第四十一話 吸い取り紙
5階層に来たが、いきなり岩石鰐に遭遇して撃退する羽目になった。
岩石鰐は石食いで石化耐性が高く、皮が岩石と同じ性質を持っている為、”石化”魔法が効果が無かったので魔剣で処理した。
取り合えず休憩を入れようかと思ったが、先にこの階層の処理をした方が良いだろう。
紙 「完成図書と施工図でこの階層も処理してしまおう。そろそろ休憩しようかと思ったが、先に魔物を処理した方が良いだろう?」
ゴンちゃん 「主様、別に疲れていないので休憩しなくても良いです。装備品も増えてますし、城に戻った時に詮索されるのは面倒ですから急ぎましょう!」
お面 「旦那、賢者の石をさっさと回収して、城に戻ってから休むことにしやしょう。分身がいるとは言え、屑どもが何か言って来るやもしれやせん。」
赤熱 「我らの出番か?」
白熱 「石化が効かぬなら出番だな。」
雷壁 「我が電撃で処理しても良いぞ。」
雷壁はマントで防具だが、電撃を放つ攻撃も可能だ。だけど、金属製品とか電化製品に影響が出るから使いたくない。
電化製品は出していないけど、金属を使っている物は身に着けているからね。壊れたりはしないけど、磁化する影響があるんだよ。雷壁は電撃を撃つ場合、装備者に影響が無いよう電磁バリアの様な障壁を展開するからさ。データシート改変で魔力による障壁を展開するようにはしてるんだけど、電撃に関しては効果を打ち消す為に元々の障壁を張るんだ。俺にとって攻撃や有害では無い防御に関する事象は、地球の物でも多少影響があるから対策する必要がある。(ダメージになるわけでは無いから影響があるんだよ。俺はモノを複製できるし、データシート改変で治すことも可能だから、一時的に物品が物理現象の影響を受ける場合があるんだ。まあ、俺の存在力の関係で雷壁の電磁バリア的障壁は、超高電圧で展開して金属を極々弱く磁化するんだよ。この世界の影響を完全に打ち消すことも可能だが、それをやると俺の力が世界に溶け込んだ”クリミナル”に変な影響を与える可能性があるんだ。俺が”クリミナル”を引き継いだ関係でね。まだ色々と安定していないからさ。神域の情報だとクリミナルの力が馴染んできてる影響らしい。次元管理局の管理上仕事が増えるから、色々と制限が発生中なんだ。例えるなら会社で役付きになって決裁権を持ったが、その分責任や柵が増えた感じだろうか?ちょっと違うかな。それに電撃を使うなら、俺が魔法を使えば攻撃対象以外に影響は無いので、雷壁にやらせる必要も無いし。)
まあ、今回は”特殊能力:紙”の能力確認をしようと思う。
紙変換してから破棄すれば問題無いけど、他の機能チェックをね。
紙 「今回は俺の特殊能力を使う。どうせ、完成図書と施工図を使うんだし。確かに城の連中や各国の連中対応もあるな。俺が何をしていようがあいつらには関係無い筈だが、余計な詮索をされるのも問題だ。まあ、詮索した時点で”石化”してやればいいか。魔族も気になるしな。探索を急ごう。」
他の階層同様に処理をして、今回は”石化”魔法では無く特殊能力の機能を使う。
さっさと処理してしまおう。
紙 「”吸い取り紙”を超強力吸着モードで実行。魔物を塵にする。」
”特殊能力:紙”の”吸い取り紙”を使い、通路にいた魔物は水分などを吸いつくされ塵になって消えた。
吸い取り紙と言うのは、インク等を吸い取らせて乾燥を早めるために用いられる紙のことだが、俺の特殊能力では水分や油分などを根こそぎ吸い取ってしまう。
