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雪待つ花は死の香り〜ノマド転生者の姉妹は幸せになりたい  作者: 里井雪
エピローグ

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天界再び

「あのー、お取り込み中のところ失礼しまーす」


 うん? 見上げれば女神アストリアが覗き込んでいる。わざわざ神殿から出迎えてくれたようだ。


「大勝利、おめでとう! ほんと、助かったわ、あなた方には感謝しかない」


「マ・ジ・で、大変、だったんですからね、感謝はいいから、金をくれ!」


「分かってるわよ、女神に二言はない。二人の幸せな人生、何度転生を繰り返しても、それを保証してあげる」


「じゃ、早速」


「って、何よ、せっかく天界に来たんだから、しばらくゆっくりしていきなさいよ」


「ゆっくりしてたら、下界じゃ、千年経つんじゃないですか?」


「ここは、時空連続体を超越した場所って説明でいいかしら? あなた方が死んだポイントより未来なら、どこへでも戻してあげられるわよ」


「え! そうなの! マジ、百年後とかじゃなくてもOKなわけ?」


「もちよ」


「だったら、だったら、私たちが死んだ、あの異世界、ケンタウルス星系のあの惑星、あの時間に戻して! シズクもそれでいい?」


「もちろん、なの!!」


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! あの異世界に戻ることが二人の幸せだとはとても思えないわ」


「私たち、幸せの定義が変わったんですよ」


「あのね、分かってる? ノマド転生を宿命づけられた、あなた方に魂のリセット、スピリット・ウオッシュはできない。あなた方が得てしまったスキルを消すことなどできない、という意味よ」


「そこは、まー、成り行きで理解してますよ? だから?」


「国を星を滅ぼせる力を持った二人が、それを知る世界に転生すれば、どうなるか? ただただ、いいように利用されるだけ、でしょ?」


「大丈夫です。おそらくジュスティーヌは私たちを利用するでしょう。でも、彼女は、ちゃんと節度をわきまえています」


「ふぅ、まったく、魔法のない地球に、平凡な家庭の双子として生まれる、そういうのが一番いいと思うのだけど」


「次の次はそれでもいいと思うの。でも、今回は、今回だけは、仲間に再会したいの。お姉ちゃんも同じ気持ちよね?」


「もち、その通り」


「分かった、分かったわよ! 約束は約束だものね。で、すぐ行くってわけ?」


「はい」


 図ったようなユニゾン、微笑み合う二人。


「えーーっと、NPC、NPCよね。あ! この子たちがいいんじゃない? 助けてあげてよ」


 女神が見せてくれたホログラムには、白い犬獣人の子供が二人映っていた。柴犬風の耳とくるり丸いしっぽ、なかなか可愛いが、なんだか辛そうだ。肩を寄せ合い眠ったように動こうとしない。


「村の飢饉で、捨てられたんでしょうね。このまま放置すれば、飢え死にしてしまうわ」


「兎、猫、と来て、次は犬ですか? それも面白いですねー、彼女ら、とっても可愛いし」


「うん、とっても可愛いの」


「じゃ、まー、行く?」


「ええ、獣人の寿命って二百年くらいでしたっけ?」


「そんなもんね。ここにいれば、二百年なんて瞬きの間だから、ま、また会いましょう。待ってるわよー」


「次がもしあるのなら、女神様のミッションを受けますよ?」


「あら、あら、見抜かれてたの?」


「いえ、女神様ともあろうお方が語るに落ちたのですよ。私たちを利用するのは『人だけ』じゃないだろう、と思ったのです」


「相変わらず、スノウでいいのかな? は、鋭いわね」


「でも、利用されるって、頼られてる、って感じで、嫌いじゃないですよ?」


「まったく、ああ言えば、こう言う、口の減らない人ねー」


 という女神様をスルーして、私は、


「あーー、そうだ。シズク、私たちの名前、スノウとシズク固定でもいいかな?」


「うん、なんだかこの名前気に入ってるの」


「知ってるとは思うけど、スノウドロップ、その花言葉は『あなたの死を望みます』だよ?」


「いいえ、違うの。その花言葉はイングランドの古い言い伝え、本当は『希望』、スノウドロップは冬の終わりを告げる花」


「そうだね。そういうことにしておこう」


「じゃ、まー、二人とも、気をつけて行ってきなさいよ」


「はい」


「では、二百年後に……、って、最後、じゃないけど、女神様、一つお聞きしていいですか?」


「うん?」


「神様って『寿命』はあるのですか? 『封印』された魔帝、彼の不老不死は呪いだなー、と考えていたので、つい聞いてみたくなったのです」


「ああー、それね。ここは時空連続体を超越した世界だって言ったわよね? だっからー、私も、そ・し・て、あなた方も『呪われし者』なの、なのでー、これからも仲良くしましょ♡」


「分かりました! こちらこそ、よろしく。あー、でも、もしかして、女神様はボッチが寂しくて、私たちを呼んだんですか?」


「ボッチと言っても138億年のヒッキーなんだからね。って、ウフフ、ま、そうかもね。そんじゃ」


「では、いってまいります」「いってきますなの」

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