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雪待つ花は死の香り〜ノマド転生者の姉妹は幸せになりたい  作者: 里井雪
新たな旅立ち

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34/61

旅立ちの準備

 まー、そうだねー、いろいろ上手い具合に進んでるね。


 まだ、みんなに、そこまでは話していないが、魔帝を封じるという最終ミッションが私たちにはある。ノマド転生者の私とシズクにとって、未来永劫の幸福を女神様が請け負うという報酬は、なんとしてもゲットしたいところ。


 だから、カマル行きは魔帝の情報を集めるという意味でも必要でしょ? というか、そうなるように女神様が仕組んだのかもしれない。


 うーーん、こちらに来てからのことを振り返ると、ラッキーがそこらここらに転がっていた。女神の掌で踊らされているのは少々癪ではあるけれど。


 いずれにしても、始まりの町フルール〜リーフの王都アネモス〜カマルの魔法学園にワープゲートを作ることになるが、出入り口のセキュリティは厳重にしないといけないね。


 リーフの王都は姫の私室のウォークインクローゼットの扉に鍵が掛かるようにして設置、ここに出入り口二つを作り中継点とする。魔法学園については、ジュリエットが入る寄宿舎の私室でいいだろう、で、問題はフルールだ。


 「溺れる人魚亭」の貸し部屋にゲートを作るのは少々まずい。かなりお金も貯まってきたし、冒険者パーティ・ブランシュ=ネージュとシズク四人の住まいをフルールに買うことを決めた。


「では、行ってきますね」


 今回はクロードとダフィーネが馬を返す必要があるので、飛龍用ヘリポートに大きめのゲートを作ることにした。ジュリエット姫もわざわざ見送りに来てくれている。


「魔法学園行き、とっても楽しみですわ。お帰りになる前に準備を整えておきますから」


 人質ということも知りつつ大物だね、彼女は。ちなみに、魔法学園へは馬で行くことになっている。なぜなら、シズクの弁によると、


《お姉ちゃんのように、とーーっても親しい人から流れるイメージじゃないと、その像がどこか朧げで、とっても危険なの》


 ってこと、らしい。


 「とっーーっても親しい」というのは、まー、その、なんだけど、イメージが曖昧だと全く想定外のところに出口ができる可能性があるんだってさ。


 シズクと手を繋ぐ動作がだんだん自然になってきた。何度か練習したら、彼女が欲する量の魔力を無意識で作り、渡せるようになっていた。なんだか二人の自我が溶け合い一つになる感じ、あ! あの時(***)と同じだ!


「イヤン♡ ハズイ」


 溶ける感じは、ある種の悦楽となり、私に染み込んでくる。二人は一人、もう二度と再び、最愛の妹を離しはしない、生も死も、どこまでも一緒。


 馬一頭が通れる大きさのゲートが開いた。まず私とシズクが徒歩で通る。続いてヴァン・ノワールに乗ったクロード、ヴァン・ブランのダフィーネが続く。一行は貸し馬屋ベツレヘムの近くに到着した。


 ワープによる時短ってとんでもないよね? まだまだ一日は長い。馬を返して冒険者ギルドに顔を出す、四人。


「あ、ブランシュ=ネージュのみなさん、お久しぶり、って、王都往復したにしては早すぎません?」


 受付嬢、兼、ギルマスのアリーナがにこやかに迎えてくれた。


「って、えええええ!! スノウさんが二人に」


「ここでボケかましますか? 妹の話、してましたよね?」


「あ、あははは、シズクさんでしたね。初めまして」


 シズクはいつものように手話で挨拶した。


「細かい話は私が通訳しますから」


「ま、いろいろ事情もあるのでしょう。で、帰還早々、クエストですか?」


「いや、詳しくは後日話すが、俺たち四人で住む家が、すぐに欲しいんだ」


 不動産屋などはないこの異世界、私たちの物件探しは冒険者ギルド頼みとなってしまう。


「確かに、我がギルドの稼ぎ頭、ブランシュ=ネージュさんですからねー、そろそろとは思っていましたが」


「急ぐんだよ、多少高くてもいいからさ」


「高くはない、むしろ安すぎる物件なら、ありますが」


「訳あり物件(Problematic House)ですか?」


「面白い言い方しますね、スノウさん。ちょっとですねー、出るんですぅぅ」


 奇跡も魔法もある世界に亡霊ごときが実在したって、なんの不思議もないはず、だよね?


「呪われるとか?」


「そこまで格の高い霊ではないらしく、イタズラされるくらいですが、嫌がる人が多くて」


「あのなー、俺、聖職者なんだが」


「元、でしょう?」


「うるさい! 除霊くらいは無問題(NP)だ」


「じゃぁー、今は、防具屋のボレルさんがオーナーだから、ギルドからの紹介、ってことで行ってもらえればよいかと」


「あっ、防具屋さんなら、ちょうどいいわ、シズクちゃんの装備も買いましょう」


《ダフィーネさんに頼んでたの、お姉ちゃんと一緒がいいって》


「はいはい、ヨ●カちゃんになりたいわけね」


《パンツじゃないから恥ずかしくないもん》


 あーー、前、警告したんだけどねー、むしろノリノリになってるじゃん。


 一行はギルドからほど近いボレル防具店を訪れた。店主はちょっと意外な中年の女性、背が低いところからすると、ドワーフ族だろうか。


「お久しぶりです」


「ああ、ダフィーネさん、いらっしゃい。って、これが言ってたスノウさん、って、アレ?」


「ああ、こちら、双子の妹でして。同じ装備が欲しいのですが……。でも、胸とヒップのサイズがやや違うというか」


「うん? ああ、スノウさんが着てるのは、特殊オプション付きだけど、標準品でいいってことかな?」


「それじゃ、ちょっと測らしてもらうね」


 こちらでも。計測は普通にメジャーで行う。ま、そりゃそうだよね。


「なるほど、サルジュサイズでCカップってところかな? うんうん、なら標準のスク、じゃなかった、アンダープロテクターで十分だと思うね」


 待て、今、「スク水」って言いかけた? この人も転生者なのかっ!


 シズクはその場で着替えると言った。猫耳、尻尾付き、スク水セーラー。首のチョーカーというか猫鈴ありなし、と、オッドアイの左右以外、全くの相似形、量産型スト●イクウィッチーズ姉妹の出来上がりだ。機関銃は持っていないけどねー


「ところで、ポレルさん、私たち、家を探してるんです。ギルドからの紹介でいい物件があると聞きましたので」


「ああー、ちょっと出る(**)んだけどね。このメンバーなら全然平気かな? お安くしとくから、見に行くかい?」


「はい!!」

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