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雪待つ花は死の香り〜ノマド転生者の姉妹は幸せになりたい  作者: 里井雪
エピローグ

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61/61

#throwback

 次の瞬間、私たちは、お決まりの渦の中、気ン持ち悪りいいいい!! が、いつか倒錯した快楽となり、フッと現実に戻る。


 私たちは犬獣人の姉妹に転移していた。二人ともまだ幼い、人標準だと十歳といったところか?


 鏡なないので、シズクの顔を見る。犬っぽい真っ黒な瞳が愛らしい。さらに、真っ白な耳と真っ白な尻尾なんだけど、薄汚れてるねー、着ているものもそこかしこの破れを繕ったTシャツが一枚きり。


「まー、マイクロビキニよか、ましかー」


「お姉ちゃん、前世のスタートはそんなんだったの!」


「まーねー、いずれにしても、懐かしい我が家に帰りますか?』


「そうするの!」


 PCが入るということは、スタティック魔法による加護もセットのはず、NPCの健康状態は大きく改善されてるんだと思うけど、いかんせん、お腹が空いてどうにもならない。早く何か食べたいが……。


「シズク、いきなり、ブランシュ=メゾンに飛ぶのは、巻き込み危険な気がするから、少し離れた場所へ行こうか」


「そうだね」


 私たちは町はずれの森にワープした。


「さって、お腹は空いてるけど、歩くしかないねー」


「うん」


 すでにA星は地平線の下、B星の薄明かりを頼りに二人は懐かしい我が家を目指した。十五分ほど歩くと、


 見えてきた! WE・ARE・BACK!!


 ドアノブに手をかけようとすると……。そこには、黄色いリボンが結ばれている。


 おまじない? もしかして……。でも、いっつも不用心だな、鍵はかかっていない。


「ごめんください」


「ただいま。なの」


 食卓のテーブルには、クロード、ダフィーネ、だけじゃない! ジュリエット、フレイ、なーーんと、ジュスティーヌまでいるではないか! 五人の視線が一斉に集まる。


「あーー、女王様までおいでになって、随分と盛大なフューネラル・パーティですねー」


「そ、その言い方、あなた、スノウなの? 本当に……、帰ってきた……」


「猫の次は犬の体をもらいまして、名前は……、今後、どれだけ放浪しても、スノウとシズク固定ということにしました」


「犬一匹の構成成分は、お姉ちゃんと、お姉ちゃんと、お姉ちゃんと、それから、忘れてなんかいないよ、仲間!! とーのー、愛ぃぃ!! で、できているぅ!」


 おーー、そうだ、そうだよねー、シズクはオタク成分満艦飾で、嬉しさを爆発させる。


「スノウさん、おかえりなさい! 黒曜石の瞳も素敵です♡」


 ジュリエットがいきなり抱きついてきた。大粒の涙を流している。


「あなたの強さは魔法だけではないのですよ? あなたの何物にも動じぬ鋼鉄のハートは私の憧れ、以って範としてきました。それが、そのお方が、突然、いなくなるなんて! 帰ってくるのなら、帰ってくると、先に言っておいてください!!」


「あーー、スノウ、あんじょう、気にしたってやー、この中で一番落ち込んでたのはジュリエットやさかいな」


「あのぅ、それはそうと、スノウ、シズク、かなーーり、匂うようですから、まずはシャワーを。着替えは、そうですねー、すぐに、買ってきますから」


「おーー、お二人さん、腹減ってんだろ? ギルドに行って料理調達してくるぜぃ!」


「ありがとうございます。だけど、もう、どうにも我慢できないので、そこのパンだけいただきますね」


「私も食べたいの」


 パンを頬張りつつ、ゆっくりとシャワーを浴びて、ダフィーネが買ってきてくれた清潔な下着を着け、黒のTシャツに袖を通し、ブルーのショートパンツを履く。


 クロードがローストチキンやらなにやらを大量に買い足してきて、テーブルに所狭しと広げた。


 おそらく今まで、お通夜のようだったろう食事会が、飲めや歌えの大宴会となった。


「拙者親方と申すは、お立合いの中にご存知のお方もござりましょうが、お江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて……」


 ジュスティーヌ! あんたの前世、やっぱ、オタクのオッサンだったんじゃないの? いや、待て、声優か? うーーん、分からん。


「ねーー、スノウ、早速だけどお願いがあるの♡」


 早くも来ったなー、天性の政治屋め。


「私、国際連合を作ろうと思うの」


「あーー、もう、分かりましたよ。私たちを究極の暴力装置として迎えたいってことですよね?」


「さすが、スノウね。でも、私は魔帝とは違う。武力は、支配ではなく、世界平和のために使うわ」


「まーー、限られた国だけが核兵器を持っている地球と、そう変わるとは思えないけれど、絶対支配と絶対平和、そのギリギリを試そうというジュスティーヌ女王の考え、面白そうだから乗ってもいいですよ?」


「そう来なくっちゃ」


「って、女王の前世って、もしや……」


「うふふ、それは、な・い・しょ♡」








〜* All the world's a game, And all the men and women merely role players. They have their exits due to game over and their entrances from the save point. *〜


《この世界はゲームだ。人はみなプレイヤーに過ぎぬ。ゲームオーバーで退場し、セーブポイントから戻ってくる》







 長々とお付き合いいただきありがとうございました! 最初の後書きにも書きましたが、二年ぶりの長編となります。本作、いつものストーリーだったと思いますし、セリフや構成については朗読劇脚本の学びが生かされてる気もするのですが、どうも反応が今一つでした。


 うーーん、収益化がダメだったのか、TS要素を省いたのがダメだったのか……。


 とはいえ、スノウというキャラ、名前が示す通り、どこか自分自身でとっても気に入っています。また、どこかで同キャラ(メンタル的な意味で)使おうかな?


 いずれにしましても、いろいろ反省踏まえ、そうですねー、来年? 来春に向け朗読劇の新プロジェクトが動きそうなので、余裕をみて来年中! には懲りずに長編を出したいと思います。


 短編の方は『炉話』『あらん』『文学の横道』用を年四本書いていますので、その先行リリースとして継続。「夏のホラー」は『炉話』4号用を出そうかな。


 紙の本は文学フリマ・大阪14(9/13)、東京42(11/8)にて販売しますので、お時間ありましたら、是非、お立ち寄りください。ちなみにコミケ、夏コミはパスですが、知り合いがVtuberカテで出店という情報を得たので8月15日にお客さんとして行く予定。冬コミは『炉話』を出そうかな? と考えています。


 では、では、最後までお読みいただいた皆様のご多幸を祈念して、本作最後のご挨拶とさせていただきます。

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