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第四十六話 缶スープ

短めです。


10階層へ上がって来た。


暫くフィールド型っぽい階層だったが、この階層は洞窟型に戻った。

…洞窟型であるのは確かだが、通路が広くて天井高もある。デカブツがいるのか?


紙 「巨人型とかデカい魔物がいるのかね?通路が広いけど。」


お面 「気にしても仕方ありやせんぜ、旦那。」


ゴンちゃん 「…この臭いは、鳥系の魔物の臭いですよ。薄いですけど、臭います。」


鳥系の臭い?土っぽいと言うか乾いた埃っぽい感じの臭いはするけど、コレって鳥の臭いなのかな?

鶏の解体した時に羽を毟ったことがあるが、ダニがいるので軽く熱湯に入れてから羽を毟ったんだけど、アレは独特の臭いがしたな。

俺の主観だが、アレの臭いは嫌な臭いだ。古くなった油の臭いと言うか独特な臭いだったな。


紙 「ゴンちゃん良く分かるな。臭いがあるのは感じるけど、何の臭いかは分からなかったよ。」


ゴンちゃん 「そこは私も狩りをする野生生物ですので。獲物の情報を記憶していないと飢えますから。主様には必要ない能力ですよ。主様は食事不要の力もありますし。」


確かに能力の弊害はあるかも知れないな。

俺が狩りをするなら”特殊能力:紙”を使えば良いし、臭いとか関係無いから。


お面 「旦那、さっさと処理してしまいやしょう。臭いの判別何ぞ、香水を作る調香師や薬品屋で悪臭対策品の研究員などの専門家が出来りゃいいんすよ。酒造る連中や浄水場で水道水の確認する連中も官能試験はしやすけど、旦那は今設備の仕事はしてないでやしょう?」


お面が言うように設備の仕事で水道関係の設備をやる時は、確認作業で官能検査もそう言えばやったことあったな。文句言われる場合もあるから。工事後に臭いがするとか言われる時があってさ。水質試験の一環だけど。

客先の管理部門の担当者が立ち会うから、さっさと問題無い事を確認して引き渡すけどね。引き渡したら、客先の責任だし。

話がそれたな。


紙 「お面の言う通りだ。さっさと処理してしまおう。”完成図書”と”施工図”を使用する。」


他の階層同様に処理を行う。

完成図書から階層情報の確認する。


紙 「この階層は鳥と言っても”鶏”系の魔物のようだな。階層ボスはドラゴンに近いかも知れないけど…。」


ゴンちゃん 「階層ボスはドラゴンに近い能力がありますけど、この魔物は鶏に近いですよ。鳥頭ですし。」


そうなのだ。この階層のボスは鶏の頭部を持っているんだよね。知能は比較的高いけど、忘れっぽいんだったかな?確か。


お面 「この階層の魔物は石化耐性が無いでやす。魔法で処理しやすか?」


紙 「そうだな。1分程度時間が掛かる石化を使ってみるか。屑どもを処理する時は5分程度処理にかかる石化を使おうと思ってるから。」


ゴンちゃん 「時間が掛かる石化は、魔法使用時に処理時間を考えて使うだけですから、魔法のコツとしては時間の長さは関係無いので試すのは良いと思います。」


そうなんだ。施工図を使用して階層を設計変更し、石化魔法のテストを行う。

処理に時間のかかる石化は激痛を伴う為、魔物の断末魔が凄かったな。


紙 「特に問題なさそうだ。ドロップ品を回収しておこう。」


通路にいた魔物は以下の通り。


天魔羅醯室陀鬼(てんまらけいしつだき):ドロップアイテムは、槌、魔石。岡山県の金山寺や愛知県の真福寺に伝わる『伝死病種事』に伝死病(伝尸病とも呼ぶ。結核などの肺病)を引き起こす五種の鬼たちが図入り描かれている。天魔羅醯室陀鬼は三番目に出てくる鬼で、頭は鶏、体は人、虎の毛皮を腰に巻き、手には槌を持つ。この鬼の同類の魔物だ。別名”魔鶏室陀鬼”。ドロップアイテムの槌は、振り回すだけで肺病を振りまく呪いのアイテムだ。槌は黒鉄製で破壊力も高い。こいつが階層ボスでもいい位だよな。