生物であれば干物どころか塵になる。金属生命体などでも体液として油分などがあるので、乾燥して死ぬ。無生物型の魔物には効果が無い場合もあるが、その場合は他の方法で処理すれば問題は無い。今回はアンデットモンスターもいたが、魔力を吸い取る性質も”吸い取り紙”に与えていたので、塵になったぞ。今回はいなかったが、俺の特殊能力は実体が無いゴーストなどの魔物にも対応可能だ。”吸い取り紙”の設定を調整すれば色々と出来る。エナジードレイン能力も付与可能だ。アレは生気(生命力)を”吸い取る”力だからね。
通路の処理が終わったので、他の階層同様にドロップアイテムを回収した。この階層には宝箱は無かった。
通路にいた魔物は以下の通り。
岩石鰐:ドロップアイテムは、皮、魔石。普通の鰐は肉も食えるのだが、この魔物は石食いで性質変化を起こしているため食用に向かない。スカベンジャーの蟲やスライムなどに食われるだけだ。通常は水場にいる魔物。噛む力が強いので危険だ。石以外は魚を食っている場合が多い。同じ水場にいる河馬の魔物に踏み潰されて死ぬことがある。結構素早い。
鰐人:ドロップアイテムは、銛、肉、魔石。二足歩行の鰐だ。生体武装で銛を持っている。知能は人の5歳児程度だが、道具をある程度使う。ゾンビ化、グール化、スケルトン化した個体がいた。大きさは人より少し大きく、2メートル程度だ。魔物であって、獣人では無い。
タイニー・ワーム:ドロップアイテムは、肉、魔石。見た目は30センチ程のミミズだが、ヤツメウナギの様な口をしていてギザギザの歯がびっしりと生えている。亜竜下位種の一種だ。ミミズに近い生態をしているが、蛇の様に生物を丸呑みしたり(口をとんでもなく巨大に広げる事が可能だ。)、集団で生物に噛みつき、吸血を行う。それと鋭いギザギザの歯で肉を削ぐ様に食い毟る。深い森や林の奥に普通はいる。それにミミズと違って骨がある。小さいが危険な魔物だ。肉をドロップしたが、蛇を解体した時の剥き身っぽいな。骨も軟骨に近い性質だ。
スモール・ワーム:ドロップアイテムは、皮、肉、魔石。見た目は1メートル程のミミズ。蛇っぽい感じもする。性質はタイニー・ワームと同じだ。これも亜竜下位種の一種。タイニー・ワームが進化した魔物でもある。繁殖期に生存競争で生き残り(タイニー・ワームは共食いの様な事をするようだ。魔物はストレスで強化される場合もあるみたい。)、別種になった種。
紙 「うーん、鰐の階層なのか竜の階層なのかハッキリして欲しい。」
お面 「気にしても仕方ありやせんぜ。」
ゴンちゃん 「階層ボス部屋の魔物の情報だとアレが階層ボスですからねぇ。」
紙 「あれってキメラの一種じゃないのか?」
お面 「この世界では合成獣も天然物がいやすからねぇ。」
ゴンちゃん 「機人や錬金術師が造った生物では無く、階層ボスの魔物は天然物ですよ。暗黒大陸に普通にいますから。」
天然物か。まあ、気にしても仕方が無い。
装備ども 「主よ、さっさと処理しよう。」
そうだな。階層ボス部屋へ入り魔物の処理を行う。
面倒なので通路にいた魔物と同じ処理を行う。
階層ボス部屋の魔物は以下の通り。
リザードマン:ドロップアイテムは、剣、魔石。鰐っぽい?と言うか蜥蜴だな。人の1.5倍程度の大きさの二足歩行の蜥蜴で生体武装に剣を装備している魔物だ。舌をチロチロして挑発してくる。力が強く、素早い。魔法は使えないが、知能が人間並みにあるので厄介だ。ゾンビ化、グール化、スケルトン化した個体がいた。ある程度の知能がある生物はアンデットモンスター化しやすいようだ。生体装備の剣は、湾刀でシャムシールっぽい感じ。
