魔帝と勇者
〜* All the world's a game, And all the men and women merely role players. *〜
《この世界はゲームだ。人はみなプレイヤーに過ぎぬ》
私は今、勇者と魔族の帝王、魔帝が一騎打ちする場に居合わせている。確かに、人族は頑張った! というべきかな? 数で勝る人族、百万もの犠牲者が最終決戦のお膳立てをした。
だが……。
「なんだ、もう終わりか? 世界を救う勇者様とやら、もう少し楽しませてくれると思ったのだがな。朕は、こう見えて慈悲深い、嬲り殺すなど趣味ではないから安心せい、一思いに首を刎ねてしんぜよう」
「クッ、我が命尽きようとも、この世の光絶えることなく、再び異世界より来たりし勇者が貴様を討つ! よかろう、この首、くれてやる!」
「ねーー、勇者様ー、大見えきっていらっしゃいますが、震えてますよー」
ズガッ!!!!!!!
「な! 何を!!!」
「そんなに、驚くことなくない? お約束でしょ? ヒーローのピンチには、テンプレ通り思いもよらぬ助っ人が現れる」
「お、お前、いや、あなた様、自らの主君を!」
「ま、ちょっとした気まぐれよ、私の魔法が魔帝に通じるか試してみたくてねー、どうやら、ちゃんと、首を落とせたみたいじゃない?」
「お、恩に着る」
「って、なにをボサッっと突っ立ってんのよ? さっさと、その聖剣で、私を刺しなさいよ! あーー、苦しむのは嫌だから、心臓ひと突きで頼むねー」
「ど、どういうことだ?」
「君ねぇ〜 勇者でしょ? メンツってもんがあるんじゃないの? 『側近の裏切りで魔帝を倒せましたー』、なーーんて、人族希望の光が言うわけ?」
「し、しかし……」
「ああーー、五月蝿いなぁ〜 私疲れたの。殺して殺して殺し尽くすだけの生、もううんざりなのよ。それにぃ、魔帝の残党に追われるこれからの日々も、ぞっとしないしねー、だからー、勇者様に殺される栄を賜ろうってこと、ユー、シー?」
「だが、しかし」
「しっかし、しっかし、駄菓子かし? メンドクサイ野郎は女の子に嫌われるよ? でも、まー、分かったよ、理由、理由が聞きたいんだよね? そうねー、君たちの友軍が駆けつけるまでには、まだ少し時間がある。聞かせてあげるよ、延々続く無間地獄、転生を繰り返すノマドの民の物語をね……」




