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第三十六話 ゴンちゃんの財宝

城に戻ってきたが、早急に相談しないといかんな。

相談をするので結界を張りなおす。神域へ転移する前に作った分身は消しておく。


紙 「ゴンちゃんとヴァンちゃん、悪いが今日は徹夜になりそうだ。この世界担当の神様と打ち合わせしてきたんだが、問題発生だ。人族と亜人はそれ程問題は無いんだが、暗黒大陸で問題が発生した。」


赤熱 「ああ、アレは危険だ。」


魔剣どもは人型になっている。お面も実体化している。(実体化と言っても俺が許可した者限定で見えるのと、会話が出来るだけで実態があるわけでは無い。幻影みたいなものだ。許可した者以外はお面の声は聞こえないし。)ゴンちゃんの巣には結界(竜の巣は付与魔法か儀式魔法で結界を張っていることが多い。結界に精霊が触れると結界を破壊してしまう為、精霊は近づかない。結界を使えない竜もいるが、出入口を見つからないようにカムフラージュしているな。)があるので、精霊も情報を得ていなかったから、魔剣も神域で初めてアレの存在を知ったようだ。

ダンジョンのドロップアイテムに関しては、ドロップした時点で精霊は認識するからな。ダンジョンはダンジョンコアと呼ばれるモノが個別管理しているので、星も素材や因子を与えるが、何を生成するかはコントロールできない。今回はこの世界の魔物で最強生物であるドラゴン最上位種の因子を取り込んだダンジョンに対し、星のコアが取り込んでいた”賢者の石”を含むコアの一部を与えていたのが原因だ。賢者の石が勇者召喚魔法陣の影響で具現化され、特殊な力を持つ異物として星が認識したようで、惑星のコアから隔離したんだよ。

最強生物のドラゴンの因子を取り込んだダンジョンは、ダンジョンボスにドラゴンを用意するだろうから、それにふさわしいドロップアイテムとして、”賢者の石”を含むコアの一部を与えていたんだ。惑星コアに取り込んでいるより、ダンジョンにある方が安全と星が判断したのもある。

賢者の石は強力なエネルギーの塊でもあり、最高の魔法発動媒体かつ最強の魔力増幅作用を持つアイテムでもあるからね。

ダンジョンコアと惑星コアと出てくるので分かり難くて申し訳ない。

そんなわけで、賢者の石の錫杖はかなり特殊な形で生成されている。ダンジョンも生成したは良いが、管理できないのでゴンちゃんの巣に置いてあるんだよ。ダンジョンボスのドロップアイテムとして、ボスが討伐された時に転移するようにしてね。あ、ダンジョンは限定的な転移魔法が使用できる。ダンジョン内とダンジョンにごく近い場所のみ転移出来る形でね。

錫杖として生成された関係で現状安定はしているが、ダンジョンよりも力が大きい為、星の力で押さえないと危険とダンジョンコアが判断したんだよ。

ダンジョン管理のアイテムはダンジョンの亜空間から出せば、星も干渉がある程度は出来る。知的生命体が入手した場合は、管理権限が知的生命体に移るそうだ。

ダンジョン管理アイテムに関する摩訶不思議の力の仕様みたいで、説明もそう言うモノだとしか言いようが無いそう。

まあ、(ことわり)がそのようになっているとしか説明できないのは、地球のある世界でも同じだろう。科学で説明できない魂が実在しているんだからな、この作品では。


痛い!

作者さん止めてください。作品とかもう言いませんから。


白熱 「我らなど足元にも及ばない危険なモノだ。武器であり、魔法の発動媒体でもある。ある意味呪いのアイテムだ。」


お面 「呪いのアイテムと言うのは、言い得て妙でやす。”賢者の石”は禁忌の生成物でやすからね。」


紙 「その通りだな。」


ゴンちゃん 「主様、”賢者の石”と言うのは、一体何でしょうか?」


紙 「卑金属を金に変換する触媒だ。アレは、魔法と錬金術で星を丸ごと圧縮して生成するんだよ。惑星自体の生命と物質を全て圧縮したモノだな。魂すら圧縮されてる。禁忌の生成物だ。そんなモノが武器の素材として使われているんだ、危険性はわかるだろう?この世界の魔法薬エリクサーのような不老長寿の薬の触媒にもなる。”賢者の石”自体には精神や意志は無いが、星一つ分の魂などが圧縮されている事から分かるように、武器として使えば星を破壊することも出来る。…圧縮された魂を魔力として暴走させるだけでな。」


賢者の石は、不老不死の薬の触媒にはならないが、この世界でも不老長寿の薬の触媒にはなる。エリクサーが存在するせいだ。薬の材料も同じだし、エリクサーの効果を高める触媒というのが正確かな?