ドラゴニュート:ドロップアイテムは、槍、魔石。人の2倍程度の大きさの二足歩行の竜人(人型の竜種)の魔物。生体装備に十文字槍を装備している。下位の竜種の一種だ。知能も高く、人語も話せる。魔法も使えるが、初級クラスのモノだ。竜種だがブレスは吐けない。物理攻撃がメインで短時間なら飛行可能。この魔物もゾンビ化、グール化、スケルトン化した個体がいた。
竜亀:ドロップアイテムは、肉、甲羅、魔石、宝箱。中国の瑞獣”龍亀”に似ているが、東洋的な龍と亀の合成獣では無く、西洋的な竜と亀の合成獣だ。竜亀は竜の頭を持つ亀の魔物で防御力と知能が高いが、亀の癖に竜種の一種になっている。”キャストオフ!”と言って、甲羅を脱いでぶつけてくる攻撃をする。亀と違って甲羅が脱げるとか、訳が分からん。この辺が竜種の理由かもね。甲羅を脱ぐと素早さが増すが防御力が低下する。合成獣と言うよりも甲羅を付けたアースドラゴンみたいな感じだな。但し、甲羅が無くなっても暫くすると体の鱗が甲羅に変化するのがアースドラゴンと違うところだ。今回いたのは下位種だが、中位種と上位種もいる。ブレスも吐く。魔法も使えるので危険。階層ボスその1。
アメミット:ドロップアイテムは、牙、魔石、宝箱。地球の古代エジプトの幻獣の魔物。頭は鰐、鬣と上半身が獅子、下半身は河馬の合成獣。獲物の心臓と魔石を好んで貪り食う。アンデットモンスターを捕食する性質も持つ。アンデットモンスターは呪いの魔力で活動するので、その魔力を吸い取る能力を持つ。本能的で知能は高くない魔物だ。階層ボスその2。
竜亀の宝箱に入っていたのは意思を持つ装備で、変な形状のヘルメット型潜水服のヘルメットだ。地球の物とは違って空気を送るホースは無い。水属性と風属性の魔晶石が付いている。魔晶石は水属性がブルートパーズ、風属性が黄色いトパーズが元の鉱物だな。ヘルメットが変な形と言ったが、竜亀の形をしている。…何だろう。戦国時代の傾奇者の兜を思わせるのは、何故だ?ヘルメットだけだが、装備者は障壁により守られて、水中でも濡れず呼吸も可能で自由に作業が出来る。深海の超高水圧にも耐えることが可能だな。超高水圧下では魔力消費が極端に激しくなるがね。意思を持つ装備は”銘”を持つようで、このヘルメットは”遊弋”と言う。…潜水服の癖に。
あ、読者さん。この世界はファンタジー的世界だが、進んだ科学技術を持った消滅した世界の残滓を取り込んでいるので、潜水服の様なモノも発見されることがある。水中活動用の魔法や魔道具も消滅した世界に存在していたし。このヘルメットもその同類だ。科学技術の産物では無く、魔法世界の魔道具になる。
紙 「なあ、ヘルメットよ。”遊泳”じゃ無くて”遊弋”なのは何故だ?お前潜水服のヘルメットだろう?」
遊弋 「水上活動時には、我は船になれるからな!我は水中活動専用装備では無いのだよ、主。」
紙 「装備もしていないのに、俺を主にして良いのかよ?」
遊弋 「主は、我の同類である意思を持つ装備の所有者では無いか。魔力を測らずとも我を所有する実力を持つのは分かる。魔力発散量も抑えているだろう?」
紙 「そうか。だがなぁ、お前の出番は無いぞ。水辺で作業する予定は無いから。確かに魔力に関しては、お前の想像以上に持っているけどな。」
遊弋 「むっ、水辺に行く予定は無いのか?ならば竜亀の姿になれるから、戦闘を手伝おうでは無いか!我は”放水”や”凍結”の魔法が得意だぞ。」
紙 「うーん、有難いけど、手伝いは基本的に要らないんだよ。遊弋は竜亀の姿になれるって言ったが、竜亀ってデカいだろう?さっき見たから知ってるぞ。」
遊弋 「手伝いが不要なことはあるまい?それだけの装備やドラゴンを従えているのだ、戦力は多い方が良かろう?そこの従者は人化しているがドラゴンだ。我は竜亀の素材が使われているから分かる。竜亀の姿になれるが、大きさは自由になるので心配無用だ。魔物の竜亀と違って飛べるしな。」