馬鶏(ばけい):ドロップアイテムは、鶴嘴(つるはし)、肉、魔石。”怪奇鳥獣図巻”と言う書物に出てくる鶏に似た鳥の魔物。見た目は鮮やかな羽毛に彩られた鶏だ。嘴での連続攻撃と鋭い爪で攻撃してくる。ドロップアイテムの鶴嘴は、こいつの嘴が素材として使用されていて、武器として使用できる。小型なので鶴嘴と言うよりは登山で使うピッケルに近いかも。


火玉(ひざま):ドロップアイテムは、火属性の魔晶石、魔石。鹿児島県奄美群島の沖永良部島に伝わる妖怪の魔物。火の玉になる能力を持つ。胡麻塩色の羽で頬の赤い鶏の姿をしている。


波山(ばさん):ドロップアイテムは、秘伝書、肉、魔石。”絵本百物語”に出てくる妖怪の魔物。大きな鶏冠を有する怪鳥で口から赤々とした炎を吐き出す。この炎は幻覚で物を燃やすことはない。ドロップアイテムの秘伝書は幻術の秘伝書で、炎の幻術を使えるようになる。この魔物の幻術は、魔法と言うよりも特殊能力やスキルと呼ばれるモノになる為、ドロップアイテムが秘伝書のようだ。


紙 「呪いのアイテムか。良いなコレ。呪いのアイテムと分からないようにしてばら撒こうか?」


お面 「効果ありそうでやす。データシート改変で我々には効果が無いようにすれば良いですしね。」


ゴンちゃん 「金には困っていませんから、大量に捨て値で売れば良いのでは?変化術で商人に化ければ良いですよ。」


紙 「そうだな。ワイバーン軍団も使ってばら撒こうか。他の武器も呪いの武器にしようか?ワイバーンが交渉が難しそうなら、俺が分身しても良いか。」


お面 「旦那、その辺は戻ってから相談しやしょう。階層ボスを先に処理しないと。」


紙 「そうだな。すまんすまん。」


階層ボス部屋の魔物を処理することにする。

階層ボス部屋の魔物は以下の通り。


金鶏(きんけい):ドロップアイテムは、金塊、肉、魔石。日本の各地で縁起の良い鶏として伝わる金の鶏の魔物。この世界では攻撃力も高いので危険だ。


鶏地獄の鶏(けいじごくのにわとり):ドロップアイテムは、DCSの缶詰、肉、魔石。鶏地獄にいるとされる鶏の魔物。鶏地獄(”けいじごく”別名”とりじごく”)は”起世経”の地獄の一つ。鳥獣を虐め、諍いを好んだ者が死後に堕ちるとされている。この地獄には猛火に包まれた鶏がいて、罪人はこれに追われて蹴り踏まれ、肉体を切り裂かれる耐え難い苦痛を与えられる。この世界の鶏地獄の鶏(けいじごくのにわとり)は牛並みに巨大な鶏だ。ドロップアイテムのDCSはドーピングチキンスープと言い、飲むと10分間鶏地獄の鶏(けいじごくのにわとり)に変身できる。副作用として使用後は10日間ほど鳥頭になる。所謂、お馬鹿さんになるって事だ。鳥頭になっている間の記憶は本人は全くない。


コカトリス:ドロップアイテムは、卵、肉、魔石。地球の鶏の頭部、竜の翼、蛇の尾、黄色い羽毛を持つ怪鳥とされるモノの魔物。この世界のコカトリスは赤色野鶏(セキショクヤケイ)の尾が蛇の見た目だ。赤色野鶏(セキショクヤケイ)とは、鶏の原種とも言われている野鶏だ。視線と吐息に猛毒を持っている。この猛毒は呪いの一種だ。


鳥龍(ちょうりゅう):ドロップアイテムは、宝箱、肉、魔石。天皇陛下の即位の儀式などに用いられる”獣形帽額”の刺繍にある霊獣の一種の魔物。鶏冠(とさか)と嘴を持つ鶏に似た顔を持つ四足獣だ。頭部が違うだけで、ドラゴンと同様の能力を持つ。但し、鳥頭で忘れっぽい。そのせいで馬鹿と言うより間抜けだ。こいつが階層ボス。