魂を魔力に変換することは可能だ。極めてコントロールが難しいものだがね。

自身の魂を消耗する魔法もこの世界には存在する。禁忌の魔導書として発見されていて、自身の命を使って仲間を回復させる魔法として存在している。試せるような魔法じゃ無いから、使用例は無い。使用するとこの世界の生命因子が減る。

神域にいた時の説明で神代さんが言っていたが(根神さんは引継ぎ調整もしていたので、神代さんにも説明受けているんだ。モニター画面みたいなやつでさ。)、世界が活性化すると生命因子や魂は増加するけど(細胞分裂の様に増えるんだって。細胞分裂と同じようにコピーミスで、問題がある生命因子や魂も発生するそうだ。問題のある魂等の管理も次元管理局の仕事だそう。その手の魂等は、世界の消滅を早めたりするので処理するそうだ。)、存在のバージョンが上がらないと意味は無いそうだ。寿命で世界が消滅する時に、バージョンが上がってないと一緒に消滅するからだって。


ヴァンちゃん 「なっ!?そんなモノが何故この星に?この世界のエリクサーは万病を治す万能薬ですが、生成度によって効能が違います。不老長寿の薬で寿命が延びるのは、長命種の肝や血など特殊な素材が大量に必要になりますよ。長命種の我々には寿命を延ばす効果がありませんし、寿命が延びると言っても素材となった長命種の千分の一程度の期間です。良くて百分の一ですね。この世界の長命種は一万年や十万年平気で生きますから。それでも生存競争は激しいので、寿命を全うできる生物は少ないですが…。」


紙 「皆は俺が異世界人なのは知っているから、この世界以外に他の世界が存在するのは知っているな?不老長寿の薬の触媒で使用する為には、賢者の石に含まれる魂を薬に溶け込ませるんだよ。星の魂まで圧縮されているからな、薬に溶け込んだ魂の分、寿命が延びる。使用した者は、肉体の新陳代謝の細胞分裂が非常に遅くなる。発がんや老化もしなくなるが、不死になるわけでは無い。寿命が来るといきなり死ぬし、怪我や病気でも死ぬな。病気への抵抗力が増えるわけでもないし。それ程良い物では無い。」


ゴンちゃん 「ええ、異世界があるのは知ってます。賢者の石は、主様の世界で生成されたモノでしょうか?」


紙 「違う。俺の世界には魔法や錬金術は無い。魔素自体が存在しないから。機械仕掛けのみの世界だ。科学と呼ばれる世界の(ことわり)を研究・利用する学問があって、それを使用する。(ことわり)を研究・利用するという点で、魔法や錬金術に近いかも知れないが、世界自体の(ことわり)が違うからな。”賢者の石”を生成したのは、この世界同様魔法が存在する世界だ。寿命で消滅した世界の残滓で、この世界が生まれる時に取り込まれてしまったんだ。本来は世界が寿命で消滅する時に一緒に消滅するはずのモノだ。」


ヴァンちゃん 「そ、そのようなことが…。」


紙 「ゴンちゃんの巣がある山は内陸部だから、魔人族の生息域から離れているので問題は無いと思うが、山全体がダンジョン化していてな、ダンジョンボスのドロップアイテムとして、”賢者の石”が使われている錫杖があるんだよ。だが、ダンジョンコアがダンジョンに置いておくのは危険と判断した様でな、ゴンちゃんの巣に置いてあるんだよ。星が周りに影響が無いように、地脈の力で結界を張っているけど。ゴンちゃんが魔族になったのは、この為だ。ゴンちゃんの巣から無理矢理持ち出すことも可能だが、地脈の力を強引に引き剥がすので山が噴火する可能性がある。かなりの規模で噴火するだろうから、暗黒大陸の広範囲が影響を受けるだろう。」


勇者召喚魔法陣と違って、星とダンジョンが直接管理しているからな。魔法陣は地脈の力を魔力に変えて貯めていただけだからね。貯めていた魔力は俺を召喚して空だったし、ネンドバーン周辺を流れる地脈の力を魔法陣の動力源として俺が奪ったからね。今は魔力自体を自分で生み出せるのが分かったので問題は無いけど、体に負担があったのは慣れない力を使ったせいだと後で判明したよ。摩訶不思議の力を自由自在に出来るのは、クリミナルを引き継いだ関係もあるらしい。

