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第四十話 薬の材料

4階層にやって来たが、照明が変わった。

俺が召喚された地下室にあった照明と同じようなものが壁に付いている。

…但し、色味が違う。地下室は魔法を使う関係で集中力が必要な為なのか、昼光色で影が出来ない様に設置されていたが、ここは街灯よりも間隔が広い感じで暗い場所が多いのと電球色で薄暗い。


紙 「この階層は、暗闇から不意打ちするタイプの魔物がいる感じだな。」


ゴンちゃん 「夜行性の魔物もいますから。」


お面 「旦那、魔物は獣と違って、同系統の獣が昼行性でも夜行性の場合がありやす。」


紙 「ああ。性質変化している場合があるんだったな。」


お面 「環境適応の一種らしいですがね。」


ゴンちゃん 「我々には関係無いですよね?」


紙 「当然だ。完成図書と施工図を使うからな。」


雷壁 「主よ、探索を開始しないのか?」


赤熱 「雷壁よ、我らが主は探索しない。」


雷壁 「どういう事だ?赤熱よ。」


マント”雷壁”も魔剣の銘を教えているので知っている。


白熱 「見ていれば分かる。我らが主は無茶苦茶なのだ。雷壁よ。」


雷壁 「良く分からんが、我は主を守る装備だ。障壁を何時でも展開可能にしておくぞ。」


装備どもが色々言っているが、他の階層同様処理を行った。

アイテムを回収したが、この階層も宝箱は一つだった。宝箱が一個なのは微妙だな。別に必要なモノは無いけど。

通路にいた魔物は以下の通り。


角野兎(つののうさぎ):ドロップアイテムは皮、肉、魔石。角野兎(つののうさぎ)は名前負けの魔物だ。角はあるのだが、角と言うよりも突起だな。額部分に小さいイボの様なのがある。神域の情報だと魔力察知器官らしい。茶色の毛皮で一種の迷彩になっている。死角から不意打ちで噛みつき攻撃をしてくるので危険だ。兎なのに雑食だ。


影兎(かげうさぎ):ドロップアイテムは皮、肉、針、魔石。こいつは黒い兎だ。影に潜って隠れる能力がある。影から奇襲攻撃してくるので危険だ。夜行性の魔物で雑食。ドロップアイテムの針は、こいつの歯で出来たもので針と言うより釘っぽい。相手の影に差すと10秒ほど動きを止めることが出来る。使い捨てアイテムだ。微妙だな。


この階層は魔物の種類が少なくて2種類だった。その代わり出現数が多かったぞ。

アンデットモンスター化した魔物はいなかった。宝箱の中身は、万能解毒剤だ。


紙 「普通に探索する場合は危険な階層だな。アンデットモンスター化した魔物はいなかったが。」


ゴンちゃん 「奇襲とか不意打ちが得意な魔物ですからね。基本的に捕食される魔物ですから、アンデットモンスター化はしないです。アンデットモンスター化すると臭いでバレますから。強い魔物は倒されることが少ないですし、アンデットモンスター化するのは中途半端な強さの生物ですよ。人族などは負の感情が強いので、アンデット化しやすいですけど。」


そういうことか。獣や魔物は弱肉強食なので、負の感情がそれほど強くない。暗黒大陸はアンデットモンスター化しやすいけど、あまりいないのはスカベンジャーに食われるのと魔物の性質のせいだ。個体差があるので、傾向的なモノだけど。

ダンジョンコアも俺たちが”浄化”魔法を使えるので、出してこないのかもしれない。まあ、出てこないとは断言できないけどね。


雷壁 「…我が主は何なのだ?」


赤熱 「無茶苦茶な存在だ。」


おい!それは無いだろう?