紙 「飛べるって…。ああ、風属性の魔晶石持ってるから、風属性の力も使えるのか。」
風属性の力で飛行することも可能だ。竜亀も風属性の魔法を使えるが、水中での呼吸用だな。飛行は出来ない。水辺の環境に適合した種の為だ。
別に戦力は足りているけど…。足りているというよりは、俺一人で過剰だ。
遊弋 「その通りだ。魔力は主から供給されるしな。」
俺が所有物として認識すると、意思を持つ装備と魔力の回路の様なモノが出来るんだよ。自動でね。魔晶石の保有魔力が不足すると所有者から供給されるんだ。魔力パスとか言ったか。魔晶石の自然回復で通常は十分なので、必要以上に魔力を供給する必要は無いが。
お面 「旦那、取り合えず雷壁同様の扱いで良いのでは?必要に応じて使えば良いんでやすよ。」
ゴンちゃん 「邪魔ならマジックバッグに仕舞うのはどうでしょう?」
遊弋 「ま、ま、ま、待て!マジックバッグに仕舞われたら、主は我の事を忘れるであろう?主はそういうタイプだ!」
紙 「…勘が良いじゃねーか。その通りだ。多分忘れる。まあ、必要になれば思い出すだろうけど。」
装備ども 「…何だと。主よ、我らをマジックバッグに仕舞うんじゃ無いぞ!断固拒否だ。」
煩いな。邪魔なら仕舞うぞ。
紙 「俺の邪魔にならなければ出しておいても良いけど、邪魔なら仕舞うぞ。仕事するのに整理整頓は基本だからな!」
そう言うと装備どもは黙った。まあ、魔剣と雷壁は装備していても良いけどね。特に赤熱と白熱は出しておく方が良いだろう。だが遊弋はなぁ。
お面 「旦那、もう一つの宝箱も開けやしょうや。」
そうだな。神域の情報とデータシートの情報から、もう一つの方が問題ありそうだし。
宝箱の中から出てきたのは武器ではあるのだが、魔法生物の一種だ。
紙 「情報通りではあるが、ダンジョンも厄介なものを生成してくれたぜ。全く。」
お面 「その通りでやす。危険物でしかないでやすよ。消滅した世界で破壊力を追求した結果でやすし。」
ゴンちゃん 「これは初めて見ますね。武器のようですが、魔法生物でしょうか?」
装備ども 「我らとは種類の違う意思を持つ装備のようだが、アンデットモンスターに近い気配を感じるぞ。魔法生物のようだな。」
出てきたのは脊椎と言うか尻尾の骨格の様なモノで、蛇腹剣と言うか蛇腹鞭と形容するのが相応しいモノだ。
装備どもが言っていたように、アンデットモンスター同様エナジードレイン能力を持ち、吸い取った生命力を魔力に変換して破壊力とする。魔晶石では無いが、空間の魔素や周囲の生命体から生命力(生気)を吸収する。生気の代わりに魔力を与えても大丈夫だ。
紙 「必要に応じて、各骨に魔力の棘を生やすことが出来るのか。ワイヤーでは無く、魔力の糸で各骨が繋がっているので、攻撃範囲も大きい。しかも各骨に”目”が付いてやがる。…骨と目は数えたら108個か。グリップには無いのか?…閉じてるだけで一つある。」
お面 「骨を赤いスライム状の組織で覆っているので、気色悪いでやす。」
ゴンちゃん 「あ、組織を変形して手足が生えましたよ。口も出来ました。」
蛇腹鞭 「オイオイ!言いたい放題だなぁ。生気を吸い取るぞ、コラァ!あ、いやらしい方の性器じゃ無いぞ。そこんとこヨロシク!!」
大量にある目をギョロつかせて、気色の悪い蛇腹鞭が言い放った。
アメミットが死者を裁くエジプト神話の幻獣とは言え、こんな魔法生物を生成するとはなぁ。
蛇腹鞭 「あんたが主だな?早く装備してくれ!我は生気に飢えておる。」