ゴンちゃんの巣がある場所は、阿蘇山の様なカルデラ地形だ。森や湖、草原等があって豊かな環境だ。イメージとしてはアフリカのンゴロンゴロ保全地域が近いかな?一部が谷になっていて、外部と繋がっているので生物が出入りする。外部生物の出入りは少ない為、カルデラ内部環境の生物は独自進化しているみたいだ。外輪山で一番高い山にゴンちゃんの巣がある。火山もカルデラ内にある。火口から煙は出ているが、噴火の周期からは外れている火山だ。前回の噴火でカルデラ地形になって、地下のマグマが空に近いから。火山特有の毒ガスなどもあるが、その環境に適応した生物もいるので気にする必要は無い。俺や従魔どもには無害だし。あ、俺の従魔のゴンちゃんやヴァンちゃん達ワイバーンは、全環境適応型なので火山とかの環境でも問題無く行動可能だ。ワイバーンは水中対応は出来ないけど、ゴンちゃんは水竜モードもあるので大丈夫だ。俺は水中活動時、自分の周囲の水を押しのけて存在する形になるからね。空気に包まれるような感じかな?まあ、水中に入る必要は無いと思うけど。


ゴンちゃん 「な、なんですとー!?」


紙 「ワイバーンの巣の方のダンジョンも強力なアイテムが生成されたみたいなんだ。あそこも魔人族の生息域からは離れているから大丈夫とは思うけど、アイテムを回収する必要がある。下手に探索されて問題になるのは避けたい。俺たちの行動に支障が出るかもしれないからな。特に”賢者の石”の方は緊急で回収する必要があるだろう。影響を抑える為、ダンジョン探索だ。錫杖は俺の魔剣同様意志を持っているので、分身では無く、俺自身が行く必要がある。」


お面 「旦那、ダンジョン探索でやすが、従魔はどうしやすか?ゴンちゃんは連れて行くにしても、こっちの対応はどうしやす?ヴァンちゃんと分身でやすか。」


紙 「そうだなぁ。ワイバーンの巣の方は、ヴァンちゃんの群れの奴で問題無いし、ヴァンちゃんどうする?」


ヴァンちゃん 「ゴンちゃん、我々が巣に近づかない方が良いよね?お互い最上位種で生息域を分けているからさ。」


ゴンちゃん 「うーん、そうね。私も群れからはぐれたヴァンちゃんと同種のワイバーンを捕食することはあるけど、縄張り内だからねぇ。それぞれの巣には近づかない方が良いでしょう。」


紙 「そうだな。その方が良いだろう。」


ヴァンちゃん 「主様、群れの者を何匹か呼びましょうか?ゴンちゃんに化けることも可能ですが…。」


紙 「いや、大丈夫だろう。俺の分身とヴァンちゃんがいれば問題無い。ゴンちゃんがいなくても、俺に確認をわざわざしないだろうし。そんな事をして、藪蛇になったら問題だろ?」


赤熱 「武器はどうするのだ?召喚勇者関連の史実を発表させた時と同じように、我らを複製するのか?」


紙 「いや、城の武器庫か王都の武器屋にあった比較的マシなのを複製するよ。それなら、何かあっても問題にならないから。まあ、土属性魔法で作っても良いし、魔剣を持っていない方が刺客とか仕掛けてきそうだろう?マジックバッグは前回同様、本体の俺のと中が繋がる特殊な複製をして装備する。お前らを装備していなくてもマジックバッグに仕舞っていると思うだろうし、わざわざ俺の装備を確認しようとはしないだろう。怒りを買うのは避けるだろうし。」


白熱 「まあ、そうだな。人や亜人相手なら素手でも十分だし、魔法で対応する方が楽だろう。”石化”の魔法を練習すればいいと思うぞ。主の場合は、ドラゴンでも素手で十分だが…。」


ヴァンちゃん 「私もいますから、武器が必要なら変化(へんげ)しますよ。各種毒の効果を与える生体武装になれますから。形状は自由ですし。」


紙 「まあ、素手でも大丈夫だが、一応武装した方が良いだろう。権力者どもも報告は受けているだろうが、手刀でドラゴンを切り刻めるというのは信じない連中が多いだろうから、ナイフでも装備しよう。俺の世界のナイフでも良いし。他の者には使用できないようにも出来るしね。魔剣以外の武装もあることを見せることに意味もある。刺客とかは生け捕りの方向で考えている。特殊能力で隷属すれば、謀った連中を虐殺できる。暗殺者はいきなり自害する場合もあるから、気を付ける必要はあるけどな。まあ、暗殺者を殺しても良いんだけど。難しく考えずに、この世界が俺を殺そうとしたから絶滅させるって言って対応すれば良いしな。」


