表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/59

Webサロンで講師してそうな顔だから、お前の名前はサロメ

「お前は誰なんだよ」


 ベリアルはゲームチェアを台所まで引き出した。

 毛布を体に巻きつけたベリアルはまるでイモムシ。

 流しの前に陣取って、シンクの中に放り込んだ女の頭に話しかける。


「聖水が出るってことは、神族なんだよな」


 聖水は魔族を殺す。

 排水溝のぬめりも落とす。


「ぬめりって、文字からして濡れた感がするから不思議」


 ベリアルは、菜箸で頭をつつく。

 目鼻口耳、顔の中の穴からは聖水の滲出しんしゅつを認めない。


「首のところはどうなってんだ?」


 フライ返しで頭を裏返す。


「なんだこれ」


 首の切断面は真っ平らな黒い板で覆われていた。


「いや、板じゃないな」


 箸でつついてみると、当たり判定がない。


「真の闇だ」


 魔界でも真の闇は存在しない。

 闇の魔術で生成されたもっとも暗い闇でも、吸収率は99.95%。


「どこまで入るんだ?」


 ベリアルは恐る恐る、菜箸を闇の中に差し込んだ。


「え、怖い」


 どこまで差し込んでも手応えがない。


「これ、現実世界のバグだろ」


 さすがの魔王も怖くなって、15センチで引き返した。


「先っちょは無事だから、一応安全みたいだけど」


 ベリアルは吸い込まれそうな闇を見つめた。

 この先に何があるのだろう?


 裏世界?


「それって、理想的なゴミ箱じゃない?」


 聖水の使い道も考えてみた。


「こんなにダラダラ出るなら、集めてフリマで売れそう」


 シンクの汚れも落ちるし。

 カビ取りにもなる。

 メガ女神が送りつけてきたのだから、


「女神様聖水かな?」


 ベリアルは恐る恐る聖水にまみれた菜箸の臭いを嗅いでみた。


「ツンとする臭いもないな……ごほ」


 鼻の奥が痛い。

 やはり魔族には毒のようだ。

 薬品の臭いを確かめる時は、直接鼻を近づけず、手で空気を自分の方へあおぐようにして嗅ぐのが正しい。


「気をつけないとな」


 さらによく見ると、切断面の際に小さな刻印が幾つか見つかった。


「この三角形は位置合わせ用なのかな」


 髪は銀髪のショート。

 目の色は青色。

 顔立ちは西の世界、北半球にいそうな典型的な美人。


「Webサロンで講師してそうな顔だから、お前の名前はサロメだ」


 その時、近付いてくる足音に気付いてベリアルは顔を上げた。

 安普請の部屋には廊下の音がよく響く。


「結構かかったな」


 ゴン、ゴン、ゴン、ゴン、ゴン。


 扉がノックされた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