気が進まないが、鞭のグリップを握る。…うう、滑って気色悪い。(あ、今回のお話では、”すべる”では無く、”滑る”は”ぬめる”と読んでいただきたい。そう言う仕様でお願いします!)グリップエンドに古代エジプトのシンボル”ウジャトの目”の様な左目っぽい目がある。全部で目が百十個か。何かと掛けているんだろうか?良く分からんな。110番で冷静になれってか?でもあれって、昔のダイヤル式電話機の話なんだよねぇ。最近はプッシュホンすら知らない世代になってるそうだし。まあ気にしないでおこう。よく見るとグリップの目は”ラーの目”の様な右目っぽい目だな。
紙 「気色悪いなぁ。だが、鞭よ。お前を放置するのは星にとって良くない。放置すると際限なく周囲の生気を吸い取るんだったか?お前は半径10Km以内のモノを打ち据えて破壊できるんだったな。消滅廃棄処理も俺は可能だが…。どうするよ?」
そう言って大量の魔力を鞭に供給する。際限なく生気を吸い取るとはいえ、処理能力はそれほど高くは無い。あくまでも魔法生物だ。”在るモノ”である俺とでは存在自体が比べる様なモノでは無い。
蛇腹鞭 「ま、ま、ま、待ってくれ!魔力供給を止めてくれ!これほどの魔力を一度に処理は出来ない!こ、壊れるー!!主よ、止めてくださーい!!」
鞭に付いている大量の目は涙目である。涙が滑った組織から伝わってきて、気色悪い事この上なし!
紙 「鞭よ、攻撃に使用しなければ周囲の魔素で存在は保つことが出来るな?文句があるならマジックバッグに仕舞うが…。ああ、俺のマジックバッグは時間停止機能付きだ。」
蛇腹鞭 「無い!文句など無い!主の為に役立って見せるから、無茶はしないでくれ!お願いだ。無暗に周囲から生気は吸い取らないと誓う!」
紙 「ならばいいだろう。だが、誓いを破った場合は廃棄処分だ。俺の力は理解しただろう?」
蛇腹鞭 「勿論だ!ああ、主よ。我のことは”貪婪”と呼んでくれ。我には邪鞭”貪婪”と言う銘がある。」
貪婪ねぇ。アメミットが「貪り食うもの」を意味する名前だったか。アメミットの宝箱から出たから、その影響か。
しかし、邪鞭って…。聖邪とか主観でしか無いんだが。
紙 「貪婪よ、邪鞭って何だよ?アンデットモンスターっぽい能力のせいか?」
貪婪 「恐らくそうだ。我は武器であり、魔法生物だ。必要があれば力を使うだけの存在で、聖邪の価値観とは無関係なのだが…。」
お面 「旦那、その鞭は他の装備と違って、生物的形態になりやせん。データシート改変で対応しやすか?」
うーん、どうするかな。確か神域の情報だと10cm程度の棒状にはなれるんだったな。警棒みたいな感じで。ヤヴァイ品で回収対象としか聞かなかったんだけど、お面詳しいな。
…ああ!!忘れてたけど自動データ保存の設定そのままだった。お面が神域の情報を覚えているとは言え、細かくチェックしていないはずなのに詳しい情報が出ると思ったら、そう言うことか。
…ん?待てよ。保存データ見たら、アンデットモンスターのデータもあるじゃねーか!?キタネーな。後で処分しないと不味い。
紙 「貪婪よ、お前って10cm程度の棒状になれるだけだっけ?」
貪婪 「襷掛けで使う紐状にもなれるぞ。…滑ってるが。」
滑ってるのか。そんなのを装備したくねーな。襷掛けと言うよりも西部劇でガンマンが使う弾薬帯とか弾丸ベルトって言う奴みたいな感じだと思うけどな。弾の代わりが”目”になるけどさ。
紙 「…仕方が無い。データシート改変で対応しよう。10cm程度の棒状の時は滑らないようにする。」