ゴンちゃん 「…主様、お手数をお掛けして申し訳ないです。」


紙 「ん?ああ、気にしなくていいぞ。この世界担当の神様に回収頼まれたからダンジョン探索するだけだから。この星の生物のことを考えて行動するのは、神様の都合でもあるし。…まあ、面倒くさかったら噴火させても良いとは言ってたけど、俺に協力してくれるゴンちゃんたちが困るのも気分が良くないからね。」


暗黒大陸の環境影響を考えた行動ではあるからな。ゴンちゃんもその辺を理解しているからだろう。ヴァンちゃんもゴンちゃん同様「申し訳ありません。」と言ってきたが、恩に感じてくれるならこっちも好都合だ。

俺の仕事の手伝いをちゃんとしてくれればいいよ。野生生物のこいつらは、生存競争する上で有利だと知っているんだよ。敵に回してはいけない相手からの恩義には応えた方が良いってね。

ダンジョンとか地球には無いからな。観光と思って探索するとしよう。気が進まないけどさ。神域の情報だと、この世界のダンジョンは宝などで知的生命体を呼び寄せ、生物強化の一端を担っているとなっていた。ダンジョンによって仕様が違うようだが、基本的には不快な環境では無いみたいだけど、洞窟タイプなどは蝙蝠が住み着いて糞だらけの場合があるようだ。そう言うのは嫌だねぇ。ゲームみたいに毒の通路があったりもするようだし、不快指数が高い場所もあるみたい。こっちの世界対応で、環境影響を受けないようにデータシート改変で対応はしてあるけど、ゴンちゃん達従魔には結界を張ってやる方が良いかな?魔族だったから、ゲームのシールド魔法の様な障壁を展開する結界魔法は使えるはずだけど、俺と違って魔力が無限じゃ無いしねぇ。

まあ、暗黒大陸へ行ったら、食用可能な魔物を確保して食べるのも良いだろう。

探索も普通に行うつもりは無いし、それほど気にしないで大丈夫だ。

俺は篤志家じゃ無いから、暗黒大陸に影響が出ないようにするのは、投資みたいなものだ。魔物の性質を考えた上でのね。

相互扶助とか困った時は助け合いなどと良く言うが、その手の言葉を使う人間は、自分は助けて貰って当然だが、他人を自分は助けない場合の方が圧倒的だからな。”助けられた人は出来ることで恩返ししろ。”などと言われても、自分に出来ることは無いとか言うんだよ。

人は堕落する生き物だ。無償援助とかすると自助努力をしなくなったりする。どこかで線引きは必要だと俺は思う。

今回の行動はタダ働きってわけでもないしね。この世界の調整の一環だから。

日本に戻ったら神代さんと調整して、お願い聞いて貰おう。…不老不死だと色々問題出るから、目立ったり不自然にならないようにして貰わないとね。

この辺は後で調整すればいいけど。


さて、ゴンちゃんの巣に転移するか。場所は神域で確認済みだ。


紙 「ヴァンちゃん、分身と後は頼む。探索は多少かかるかもしれん。」


ヴァンちゃん 「大丈夫です。取り敢えずは、双子の王子どもが来る可能性があるだけですよね?」


紙 「情報だとそうだ。それと同胞の子孫だな。ああ、あいつらが持っている同胞の武器などはレプリカだ。魔族対応の会合までは、街の見物でもしてくれ。魔族が接触してくるかもしれんからな。」


ヴァンちゃん 「承知しました。主様、魔族の接触は王都では無いと思います。主様と接触するなら、暗黒大陸でしょう。人族の監視の目が無いですから。歴代召喚勇者の武器などが消滅したのは知っていますので、子孫の証で出してきても問題は無いです。レプリカを出して来たら、逆手に取りましょう。」


紙 「まあ、大丈夫だろうが、想定だけはしておいてくれ。」


ヴァンちゃん 「分かりました。ダンジョン探索、お気を付けください。」


ゴンちゃん 「ヴァンちゃん、大丈夫よ。ワイバーンはダンジョン探索難しいけど、中位以上のドラゴンは変化術を使える種が多いから、私も探索したことはあるし。」


紙 「出来るだけ早く戻るから、頼むな。ゴンちゃん、行こう。」


そう言って、ゴンちゃんの巣の前に転移した。



◇◆◇◆◇◆



ゴンちゃんの巣の前に転移したが、結界とカムフラージュがされていて見つかりにくくなっている。

竜種最上位種とは言え、暗黒大陸には強力な種が多いので、対策は必要だからな。

…古い鱗が地面に埋まっている。脱皮した奴か自然にはがれた奴かな?結界の触媒のようだ。確か自然に剥がれた鱗は、未処理でも触媒に使えるんだったか。あ、ゴンちゃんの巣は、山の中腹の多少平地になった場所にある洞窟だ。あまり山頂に近くても飛行型の魔物の影響があるからな。まあ、ドラゴンの巣がある場所から上は、蜂とか鳥が来る程度だけどね。蜂の巣とかがあるみたいで、ゴンちゃんは蜂蜜とか鳥をたまに採取して食べるらしい。鳥も蜂も魔物らしいけど、山の中腹から頂上には栄養価の高い蜜を持つ花が咲くので、蜜を食べに来るそうだ。