白熱 「主が説明しただろう?神の同類だと。」


雷壁もデータシート改変で対応しているので、俺の正体というか、どういう存在なのかは教えてある。俺達以外に教えることが出来ないのは魔剣と同じだ。


雷壁 「なるほど、理解した。」


本当に理解したのかね?気にしても仕方が無いので、階層ボス部屋へ入った。



◇◆◇◆◇◆



階層ボス部屋へ入ったが、ナニアレ?変な人型がいる。


紙 「…あの人型って獣人じゃないのか?」


ゴンちゃん 「あれも魔物ですよ。知能もそれほど高くありません。」


紙 「まあ、処理してから確認するとしよう。”石化”」


気にしても時間の無駄なので、階層ボス部屋の魔物の処理を行った。

階層ボス部屋の魔物は以下の通り。


兎頭(うさぎあたま):ドロップアイテムは、肉、着火棒、魔石。この魔物は兎頭となっているが、頭と下半身が兎で上半身がマッチョの人間の人型魔物だ。知能は高くないとは言ったが、火を使う程度の知能はある。アンデットモンスター化したのはいなかった。ドロップアイテムの着火棒と言うのは、柄の長い多目的ライターの様なモノで、魔力を流すと先から火を着けることが出来る魔道具だ。ライターと違うのは、本体が棍棒の様な鈍器なので武器使用が可能だ。魔道具だが、この魔物の生体武装の一種。尚、着火用の魔道具は色々ある。


犰狳(きゅうよ):ドロップアイテムは、嘴、肉、魔石。この魔物は兎に似ているが、鳥の嘴とハイタカ(猛禽類の一種)の目と蛇の尻尾を持っている。死んだふりをして油断させ、近づいたところを攻撃する狡猾さを持つ。(いなご)を呼ぶ能力を持つ。中国の”山海経”に出てくる怪物の同類みたいだ。


飛鼠(ひそ):ドロップアイテムは、皮、肉、魔石。この魔物は一般的な兎の見た目だが、鼠の頭を持ち、背に生えている毛を使って飛行する。実際には毛で飛行しているわけでは無く、モモンガの様な前脚から後脚にかけて張られた飛膜を持っていて、それで滑空する。背に生えている毛に魔力を流すことで飛膜に浮揚力を発生することが出来る魔物だ。この魔物も中国の”山海経”に出てくる怪物の同類みたいだな。


玉兎(ぎょくと):ドロップアイテムは、皮、肉、魔石、宝箱。この魔物が階層ボスだ。地球の伝説にある月に住む兎の魔物。この世界でも月には住んでいないがね。2足歩行の兎で、竪杵(たてぎね)を生体武装で持っている。知能が高く人語も話すことが可能。薬品を作ったりもする兎だ。材料さえあれば、エリクサーを作成することも出来る知能の高さを持つ。…だが、この魔物の薬品は効果はあるが原料に問題がある。薬草を使う場合、この魔物は一度自分で食ったものを使用する。(食用可能な薬草のみだが。)分かりやすく言うと薬の材料に、この魔物の糞を使用しているのだ!杵と臼を使って薬を作るので、この魔物は筋肉質のマッチョだ。人と同じぐらいの大きさの兎だし、竪杵(たてぎね)を振り回す攻撃をするので危険。


宝箱の中身はエリクサーだった。劣化版じゃ無くて、寿命が延びるやつ。俺やゴンちゃんには必要無い物だけどね。

階層ボス部屋の魔物もアンデットモンスターはいなかった。


紙 「うーん、エリクサーかぁ。要らないんだよな。」


ゴンちゃん 「私も要らないです。私が飲んでも寿命は延びませんし、怪我するほどの攻撃を受けることも稀ですからねぇ。回復魔法も使えるので必要無いですから。」


そうなんだよねぇ。あ、あれ聞いておくかな。


紙 「そう言えばさ、玉兎は知能が高くて薬も作れるだろう?酒とかは造っていなかったの?」


質問したら、ゴンちゃんが嫌そうな顔をした。


ゴンちゃん 「造っていませんよ。玉兎は草食で酒は飲まないので。それに玉兎が酒を造る場合、糞を使用するでしょうから、飲みたくないです。糞を使用しなくても薬を作るのに使用した、杵と臼を使うはずですし。」


