魔王はふわふわ仕上げで癒されたい
「ねえ。このふわふわ仕上げを試したい」
商業地区まで適当に流して、途中で見つけたコインランドリーに入った。
ふとんが丸洗いできると書いてあるような大きなコインランドリー。
客は数名。
白色蛍光灯の下で読書したり、動画を見たり、各々暇を潰している。
手伝いましょうかというユージの申し出を断って、下着と服を仕分けした。
魔王といえども、初対面の男性に下着を見られるのは恥ずかしい。
依代、つまり、魔王の肉体からの拒否感が激しい。
ふわふわ仕上げはそのストレスに対するせめてもの罪滅ぼし。
ふわふわな肌触りで癒されて欲しいとベリアルは切に願う。
「洗濯が終わるまで、隣で食事にしましょうか」
という提案をベリアルはすぐに受け入れた。
コインランドリーの隣はファミリーレストランという典型的なロードサイド。
ベリアルはグランドメニューと睨み合いを続けていた。
やがて、メニューから顔を上げ、
「難しい戦いだったが、ようやく決着がついたよ」
そして、机の上で何かを探し始めた。
「何探しているんです?」
「え、呼び出しボタンだけど」
「え、呼び出しボタンはもうないですよ」
「え、呼び出しボタンがない?」
「え、これ続ける感じですか?」
「いや、いいけど」
「今は全部これですよ」
ユージは携帯の画面を見せた。
「来ないからさ、こういうところに」
「何にします?」
「エビドリア」
「と?」
「と?」
「エビドリアだけでいいんですか? デザートとか」
「デザート! いや悪いし、そんな……じゃあプリン」
「プリンですね。食後でいいですね。ドリンクバーも付けておきます」
「ドリンクバー!」
ベリアルはすっくと立ち上がった。
「ドリンクバーは右いったところの突き当たりです。行ってらっしゃい」
「……行ってきます」




