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雪待つ花は死の香り〜ノマド転生者の姉妹は幸せになりたい  作者: 里井雪
プロローグ

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2/14

放浪の転生者

 今、そう言ったよね? うん、私は転生者。


 しかも、しかーもだ、無限ともいえる時空を放浪している。「ともいえる」というのは、あまりに長く、そして、何度も何度も転生を繰り返したので、原初のことは記憶にないのだよ。


 もちろん、君のいるそこ、日本とかいう国も経験してるよー、卑弥呼、聖徳太子、楠木正成、源義経、なんてヤツらとはポン友だった……、というのはウッソー、真っ赤な嘘だ。いつも、常に、貧しい姉妹の姉として私は生まれた。


 そう、私には必ず薄幸の妹がいる。でも、前世、21世紀の日本は、そこそこマシだったと思う。


 親に先立たれ二人っきりになった私たち姉妹。私は難病の妹を助けるため、システムエンジニアとかいう職を得て、働いて、働いて、働いて……、だけど、そんな努力虚しく我が妹は二十三年の短い生涯を閉じた。


 身寄りなんていない、独りっきりの告別式、火葬を終え、妹の遺骨を抱いて、私は、家に戻ろうとしていた。


「菜美子、なぜ? なんで! こんなに、こんなにも、小さくなってしまったの? 答えてよ、返事してよ、お願い、お願いだから……」


 ふらり、私は赤信号の交差点へ。自殺する気はなかったと思う、だけど、どこかで死を望んでいたのかもしれない。「死んで、転生して、また、妹に会いたい」……。


 短絡的な考えへの罰だったのだろうか、転生した先、ここの異世界は地獄、本当に最低最悪だった。


 最底辺ともいえる寒村に、兎獣人の姉妹として生まれた私たちは、人族から借りた畑を耕して日々の糧を得ていた。私たちも、畑を貸している人族も貧しい、食うや食わず、ギリギリの生活が続いていた。


 そんな時、悪夢の大飢饉が村を襲った。


 「兎獣人は兎に似ている」、この意味、分かるかな? そう、私たちの肉は美味しい。妹は人族共の飢えを凌ぐ「食糧」となった。


「もう、どうでもいいや、せめて楽に殺してください……」


 次は私の番。絶望し自暴自棄になっていた私に神、いや、多分、悪魔の方だろう、が囁きかける。


「あなたには力がある!」


 私は突如、魔法に目覚めた。なんでも、どんな物でも、一瞬で「切れる」魔法だ。もう少し早く、この力に目覚めていれば、妹が死ぬことはなかっただろう。


 慙愧の念から湧き上がる復讐心。憎い、憎い、憎い、人が人族が憎い!!!


 私は村人全員を殺し、次の村を襲う、次から次へと村を町を壊滅させて行った。ただただ怨念に突き動かされる復讐鬼となった私は魔帝と出会い、利害の一致をみる。


 そして十年、この十年間、私は魔帝の手先として、数万の人族を葬り去った。

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