確かにな。薬は作っていく工程で飲んでも問題は無くなるみたいだが、出来れば使いたくはない。

もし玉兎が酒を造っていたとしても、臼と杵を消毒したりしないだろう。食うのが怪しい料理を食わそうとして、酒飲みが根拠なく言うあの台詞を思い出した。


『大丈夫、大丈夫!酒で消毒するから、問題無いって!』


俺の主観だが、この台詞は不愉快だ。アルコールで死なない菌とかもあるからね。この台詞を言うやつに限って自分では食わないんだよ。俺は無理矢理食わされたことがあって、(あた)ったことがある。この台詞を言った奴に軽く殺意を覚えたね。今ならパワハラとかアルハラって言うのか?酒を飲むなとは言わないが、マナーとか節度は必要だろう。

話がそれたな。戻そう。

玉兎は普通の兎と同じで、新鮮な糞であれば食っても問題は無いのだが、薬を作るのに使う杵と臼は怪しいからな。玉兎自体は自分の糞に含まれる菌などに耐性を持っているしね。


話は変わるが、ここまでの階層ボスが十二支と同じっぽい。神域で情報をあまり確認しなかったので、それ程階層が無いダンジョン(その代わり階層が広い。)なのは知っているんだけど、何階層あるのかは覚えていないんだよ。十二支と同じなら、次の階層が辰でドラゴンか?次でゴンちゃんコピーが出て終わりなら楽だけど…。

まあ、どっちでも良いか。賢者の石を回収するのが目的だし。

ヤヴァイアイテムは他にもあった気がするから、次の階層で全部出るかな?

出なくても良いけどね。回収するまでは対応するからさ。

難しく考えず、次の階層へ行くとしよう。



◇◆◇◆◇◆



5階層へ上ってきたが、何か湿度が高いな。

ん?アレは…。


紙 「うーむ。予想が外れたのかな?」


お面 「日本の十二支では無さそうでやすね、旦那。」


ゴンちゃん 「主様、十二支とはいったい?」


この世界には無いんだったな、十二支。


雷壁 「主よ、話は後にしろ。ゆっくりに見えるが、結構な速さで近づいているぞ。」


心配せずとも大丈夫だけどな。

先に対応するか。


紙 「”石化”」


おや?効果が無い。魔剣でやるか。

双剣で両断する。


赤熱 「岩石鰐か。」


白熱 「これは石食いだからな。石化は効果が無い。」


岩石鰐か。石を食う鰐の魔物で石化耐性が高いんだっけ。石の他に肉も食うはずだ。

倒した岩石鰐は皮をドロップした。この皮、石みたいに硬くてゴツゴツしている。石化耐性が高い皮だな。岩虎の毛皮も石化耐性があるから、要らないんだけど。


紙 「いきなり出やがって、手間が増えたじゃねーか。」


ゴンちゃん 「こいつら水場にいるんですが、餌を差別化することで生き残ってるんですよ。石を食べる生物は少ないですから。」


お面 「肉も弱った生物を捕食するんでやすよ。生物の死骸も食べるスカベンジャーの仲間でやす。」


紙 「なるほどね。あ、ゴンちゃんが十二支が何か聞いていたな。俺の世界の暦で使う物だ。12種類の生物を順番に一年交代で当てはめるんだよ。俺の国だと子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥ってなっている。」


お面 「ここまでの階層ボスが鼠、牛、虎、兎でやすからね。次の辰はドラゴンなど竜を当てはめるので、亜竜か下位種の竜でも出ると予想したんでやすよ。」


ゴンちゃん 「なるほど。ですが、出たのは鰐でしたね。」


紙 「まあ、鰐を当てはめる地域もあるけどな。」


アラビアの十二獣と呼ばれるものが相当する。


紙 「この階層も完成図書と施工図を使用するから、情報は分かるから気にしても仕方が無い。」


そう言って、他の階層同様に処理を行うことにする。

あ、そろそろ休憩入れた方が良いかな?

相談してから対応するとしよう。



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