぎて斧の柄が折れてしまった。


「ご、ごめんなさい!」


「い、いや、気にすることはないよ・・・木を削り出して新しいものを作ろう・・・」

 

 項垂れながら謝るミーアを慰めつつ、ミーアの強さに圧倒されるトーマであった。 

 そこでふと思いついたことを伝える。


「気を使ったらどのくらい力が増すか検証してみない?強くなると今みたいに道具が耐えられないことも今後想定されるしさ」


「そうですね。今のようなことが起こらないように自分の力を把握しておく必要があると思います・・・」


 早速二人は気の能力を検証することにした。

 検証内容はシンプルで垂直跳びと重い石をどこまで持ち上げられるか。

 重たそうな石を集めるのに少し時間がかかったが検証はすぐに終わり、検証結果はトーマが1.5倍程、ミーア2.5倍程であった。

 ちなみに元の筋力はもちろんトーマの方が強いが、先ほどの斧の件を見ればわかると思うが気を使用した場合はミーアの方が圧倒的に強くなってしまっていた。


「俺の能力は大体1.5倍程度、ミーアさんは2.5倍程に伸びている感じだね。初心者冒険者は卒業と言う感じかな。ミーアさんはきっとベテランクラスだけど・・・」


「自分の身体能力がこんなに高くなっているとは・・・」


「気の力って恐ろしいねえ。それとこの島では体を使った作業ばかりだから単純に筋肉量も増えたのかも知れないね」


「確かに言われてみればこの島に来てから無駄なお肉が減って筋肉がついたような・・・」

 脇腹をつまんで確かめるミーア。


「俺も体ががっちりしたような・・・」

 お腹を出して確認するトーマ。

 島に来た当初はそれなりに贅肉がついていたが今は腹筋が割れて見えるようになっていた。

 その様子を見たミーアはお世辞かはわからないが感想を述べた。


「逞しいです」


「た、逞しいかな?そ、そんなこと言われたの初めてだよ」


「はい。逞しいと思います」


「そ、そうかな。へへへ・・・」


 ミーアに肉体を褒められてデレデレなトーマであった。


「でもミーアさんの方が気を使えば力持ちなんだよなあ・・・とほほ」


 現実は厳しい。


 それから数日間は直した斧や鉈で拠点周りの整備を行った。


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