紙 「ゴンちゃんは花の蜜食べないのか?栄養あるんだろう?」


ゴンちゃん 「食べませんよ。甘い匂いはするのですが、実際に舐めると苦みと舌に刺すような感じがあるので…。鳥とか蜂の魔物は平気で食べるんですけど。」


紙 「ふーん。毒があるわけでもないんだよね?」


ゴンちゃん 「毒は無いです。」


紙 「花は魔物なの?」


ゴンちゃん 「魔物も混じってます。ここの山は頂上まで森になってますから、ドライアド種やトレント種などもいますし、そいつらが体の一部を花に擬態している場合があります。」


ま、わざわざ花の蜜を吸わなくても良いだろう。植物系の魔物には、食虫植物の様に生物を捕食するのもいるし、相手するのは面倒だ。基本的には光合成するから、水と地面の養分で大丈夫な筈ではあるけど。

そう言えば、ドラゴンは知能が高いので、蜂や植物系の魔物と共生している場合がある。蜂蜜や果物・酒を得るためにね。ゴンちゃんもそうらしい。熊や鹿などの魔物を捕食して、共生している魔物を守る形になるみたい。

あ、ゴンちゃんの巣から山の頂上までの森には獣と獣型の魔物が生息している。人型の魔物は巣よりも下で生息しているそう。

それとドラゴンは知能が高いので、蜂蜜や果物・酒を魔物から採取しても全て食いつくすことは無いようにするから、共生関係の魔物も襲われても文句が無いらしい。食物連鎖サイクルみたいなのがあるようだ。

まあ、そんなのは気にしても仕方が無いので、ゴンちゃんの巣へ入る。


紙 「ゴンちゃん、出入口の結界を一時的に解除するんだろう?大丈夫か?危険がありそうなら、俺が調整してやろうか。」


ゴンちゃん 「大丈夫ですよ。私の結界も自由度はありますから。そうじゃないと子育てとかできなくなるじゃないですか。主様は出入り自由に設定しましたので、どうぞ。散らかってますけど。」


ゴンちゃんの巣は、本来の大きさで出入りできる大きさの洞窟だが内部で分岐しているので、隙間風とかは入らないようになっている。…まあ、魔法で換気とか空調はされているようだけどね。それに土属性魔法で出入口や洞窟内部の大きさを変更しているそうだ。

俺もゴンちゃんも夜目が利くので暗くても大丈夫だが、”照明”の魔法で明るくした。因みに、俺は存在を認識するので完全な暗闇でも問題無いし、ドラゴンは蛇のピット器官のような器官や蝙蝠の様に超音波で周囲を認識することも可能だ。でも明るい方が気分的に良いからね。俺はトイレの照明に昼光色を使って、文句を言われるタイプだからな。読者さんはトイレの照明には電球色を選ぶように!

…ん?何かいるぞ。


紙 「ゴンちゃん、アレは何だ?」


水色のゲル状の物体が動き回っている。ゲームに出てくるスライムっぽいな。


ゴンちゃん 「アレですか?アレは、スライムですよ。洞窟の汚れや苔なんかを食べるんです。巣の奥に泉があるので、そこで生まれるんです。元々この洞窟にいたんですよ。」


紙 「襲われたり、財宝とか食料を食われないのか?」


ゴンちゃん 「大丈夫ですよ。あのスライムはスカベンジャー・スライムの一種で、汚れや錆び、ゴミや糞尿などを食べるので、襲ってきません。特性上、財宝や食料も食べませんから。あいつらが食べていたら、駄目になった食料という事ですし。寿命も二か月程度で増えすぎもしませんから、共生関係なんですよ。」


ああ、確か魔法文明が発達した世界の残滓だ。魔法生物として改良された奴だな。科学世界で言う、品種改良やDNA操作によって生み出された生物(目的用途生物)といった感じかな?

