深夜軽い気持ちで配信始めたら、生物がナマモノじゃなくてセイブツだったことが分かった
タムぴょん :こんちは
ヌルペリオン:緊急配信と聞いてきました
11時の5分前。ベリアルはマインスイーパーに興じていた。
「あ」
コメント通知音に心乱れたのか見事地雷を踏み抜き、ベリアルは目を上げた。
「タムぴょんさん、ヌルペリオンさんこんにちは。開始は11時です」
現在の接続数は五十人前後。
いつもより、人数が多い。
メガ女神さんのリスナーも流入しているみたいね。
ベリアルはカメラを切り替えて、満面の笑みを浮かべた。
といっても、黒いマスクで笑顔は見えない。
「住民税の諸君! こんにちはー。まおーちゃんねるにようこそ。
はい、今日は、ちょっと緊急で動画配信してます。みゃうさん、初見さんこんにちは。
今日やってくのは、画面に見えてるこれ、映ってる? 伝票の送り主の欄見て……そう、あの『メガ女神』。
あいつ!! 自分のチャンネルの登録者は20万人超えてるくせに、一人暮らしの私に、『着払い』で荷物送りつけてたのよ!? テロじゃん! ギガバイト級の嫌がらせを受けてます」
タムぴょん :草
めれんげ :w
いくらちゃん:いくらだったん?
「しかもこれ、『クール便』って書いてあるんだよね。
……クール便って、あれでしょ? 冷蔵庫の、あの……下の段? に入れなきゃいけないやつでしょ? でも私の部屋の冷蔵庫、今、エナジードリンクと未開封のプロテインシェイカーしか入ってないから、容量のキャッシュが足りてない。
あ、2000エンね。2000エン」
タムぴょん :払ってやれよ、それぐらい
メレンゲ :中途半端
ぬーばー :シュークリーム 5個分じゃん
「おまえらな、2000エンだって何もない空間から湧いてくるわけじゃないんだぞ」
☆住民税2000エン☆
ヌルペリオン:湧くんだなこれが
「で、中身は生物って書いてあるんだけど、これ「ナマモノ」だよね。何がはいっているか分かんないんだけど。あ、ヌルペリオンさん、住民税ありがとうございます! 我が王国の礎となれ!」
ラムゼー :納税
タムぴょん :納税
「で、中に何が入ってるかなんだけど、五キロあるのよねこれ。蟹かな?」
タムぴょん :五キロの蟹?
みほ :ダンベルじゃね
「ダンベルw。クール便だよこれ」
ラムゼー :メガ女神ならやりかねん
タモレイ :メガ女神ならやりかねん
めれんげ :メガ女神ならやりかねん
「まあ、蟹なら今日は鍋です。もし中から未知の生命体とか、私の生活力じゃ処理できないものが出てきたら、コメントで即座にWikiのスクショ貼って助けてね!?」
タムぴょん :おk
☆住民税500エン☆
ま―ヌーン :これで鍋汁買ってくれや
というわけで! 本日のメインディッシュ!
あ、ま―ヌーンさん 住民税ありがとうございます! 我が王国の礎となれ!
じゃあ、メガ女神からの宣戦布告、着払いクール便・強制開封の儀』を執り行います!!」
チキチキチキ
みほちん :刃出しすぎw
レイレイ :ああ、死んだわ、これ
岡田裕二 :初見です。危ないですよ。刃をそんなに出したら
ホロメイ :出しすぎです
ベリアルは舌をだして、刃を戻す。
ヌルペリオン:アザトース
タムぴょん :ワザトース
みほちん :かわいい!
☆住民税1000エン☆
タムぴょん:王国の礎となれ
「危ない、危ない、ついクセで。刃物持つと魔王の力が暴走しちゃうのよね。タムぴょんさん住民税アザース。我が王国の礎となれ!」
ベリアルはガムテープに刃を当てた。
力を入れずに下に引いた。
続けて「エ」の字にガムテープを切り開く。
コメントが流れていったけど、読む暇はなかった。
「さあ、開きましたよ」
モエモレ :ナイフ仕舞え
ヌルペリオン:また指切るよ
「君たちは、お母さんか!」
カッターナイフの刃を戻して、それを机の上に置いた。
段ボールに指をかける。
「それじゃあ、カウントダウン! 10、9、8、7」
ポーラ :六
メレンゲ :5
しょげさん :よん
ヌルペリオン:参
まうもー :にぃ
メイリーン :一
「おーぺん!」
開かれた段ボールから冷気が溢れ出した。
梱包材を取り外したベリアルは、目を見開いた。
ヌルペリオン:生首!
タムぴょん :生首!
ま―ヌーン :生首!
メレンゲ :生首!
ビニール袋に包まれていたのは女性の頭部。
☆住民税:一万エン☆
マインド :この速さなら言える、愛してます。
ヌルペリオン:BANされるんじゃね
タムぴょん :逃げてまおーちゃん
メレンゲ :本物?
岡田裕二 :通報しました
タモレイ :メガ女神ならやりかねん
メガミー :見てるぞ
住民税が凄い勢いで納税されている。
ベリアルは唖然とした。
コメント欄も加速を続けている。
もう追いかけることもままならない。
袋の中の女性が虚ろな瞳でベリアルを見つめている。
その唇が笑った気がして、ベリアルは漸く悲鳴を上げることができた。




