遭難7日目
拠点に小屋が完成してから初めて一夜を過ごした二人は家のありがたみを噛み締めていた。
「こんな簡素な小屋でもあるだけで全然安心感が違うね。熟睡できたとは言えないけど大分疲れが取れたような気がするよ」
「はい。朝日に照らされないこともそうですし風が当たらないので落ち着いて眠ることができました」
「正直これから船が見つかるかもわからない。だからなるべく生活の質をあげるように頑張ろう!」
「そうですね!船を見つけても叫ぶ体力すらなかったら元も子もありませんしね」
「ということで今日は小屋ができた記念ということで一日を食材集めに費やしてたらふく食べる新築祝いなんてどうかな?」
「それは良いですね!この間食べたタコはおいしかったです・・・」
「できればタコを見つけたいけどこの間はたまたま見つけただけだからねえ。タコも美味しいけど食材のレパートリーを増やしたいから今日は食べられる野草を探してみようと思うよ。体に良い野草もあるはずだし」
「食べられる野草ですか。魚介類ばかり食べていても健康によくなさそうですし賛成です。でも毒がある植物もあると聞きますし少し怖いです・・・」
「それなら大丈夫!ギルド職員は冒険者が採ってきた薬草とかが本物か見分けられるように植物にはそれなりに詳しいんだ!鑑定の仕事はほんとんど俺がやらされていたからね。それなりに自信はあるんだ」
またまたトーマのギルド職員知識が役立つ時がきた。
「すごいです!私も見分けられるようになりたいです!」
「お!そう言ってくれると教えがいがあるじゃないか!じゃあ今日は野草採取をしてから海で食材を採取しよう!」
そうして二人は新築祝いのために食材集めに繰り出した。
ギルド職員は冒険者の成果をジャッジする立場にある。もちろんわからないことがあれば本を読んだりして調べることはあるが冒険者がクエストの達成報告に来るたびに調べる訳にもいかないため広い知識が求められた。
トーマは今までの努力が報われている気がして嬉しくなり生き生きしながらミーアに野草に関して教授した。
「食べられる野草がこんなにあるなんて!今まで何も気にしないで歩いていました・・・」
「正直俺もこの島に来てから余裕があまりなくて注意深く探していなかったんだ。無人島だけあってたくさん生えているから採り放題だね!」
「人が住んでいれば食べられるものは採ってしまって少なくなってしまいますもんね。無人島で良かったというべきかなんというべきか・・・」
「無人島でよくはないんだけどねえ。ははは・・・」
二人は無人島であることで沢山食料が得られることになんとも言えない気持ちを抱くのだった。
採れた野草を小屋に起き、少し休憩してから海へ食材を探しに向かった。
「今日は少し慣れてきたし潜ってみようかな。そっちの方が大きい貝とかもありそうだし」
港町育ちのトーマは素潜りも得意だ。と言っても働いてから海のない街にいたため潜るのはかなり久しぶりだが。
「今日は天気もいいですし気持ちいいかもしれませんね。私は潜れる自信がないのでいつもの貝を採っていますね」
「海で潜るのは意外とコツがいるんだ。今度余裕が出てきたら教えるよ。じゃあ行ってくるね」
そういうとトーマは磯先から海へ潜っていった。
ミーアがいつもの貝をそれなりに集めた頃にトーマは海から上がってきた。
その腕には拳ほどのつぶ貝が大量に抱えられていた。
「大漁大漁!この島は食材の宝庫かもしれないね!」
「大きいですね!これはお腹が膨れそうです」
「今日は新築祝いだからね!お腹いっぱいに食べよう!」
それから二人は拠点に戻り大量に採れた食材をお腹いっぱい堪能した。
「うまい!小さい貝とはまた違った食感でつぶ貝も美味しいねえ」
「おいひいです!」
なかなか飲み込めなくてモゴモゴしながら返事をするミーアが可愛かったとか。
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