スライムと言うのはカビや粘菌の様な性質を持つ魔物だそう。乾燥に弱いが、水場があれば増えるそうだ。比較的何処にでもいるそうだが、人の街などでは駆除されるので見かけることは普通は無い。普通のスライムは雑食で何でも食う為だ。

スライムは菌などと同じで分解者だ。普通の奴もね。スライムは地球の分解者と違って、食ったものを活動力や魔力に変換してしまうので糞は出ないが、魔力発散で空間に元素として放出しているので、世界全体で見ると問題は無いかな?この辺の管理は根神さんの担当だからね。良く分からない。知らなくても問題無いって言われたし。科学世界と違った(ことわり)で、物質循環などがされているそうだ。摩訶不思議の力が存在する世界の(ことわり)だから、科学世界の俺が理解出来なくても仕方が無い。次元管理局の正式所属になれば、普通に理解できるとは言われたけどね。


紙 「珍しい魔物と共生関係なんだな。」


ゴンちゃん 「”清浄”の魔法を使えば綺麗にはなりますが、このスライムは死ぬと仲間に食われて分解されますから、楽なんです。」


紙 「ヴァンちゃんの巣には、いなかったけどな。ワイバーンの巣は基本的に何も無いみたいだし。寝床に使っている枯草ぐらいだったな。」


ゴンちゃん 「ワイバーンは狩りをした場所で基本的に食事はしますし、ドラゴンと違って宝を集める性質は無いですから。」


紙 「ふーん。でもゴンちゃんの巣にも食料は無いね。」


ゴンちゃん 「私は自分のインベントリーに入れていますから。この巣の周りは、冬でも食料となる獲物が採れるので。置いておくのは酒ぐらいです。今は飲んでしまったので無いですが…。」


ゴンちゃんが俺をチラッと見る。分かってるよ、後でやるから。

一段落したら、地球の酒でも複製して振舞うかな。

ゴンちゃんも昔は人を襲って酒を入手したことがあるそうだけど、魔物の酒のが美味いので、人の活動域には基本的に行かないそうだ。人も食ったことがあるそうだが、美味く無いそう。人型の魔物の方が美味いって。人型でもゴブリンなど美味くない魔物も多いらしいけどね。

ゴンちゃんの食料は、血抜きなどの処理がされていないモノなので、見せて貰おうとは思わない。話している時に見るか聞かれたけど、そんな血生臭いモノ見たくないよ。”在るモノ”でもあるせいで、鼻が利くようになったから余計にね。…普通の人間だった時は慢性鼻炎で花粉症だったんだがなぁ。治ってよかったけど、こういう副作用があるとはねぇ。特に魚とかの生臭さが苦手なんだが困るよ。データシート改変で対応しようかな。


紙 「分かってるって、後で酒やるから。財宝は貰って良いんだろう?別に必要は無いけど、俺が力を使って複製するよりは、この世界にあるモノで買い物などはする方が良いだろうからな。財宝を見せてくれよ。それに錫杖の確認もしないとな。」


ゴンちゃん 「そうでした。ここに錫杖があるんでしたね。ダンジョン探索をするので忘れていました。財宝は主様に差し上げます。私には使い道無いですから。」


財宝がある部屋に移動する。洞窟の中なので、部屋と言うのは違うかもしれないけど。


紙 「随分あるな。貨幣やインゴットが多いな。金銀銅にプラチナとミスリルか。後は宝石や宝飾品に、これは魔道具か?色々あるな。デザインが成金趣味で金ぴかだが…。俺の主観だけど、道具は見た目より使い勝手だと思うんだけどな。ん?武器もあるな。結構いい武器みたいだぞ。」


財宝を回収しながら確認すると、魔道具と武器がある。データシートで確認すると、魔道具は劣化防止のために金ぴかのようだ。

色々魔法も付与されている良い物だな。調理器具や野営用の結界付きのテントなどがある。ダンジョンや遺跡から出たモノかもね。神域の情報で、この手の魔道具などもドロップする場合があるって聞いたからな。現物がこんな成金趣味の見た目とは思わなかったけど。鍋とかフライパン、包丁とかの調理器具はヒヒイロカネ製だ。漢字表記はいくつかあるんだったかな?緋緋色金、日緋色金だっけ。火廣金(ヒヒロカネ、ヒヒイロガネ、ヒヒイロノカネ)とも呼ぶんだよな、確か。…これ合金だな。ヒヒイロカネ自体と色合いが違う。神域でサンプルを確認しているから分かる。データシートによるとオリハルコンとの合金だ。これって調理器具と言うより、無茶苦茶硬くて強度があるから、一種の鈍器で武器だな。この世界の連中は、このファンタジー金属の加工技術を持っていないはずだから、遺跡産かダンジョン産で確定だ。魔道具には、コンロやオーブン・冷凍冷蔵庫などもあるから、料理するのには便利かもね。遠慮せずに貰っておこう。ランタンの様な照明用魔道具もあるな。マジックバッグなんかもある。容量も結構あるみたいだ。100m立方だね。何個かあって時間停止のもあるけど、ほとんど容量が大きい袋だな。俺のと違って個人認証は無い。…これ、マジックバッグとデータシートにあるけど、オーストラリア土産で貰ったカンガルーの陰嚢製の小銭入れそっくりだ。あれ貰ったけど、使わなくて放って置いたらカビだらけになって、捨てたんだよなぁ。あの手の物って貰っても困るよね?アレをゴールデンボールとは言っても、使う気はしないよ。

