表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/61

逆襲のベリアル

 ベリアルの体がブラックホールの中に無限に落下していく。

 やがて、全てを吸い込んだそれは、今度は自分自身を飲み込んだ。

 そうして、芥子粒よりも小さく圧縮されて、パッと消えてしまった。


 デリアを残して誰もいなくなった部屋。

 キューブが奏でる微かな鼓動が聞こえるほどの静寂。

 デリアはよろめきながら立ち上がった。


「はははァ、馬鹿な奴め。勇者に敗北して落ちぶれた元魔王風情が、この私を倒せると思ったのか」


 デリアはその場でクルクルと回る。


「それに、あざとい姿で媚を売りやがって。借り物の体のくせに。何だまおーちゃんって。魔王だからまおーちゃんって、安直過ぎるだろ、少しは考えろよ」


 両手を広げ、羽ばたいた。


「弱小配信者のくせに、私のリスナーをもっていきやがって、その時から、こうして消し去ってやりたかったんだ。女神様を降臨させる目的がなければ、だれがお前みたいなクソつまらない配信なんか見るものか!」


 肩で息をして、言いたいことだけ言って、足元のキューブを蹴り上げた。


「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな 」


 突如部屋に響くベリアルの声。

 デリアは周囲を見渡す。


「どこにいる!」


 降り注ぐ声に、上を見上げたデリア。

 天井一杯に広がった暗い闇にたじろぐことなく、デリアはリボルバーの引き金を引いた。

 ブラックホール弾がベリアルの眉間に放たれる。


「無駄だよ」


 ベリアルの姿が消えた。

 だが、ブラックホール弾は天井を貫通。破壊。吸収。


 天井から外の空が見えた。

 オレンジ色に紺色が混ざり始めている。

 間も無く逢魔が時。


「そばに龍脈が流れているんだ」


 今度は壁に影が移動した。

 デリアは躊躇しない。

 立て続けにリボルバーの引き金を引いた。


 カチンカチン


 空の薬莢を叩く撃鉄の音が虚しく響く。


「お前が私を切り刻んだお陰で、龍脈に接続できた。今の私は全盛期の5%魔王だ!!」


 デリアは金切り声を上げてリボルバーを投げつけた。

 ベリアルはそれを受け止める。


「いろいろと教えてくれたメガ女神には感謝しているんだ。降参するなら許してやるぞ」

「うるさい! 魔王が人間に感謝するな!」


 デリアは足元のキューブを踏みつけた。

 キューブが潰れて、赤い液体と肉片が飛び散った。


「止めろ!」

「この中に、お前の体が有るんだろう。戻れなくしてやる!」

「お前の弟もいるだろ」


 それには答えず、デリアは潰すのを止めない。

 弾力があるから、捗らないのがベリアルには幸いなのだけれど……。


 今潰れたそのキューブは誰のもの?


「いい加減にしろ!」


 壁の影から無数の棘が生じた。

 細く長く、鋭く伸びて、飛び出した。

 無数の針がデリアの体を貫いて、その体を壁に縫い付けた。


「グハア」


 間髪入れず、ベリアルは針を束ねて一本の長大な釘を作り出す。

 ベリアルは左手に釘を持ち変え、右手を巨大なハンマーに変形させた。


「覚悟するがいい」


 その目が青く、強く燃える。

 走り出し、加速して、デリアの胸の中心に釘を穿つ。


「魔王め、不浄な世界の不条理め。呪ってやる、呪ってやるからな!」


 デリアの怨嗟の声を聞き流し、ベリアルはハンマーを打ち付けた。


 カーン。


 ベリアルが打ち込んだはずのハンマーが、金色の盾に打ち返された。

 デリアとベリアルの間に割り込んだ黄色い影。


「お前は!」

「勇者マモル見参!」


 金色のフルプレートアーマーが見栄を切る。


「人間に手を出す魔王は容赦しないぜ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