この世界のコカトリスには石化が効く。鳥龍(ちょうりゅう)が多少耐性があるけど、問題無く石化した。


紙 「変わった物がドロップされたな。宝箱の中身は…、ナニコレ?」


お面 「帽子のようですが、被るのはためらわれるデザインでやすね。」


ゴンちゃん 「後で処分すれば良いのでは?」


まあそうだけど。一応説明しよう。

宝箱に入っていた帽子は、仮装する時に使う鶏の帽子だな。変なデザインの癖に防御力は高い。鶏冠から魔法のブーメランの様なモノを飛ばす機能がある。

…特撮の大手とかからクレームが来そうな機能だな。後で処分しよう。

皆と相談して、次の階層へ向かう。

扱いに困るアイテムは、要らないよね。



◇◆◇◆◇◆


ダンジョン探索後、猿棍”酩酊酒乱”を試した後に、DCSの缶詰が気になり確認することにした。

あ、この世界にも缶詰の製造法はある。金属が貴重なので生産はされていないけど、遺跡やダンジョンで稀に発見される。地球と違うのは状態保存の魔法が掛かってるので、驚異の消費期限を誇る。過酷な環境下に置かれても100年程度は品質に問題は無い。


紙 「なあ、DCSの確認して良いかな?」


お面 「飲むのは駄目でやすよ。」


ゴンちゃん 「主様の能力で効果を無効化できますよね?飲むなら無効化して確認すれば良いのでは?」


うーん、どうしようか。味は変わらんはずだけど…。

日本人として食い物は気になるじゃん?

缶切りは無いので、保存データから地球の缶切りを複製する。イージーオープンエンドのフルオープンエンド(”パッ缶”とか呼ぶメーカーもあるやつね。)じゃ無いのは抗議したいところだ。

ダンジョンの魔物のドロップ品なので、多くは求めてはいけないんだろうか?

戦闘時に使用するなら困る仕様だと思うんだ。だって、一種のドーピング薬だし。


紙 「じゃあ、データシート改変で問題のある効果は無効にしておこう。俺も鶏に変身は嫌だから。」


複製したDCSの缶詰のデータシートを改変して開けてみた。

・・・ん?なんだこれ、ドロッとしてるな。

データシートで情報を確認すると、この缶詰は濃縮缶スープでクリームチキンスープタイプってなってるぞ。


紙 「ナニコレ。温めないと駄目な奴じゃん。開けちまったよ。」


ゴンちゃん 「でも良い匂いですよ。」


お面 「濃縮缶スープなら鍋にあけてから、水か牛乳で伸ばさないと駄目じゃねーすか?」


そうだな。仕方が無い、ゴンちゃんの巣にあった調理器具を使うとしよう。


紙 「仕方が無い。鍋にあけて、水で伸ばして味見しよう。」


中身を鍋にあけ、水を徐々に加えながら中火でゆっくりかきまぜで温めようとしたら、鍋の材質のせいで一瞬であったまりやがった。

さすがはヒヒイロカネの合金製だな。焦げ付き防止の魔法処理がしてあるので良かったよ。

アブねーな。


紙 「温めたらスゲー良い匂いだな、コレ。肉もたっぷり入ってるし。ゴンちゃんも食うか?」


ゴンちゃん 「是非!」


器によそって試食してみる。


紙 「美味い!けど…、何となく食ったことがある味だなぁ。」


ゴンちゃん 「そうですか?私は初めてですけど、美味しいですねコレ。変な効果が無ければ、また食べたいですよ。」


旅している時に出すのは良いけど、この味は地球というか日本で食った気がする。

・・・あ、この味ってアレだ!USAの食品メーカーでスープ缶で有名な企業の濃縮缶スープにそっくりだ。ポップアートの題材でスープ缶の絵?があった気がするけど、あのメーカーの奴。アレは美術作品だけど絵じゃないんだったかな?美術関係は興味が無いから詳しくないんだよ。


紙 「思い出したよ、この味。俺の世界の食品で似た奴がある。」


ゴンちゃん 「そうなんですか?」


紙 「ああ、ホワイトソースを使ったスープだから、そう感じるのかもしれないけどな。」


取り合えず試食は終わったので、後片付けをしてお茶にした。

しかし、この世界で缶スープを飲むとは思わなかったよ。

この世界が地球に隣接した世界の影響かも知れないな。

まあ、野営セットの調理器具も試せたし、結果オーライだ。

他の確認事項をチェックしたら、城へ戻るとするか。

休憩してからだけど。




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