変なことを思い出したが、後は武器か。ミスリルの剣に槍がいくつかと壊れているけど簡易障壁を張れる盾(バックラーってタイプだな。)、それと随分ごつい剣と金ぴかのウォーハンマーがある。


紙 「武器もあるんだな。結構良い物みたいだ。ゴンちゃん、マジックバッグは自分で持っておくか?」


ゴンちゃん 「竜種を討伐しようとする者もいますから、そいつらの武器ですよ。ダンジョンなどで良い武器や特殊な武器などを所持した者が名を上げようとして、ドラゴンに挑むことがあるんです。壊れた盾があるじゃないですか、これ竜の爪の攻撃を受けた後ですよ。魔晶石が綺麗なので、壊れていますけど回収したんです。確か暗黒大陸で下位種のドラゴンを倒して回収した物だったと思います。下位種のドラゴンは人の活動域に近い場所に住んでいて、暗黒大陸に戻ってくる連中もいますから。財宝や魔道具は人の街などを襲った時に回収してるんですよ。変化術が使えるドラゴンはダンジョン探索して、ドロップアイテムを集めたりする場合もありますけど。戦闘訓練にもなるので。マジックバッグは無くても良いです。インベントリー使えるので。」


紙 「戻って来るって、繁殖とかでか?」


ゴンちゃん 「まあ、そうですね。魚とかと同じで、繁殖時期は脂がのって美味いんですよ。産卵前に食べないと肉の味は落ちますけど、産卵後は卵を盗んで食べるのも良いですね。卵も美味いので。」


紙 「食ったの?」


ゴンちゃん 「当然です。ドラゴンでも同種以外を捕食するのは普通です。共食いにはなりませんので。」


弱肉強食の野生だなぁ。

データシート改変で壊れていても直せるので、盾を直しておく。材質はミスリルと魔鉄の合金か。付いている魔晶石は光属性のモノだな。元は黄水晶みたい。この世界の魔法体系だと光とか闇の属性は無属性の扱いだったか。あ、魔鉄ってのは、魔力を帯びた鉄だ。魔力を帯びた鉄鉱石(魔鉄鉱石)から作られる。錬金術での精錬が必要だ。魔力を帯びているだけなので、ファンタジー金属じゃ無い。魔鉄自体も人工的に作れるんだったかな?魔物の核と鉄鉱石を錬金術で混ぜるんだったっけ。聞いたはずだけど、俺には関係無い情報だと思って、覚えていない。

そうそう、欠損も直るので変だと思って、物質創造が可能だと分かったんだよ。生物が治るのは分かるけど、無機物とかもだし。まあ、複製も出来るから、最初は疑問に思わなかったんだけどね。


紙 「変化術で一般人のフリする時、装備するのに丁度いいから武器とか盾は使うとしよう。このごつい剣は何だ?…銘は、サーペントバスター?ミスリルとダマスカス鋼の合金に付与魔法で色々強化された物か。サーペントって亜竜の一種だろう?蛇みたいな奴。専用武器じゃ無いみたいだけど…。」


データシートで確認しているが、能力がアップし、紙の形では無く情報のみ確認できるんだ。パソコンの印刷前の確認画面みたいな感じで、情報が脳内で分かるようになったんだよ。だから、他の者から見ると鑑定魔法や解析魔法を使っているように見えるかもね。俺の従魔は魔法じゃ無いのは分かるけど。魔力察知出来るから、魔法使っていないのが分かるし。


ゴンちゃん 「そうです。見た目は蛇っぽいですけど、亜竜の一種です。蛇と違って逆鱗がありますよ。その剣は結構良い物ですね。使用者の魔力によりますが、竜種の鱗に対応も可能になっていますね。下位種なら人族でも倒せる力量を持つ者がいるかも知れません。…主様が使うと、力が強すぎて壊れる可能性がありますけど。銘は、サーペントも切れるぐらい良い切れ味って言いたいのでは?」


余計なこと言うなよ。使う場合はちゃんと加減するぞ!

さては拷問を根に持ってるな?

