遭難10日目
次の日、無事雨は止み空は晴れ渡っていた。
「雨の教訓を生かして保存食を作りたいなあ」
「昨日は雨でも海に行けたり沢に入れるレベルでしたけど、天気が荒れて食糧調達が難しくなることもありそうですしね。でも保存食ってどうやって作るんですか?」
「うーん。俺が知っているのは塩水に漬けた魚を干したり、燻製にしたりするくらいだね。今主に食べてる貝とか蟹なんかは干したら日持ちするのかよくわからないなあ・・・焼けば数日は持つような気がするんだけど」
「蟹は難しそうですが貝は肝の部分さえ取り除けば干せそうですよね」
「そうだね。できるかどうかわからないし実験で干してみようか。あと魚をとることができれば食料事情がもっと良くなると思うから罠を作ってみようかな」
「罠で魚が取れたら食料調達にかかる時間が短くできますね!」
「貝や蟹を集めるのは時間がかかるからねえ・・・食料調達が終わったら早速木で罠を作ってみるよ」
二人は今日の食料を取り終えた後、ミーアは貝から身を取り出して干物の作成、トーマは罠の作成に使えそうな木を集めて罠の作成に取り掛かった。
「取り敢えず罠っぽいものができたよ。子供の頃に見たことがあるものを思い出しながら作ってみたけど実際使えるかどうか・・・」
トーマは作成した罠をミーアに見せる。
森から持ってきた木とツルを使い長さ1メートル程の箱型の罠を作成した。
魚が入った後に出られないように入り口を内側に向けて窄めてあるのはトーマのこだわりである。
「魚をとる罠と言われて正直あまりイメージできていませんでしたがこのような形なのですね」
「まあ色々あるうちの一つというところかな。円形のものだったり細長いものだったり色々あるんだ。今回はその中でも簡単にできそうな箱型にしたってわけさ」
「へぇ。罠にも色々あるんですねえ。奥が深そうです」
「とる魚の種類や大きさ、設置する場所によって変わるんじゃないかなあ。今回は最大50cmくらいの魚がターゲットになるように作ってみたよ」
「50cmですか!そんな大物が取れたらお腹いっぱいになりそうですね」
「そうだねえ取れたら良いけど・・・。早速設置してくるよ!」
トーマは海へ行き魚が集まりそうな磯から海へ潜り罠を設置した。
罠が浮かないように大きめの石を入れて、同じ磯でとった貝を身だけにして数匹罠の中にくくりつけておく。
「設置してきたよ。明日の朝になったら上げてみようと思う」
「楽しみです。入ってると良いですね。私も取り敢えず貝を干してみました」
「お。ありがとう!鳥とかに取られたら困るから寝るときは拠点内に入れておこうね」
「こんなに苦労したものを鳥にとられるなんて許せそうにありません・・・」
ミーアから少し殺気を感じたのは気のせいだろうか。
そうしてその日の作業を終えた二人は引き続き気の訓練を開始した。
ミーアは気の使い方をメキメキ上達させ今ではトーマが折れないような枝を折ることができるようになっていた。
一方トーマは未だ気をなんとなく感じるかもしれないレベルで止まっている。
「もう完全に俺より強くなってしまったねミーアさん・・・」
「ち、力が強くなっただけで戦闘とかになると男性のトーマさんには敵いませんよ!多分・・・」
「ぐぬぬ・・・」
「そ、そういえば今日気を目に集中させてみたのですが、トーマさんの気らしきものが見えるようになりました!」
「えぇ!?・・・もうミーアさんの気に関しての成長速度には突っ込まないようにするよ・・・」
「う、嬉しいような寂しような・・・ってそれよりですね、トーマさんの気が見えることについてなのですが、見えることを利用してトーマさんの気の訓練をお手伝いできないかと思いまして」
「おぉ!確かに気が見えるのであれば何か変化があった時とか教えてもらうことができたら感覚を掴みやすくなるかもしれない!」
「では早速やってみましょう」
「うん。じゃあ瞑想してみるよ」
トーマが瞑想を始めてから少し経過したとき、ミーアはトーマの気が少し揺らいだことに気がついた。
「トーマさん、今気が揺らぎました」
「おぉ!じゃあ今の感覚が気を操る第一歩なのかも!」
「そうかもしれません!感覚が新鮮なうちに続けましょう!」
そうしてミーアの指導のもと、トーマはその日の夕方になんとか気を腕に集中させることに成功した。
「これが気か!やっと感覚が掴めたよ!いやぁ指導されてから半日足らずでここまでこれるなんて!持つべきものは師匠だね!よっ師匠!」
トーマは少し興奮気味に言った。
「し、師匠だなんて恥ずかしいのでやめてください!」
「わかりました気をつけます師匠!」
「師匠って言ってるじゃないですか!」
「怒らないでください師匠!」
「もうっ!」
「ご、ごめん!軽い冗談だから!」
ついに拗ねてしまったミーアに平謝りする羽目になったが拗ねるミーアも可愛いなと思うトーマであった。もちろんミーアも本気で怒っている訳ではないが。
そしてそんな態度が奴隷と主人という関係ではなく、一緒に無人島で生き抜こうとしている仲間になれたような気がして、トーマは心から嬉しかったのだった。
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