データシート改変で対応して、マジックバッグなどを装備しているベルトに、魔剣同様工具差しを使って装備する。目はある程度移動できるみたいだな。大きさも変えられるみたいだ。組織自体がスライム状だからだろう。グリップエンドも形状が変わってハンマーみたいになってる。全体で考えると玄翁の方が近い形だな。
貪婪 「主よ、我がいれば索敵は完璧だ!生物ではあるが休息は不要なのでな。この大量の目に見張りは任せよ。」
ゴンちゃん 「鞭よ、控えよ!お前に頼らずとも我らは困らん。」
赤熱 「魔法生物ごときが何を言うか。」
白熱 「攻撃魔法も使えぬ武器の分際で。」
雷壁 「属性の力も持たずに主の装備となるとは、あきれる。」
遊弋 「全くだ。生物的形態にもなれぬし。」
お前らとは系統の違う装備品だからな。属性の力を持っているこいつらは、持ってる属性の魔法を使えるから、魔法が使えない貪婪を下に見てるんだろう。ゴンちゃんは警戒しているんだろうけど。
貪婪のエナジードレイン能力はヤヴァイんだけどな。生気以外に魔力を吸い取ることも出来るんだから。
貪婪 「ふん、我の破壊力はお前らを上回っておるわ!敵にエナジードレインも使えるのでな、属性の力なぞ不要だ。お前らのような生物的形態は出来なくとも、組織の形状をある程度変化できるので問題は無い。目から破壊力のある怪光線も出せるしな。お前らより高性能だ!」
紙 「お前ら、喧嘩するな!止めないと廃棄処分にするぞ!次の階層へ行く。」
そう言うとゴンちゃんと装備どもは黙った。生物的形態と装備どもは言ったが、貪婪はスライムに近いんじゃねーの?あれも生物ではあるんだけど…。まあいいけど。
しかし、小市民の俺が妙な力を得たせいで、厄介ごとを処理する羽目になるんだからな。気色の悪い武器とか馬鹿装備は要らないんだよ。俺は静かに暮らしたいだけなのに!
この世界の知的生命体を処理するのに役立ちそうな装備が出ないってのも問題だな。
…いや、道具は使い方次第か。”馬鹿と鋏は使いよう”とも言うしな。効果的な使い道を考えるか。
まあ、それは後で考えるとして、次の階層へ行くとしよう。
そう言えば、ドロップアイテムで石化耐性素材が多いけど、”石化”使ってくる奴でもその内出るのかな?
考えても仕方が無いか。仕事を放り投げると神代さんや根神さんに何されるか分からんし、他の神からもっときつい仕事を押し付けられそうだ。
今の優先順位は賢者の石の回収が第一だしな。
請け負ったからには、仕事は責任もってやりますよ。
はぁ~、しかし請負って請けたら負けって上手いこと言うよなぁ。俺の現状的に仕事放棄できないんだから。
中二病で俺TUEEEが楽しめる人なら楽しいのかもしれんが、俺の場合は辛いだけだ。(えっ?俺がチートで羨ましい!?変わってくれるなら、喜んで変わるぞ。召喚時に尻剥き出しだし、脱糞してそのままの状態で呼ばれるけどさ。あ、思い出したけど中国人でどこでも野糞する人が居て、問題になるけどそう言う人なら平気だね。俺は恥の概念を持ってる日本人だから尊厳を喪失したけど。それに癖のある女神様対応もあるし、装備品も変なのばっかりだけど。それに死ねないぞ。死ぬほどの折檻されてもさ。根神さんにストレス解消で俺はやられたからね。次元管理局の所属になるのは決定してるし、仕事も放棄できない。…え?止めとく?そんな遠慮せずに変わってくれ!嫌だって?…まあ、そうだよね。俺も嫌だし。”地球の寿命まで見届けるって、俺は弥勒菩薩か?”って感じだし。まあ、仏様と違って救いは与えないけどね。大体”在るモノ”は”神”でもあるけど、現場作業をやるからブルーカラーの現業系だし、力はあっても勝手な事は出来ないんだから羨ましくは無いか。)
全くやれやれだ。