あ、出てきたファンタジー金属はファンタジー物小説に書かれている特性を持っている感じだ。あまり気にしないで欲しい。

ダマスカス鋼も地球で実在した物とは違う、高い靭性を持つファンタジー金属だ。魔力を帯びた鉄鋼を錬金術で処理するんだったかな?木目状の模様がある。茶色っぽい淡い光を放つんだったかな?合金になると、あまり光らなくなるんだよ。

サーペントバスターは実績もないのに、そんな銘なのかな?切れなかった場合、恥ずかしいだろうに。

…恥ずかしいというより危険か。


紙 「後は、このウォーハンマーか。随分重いな。まあ、俺には重さ関係無いけど。ヒヒイロカネ系金属の青生生魂(アポイタカラ)とアダマンタイトの合金か。重力制御系の魔法陣が組み込まれているな。攻撃時に重量を増加させて、破壊力が増大するようになっている。後は、劣化防止の魔法とか色々付与されてるな。」


赤熱 「どれも意志を持つ武器では無いな。付与魔法は色々と掛かってはいるが…。」


白熱 「ああ、我ら魔剣よりも性能は数段落ちるな。人の造る付与魔法が掛けられた武器よりは性能が良いが…。ミスリル製の剣と槍は、付与魔法も人の造る物より一つ二つ多い程度だな。多少マシなのは、盾とサーペントバスターとウォーハンマー位だな。盾は別だが、武器はそのうち付与魔法が切れるぞ。所有者が使用して定期的に魔力を供給すれば問題は無いが、大分時間が経っている様だ。素材自体が良いので付与魔法もまだ問題は無いが、前所有者は恐らく魔導士では無いだろう。魔導士ならば、付与魔法用の魔力供給に魔晶石か魔石を使うからな。それぞれの武器に魔晶石か魔石を嵌めれるようになっているが、何も無いぞ。付与魔法が切れても素材が良いので、それなりの性能ではあるが。」


魔剣に言われてデータシートを確認するとそのようだな。素材自体が錬金術で処理されて、魔法が付与できるようになっているが、武器自体が貯めれる魔力がそれほど多くない。魔力を与えて、武器等のデータを保存しておく。データから複製して魔石も嵌めておくか。魔道具と違って、武器は空間の魔力を取り込む様には基本的になっていない。武器は戦闘相手の負の感情の影響を受ける為、魔力を必要以上に貯めれるようにすると呪われたアイテムになりやすい為だ。ジプト国の魔法体系が術式を道具に組み込んで、使用者の魔力で発動するのもこのせいだ。使用者に合わせて術式を組み込む必要があるのも理由だが。ダンジョンもドロップアイテムの質を調整している。俺の魔剣の様に意思がある武器は、魔力の調整なども出来るけど、普通の武器はそうなってはいない。戦闘後は手入れが必要になるし。”自動整備”の魔法が付与されていれば問題は無いけど、この魔法は魔力消費が結構多い。

俺の魔剣はクリミナルが介入していたから、入手されているんだよ。使用できる者がいなかったのと同胞も欲しがらなかったから、クリミナルもダンジョンへの介入やめたけど。

この世界の付与魔法の仕様の説明は難しい。素材や付与する魔法によって条件が違うから、説明しにくいんだよ。素材によっては魔石や魔晶石が無くても空間の魔力を取り込むことも可能だし、魔力を貯めることも出来るから。

話がそれたが、現物はマジックバッグに仕舞っておこう。

ゴンちゃんの財宝には、金ぴか装飾の短剣(中東で見かけるジャンビーヤみたいな奴)とかもあったけど、実用品じゃないね。宝石が沢山ついているから儀式用って感じだな。刃物部分も普通の銀だし、観賞用だ。

成金趣味って感じで、俺は好きじゃないけど。


ゴンちゃんの財宝を回収して、一番奥にあったよ。

異様な力を持つ錫杖が、地脈の力で封印結界を張られている中にある。賢者の石とご対面だ。


紙 「これか。例の錫杖。杖の上部に嵌められているのは、鮮血の様な赤色の石だな。賢者の石で間違いない。ゴンちゃん、結界に触れるなよ。エナジードレインの効果があるぞ。」


ゴンちゃん 「これがそうですか。…確かに異様な力を感じます。封印結界があるというのに。これはヤヴァイですよ。」


紙 「ああ。さっさとダンジョン探索して、回収するとしよう。」


ゴンちゃん 「承知しました。」


錫杖を回収する為、ダンジョンの出入口へ転移する。

さっさと回収するとしよう。

アレはヤヴァイわ。

扱い間違うと世界の寿命を縮めるのわかったよ。”在るモノ”である俺とかには直接の影響ないけど、世界が消滅する場合は対応しないと影響出そうだし、その場合仕事を次元管理局で振ってくるだろう。

放っておいて仕事増やすのも嫌だからね。

サクッと頑張るとしよう。



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