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勇者、謝罪会見で間違える

「本日は大変お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。

 このたび私がしてしまった大変軽率な行動により、関係者のみなさまにご迷惑をおかけし、多くの支援者の皆様に大変不快な思いをさせてしまったことを心より深くおわび申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。会見が遅くなってしまったこと、深く深くお詫び申し上げたいと思います。本当に申し訳ございませんでした」


 勇者は壇上で深々と頭を下げた。


 光魔法が暴力的に浴びせられる。


 隣に座っているレイラはなぜかふてぶてしい態度。

 ギルドマスターなのにふんぞり返っている。


『何を謝っているのだ、俺は』

『え?』


 守護女神のびっくりした声が脳を揺らす。


『謝っている本人が知らないの?』

『ダンジョンから帰って、ギルドに報告しにきただけなんだが』


 何をした? 

 いったい俺は?


 ――まず質問の前に、今回記者会見を開きたい、と言ってきたのは勇者さんのほうなんですけども、何か主張されたいことっていうのはありますか? まず先にそちらを聞かせていただきたいと思いまして。


『なんだと???』

『あちゃー、あてが外れたわね』

『ひょっとして、この謝罪会見、誰も内容を把握していないんじゃないのか』

『記者も勇者の出方を伺っているってこと?』

『唯一知っていそうなのは、ギルマスっぽいが』


「それでは、記者のご質問を受けまして、お答え致します。まずはこの謝罪会見の意図を明確にするために、経緯を説明させていただきたいと思います。これにつきましては、私が所属しております冒険者ギルドの責任者であるレイラ=レレレ=レイラ議長が説明いたします」

「え、私?」

「よろしくお願いします」

「えー、レイラです。見ての通りのオーガ族です。あまりこういうのは慣れてないんだけど。ねえ、勇者、これ何説明すんの? あんたいったい何したのよ!」


『こいつもかー』

『誰が開催したのよ、この地獄の会見!』


 それは、その場にいた人間が誰もが思っていたことに違いない。

 だが、間違ってましたと終わらせる事もできない。


 誰か何とかしてくれ。

 誰でもいい。

 悪魔でも。


 ――東都新聞通信のベリアルです。噂では、勇者が魔王と不適切な関係にあるとされてますが。


『うわ、勇者、最低』

「最低だな、お前。奥さんがいながら、そんなことしてんのかよ」


 へー、こうやって罪って作られるんだな。

 だが、仕方ない。

 ここは乗るしかない、この船に。



「不適切な行為、深く深くお詫び申し上げたいと思います。本当に申し訳ございませんでした」


 ――記事内容は事実だったのか。


 概ね、その通りです。

(何があったのかしらないけど)


 ――結婚前から後も複数の魔王と関係を持っていたのか。


 最低な行為だったと思います。

(戦闘関係ですけど)


 ――それまでに奥さんにばれていなかった?


 そうですね。はい。

(プリンを勝手に食べたことについては)


 ――奥さんにはなんと言われた?


 それはもう、とにかく、当然すぐには受け入れないですし、僕がどれだけ謝罪しても当然すぐにわかりましたということでは当然ないんです。

 これからの人生で信頼を回復していく。

 時間をかけて話し合いを重ねて、そう言ってもらえました。


 ――そう言ってもらえたというのは、離婚ではなくこれからも一緒にやっていこうということなのでしょうか。


 離婚はなしねということではなくて、僕の、行動、生き方で信頼を回復してくれと。


 ――まだ結果は出ていないということ?


 いつまでということは決めていないです。

 日々本当に信頼を取り戻しているというか、そういった最中です。


 ――最初は奥さんは取り乱したりとかは?


 当然、こういったことをしたので、もちろんものすごく取り乱してはいました。


 ――言葉ではどういう風に言われた?


 当然信じられないということだったりとか、なぜということだとか。そういうことですね。


 ――なぜに対してはどういう答えをされた?


 本当にもうバカなことをしたと。僕が本当にいい加減なことをして馬鹿なことをしてしまったということを謝罪しました。


『人のプリン食べるとか、人間として最低!』

『女神はちょっと黙ってろ』


 ――魔王と(不倫を)してたという報道は?


 えー、魔王とですか? 


『フォローミーの自画撮りの件か?』

『じゃない? 最近、魔王絡みで怒られたから』


 えー本当におっしゃる通りです。ひどいことをしてしまった。自己中心的な考えというか、本当にバカなことをというか。


 ――相手の魔王には本気ではなかった?


 そういう気持ちはありませんでした。気持ちがないしてとそういった(撮影)行為に及んだということは、至らないところだったと思っています。


 ――魔王もそれで納得していた?


 納得してたとはいえ、僕がしてしまったことは、ばかなことをした。


 ――魔王とはどこで知り合ったんですか?


 とある方の紹介で。


『そういえば、あの新人魔法使いどうなったの?』

『辞めたよ。最短記録更新だよ』


 ――これまでに何人と(不倫)していた?


 何人というのはあれなんですけど、今までしてきてしまったこと(撮影)、独身時代を含め、間違った生き方、過ごし方、魔王に対する接し方をしてしまった。これに関しては本当に不徳の致すところ、改めなくてはなと思います。


 ――改められるものなのか?


 今言っても、このような人間が言うことだから、当然信用はしていだだけないと思う。日々のこれからの生き方、そういうので信用していただくしかない。



「魔王と肉体(殴り合い的な)関係なんて、もう、これ追放じゃね」


 はぁ?

 肉体関係?

 レイラ、お前何言っているの?


『ちょっとまって、勇者!』

『何だこのクソ忙しい時に』

『あんたの発言、完全に不倫の言い訳になってる!!!』


 会場から拍手が湧き起こる。

 次々にマイクが突き出され、怒号が飛び交う。


 仕方がない。

 俺は五体を投地した。

「大変、申し訳ありませんでした!」



『勇者、魔王との不倫認め涙の謝罪』

『勇者、複数魔王との関係を否定せず』

『勇者、離婚危機』

 翌日、各紙の一面に大きな文字が踊った。


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