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第三十四話 屋台の肉

城に戻ってきたが、どうするかな?

案内役どもには屋台で買った串焼きを何本かやって、下がらせた。部屋付きのメイドもね。

先に神域へ行こうかな?まだ夕方だから、時間調整したいんだよね。

神域で確認することを相談しようかな。

飯でも食いながら。


紙 「部屋に結界張ったから、相談事も普通に話して大丈夫だ。」


俺が張った結界は、立入れなくなるのと防音効果があるものだ。


赤熱 「神域へ行かなくて良いのか?主よ。」


紙 「時間的にまだ早いからさ、飯でも食おう。酒の味見もしてみるか。」


白熱 「屋台で何の肉か聞いた時に、主は嫌そうな顔をしていたが大丈夫なのか?」


ゴンちゃん 「主様、あの肉が嫌なら魚でも我々は構いませんが…。」


ヴァンちゃん 「そうですよ。何なら肉は私が食べても良いですし。」


気を使ってくれて、ありがとうな。魔物の方が優しいって、どういう世界だよ。


紙 「大丈夫だよ。心配してくれてありがとうな。あの肉は、俺の世界でも食う連中はいるんだよ。一般的じゃないけど。俺はこの世界にも適応しているはずだから、食えるはずだ。アレの肉は一般的だと言っていたからな。」


ヤヴァイと感じたら、酒で流し込んじまおう。

今回酒屋にあった酒だが、ワインは赤、白、ロゼとあったよ。シャンパンの様なモノは無かった。その代わり、シードルの様なモノがあったよ。後は飲料水替わりのエールと蒸留酒があったけど、蒸留酒は熟成していないから焼酎みたいなものかな?材料はエールとほとんど同じだって言っていたから、ウイスキーの熟成前の蒸留しただけの奴って感じか?金属が貴重だから蒸留所は多くないが、消毒薬としても使われるので造られているそうだ。戦略物資って扱いだな。あ、醸造所と蒸留所は違うからね。興味があれば調べて欲しい。ちなみに醤油を作る所も醸造所と言う。

梅酒とかの果実酒は無かったな。他国にはあるようだけど、高級酒になるらしいぞ。まあ、蒸留酒が必要だからね。某テレビ局で問題になった味醂梅酒のような物だったら違うかもしれないけど、味醂も焼酎が原料の一つだしねぇ。この世界の果実酒は果物自体の糖度が高いから、砂糖を使わなくても良い感じになるらしい。猿酒みたいに果物が自然発酵する場合もあるそうだ。ワインも葡萄酒しか無かったから、他の果物のワイン造ればいいのにね。日本でもイチゴワインとか葡萄以外のワインあるし。

だけど、話を聞いてマジかよって思ったね。神域で確認した情報通りだけど驚くよ。人の歴史自体は、この世界の方があるのに文化的に発展しないんだから。魔族の攻撃で技術や知識の断絶が発生するとはいえ、消滅した世界の残滓と言う資源があるのにさ。

この世界の権力者が屑のせいだな。技術者や知識階級を育てないから悪いんだよ。

果実酒は地球にある梅酒みたいに、ワインで造っても良いと思うんだけど。蒸留酒にはブランデーの様なモノも無かった。

流通しているのは、やはり売れ筋のエールがメインの様だぞ。

この辺は仕方が無いんだろうな。

それと蜂蜜酒無かったよ。蜂蜜は甘味料で使う方がメインで、酒にすることは普通は無いそうだ。養蜂をやっている連中が造ることはあるとは言っていたけど、流通しないそう。売り物にならない蜂蜜を加工するようだ。蜂が集める花の蜜で、植物によっては苦みやエグミが出てしまう場合があるようだ。甘味料な為、そう言ったものは売り物にならないそう。地球の蜂蜜でも樹液を蜂が集めてミネラル分が多かったりすると苦みがあったりするしね。後は、トリカブトなどの蜂蜜を食って中毒になるのは、この世界でも地球と同じだ。まあ、この世界のトリカブトなどの毒は地球の奴よりずっと強力なのもあるから、養蜂家が出荷前に毒見をすることにはなっている。毒のある蜂蜜は食用では無いが使い道はあるそうだけどね。

通常は害獣駆除などで使うみたいだ。熊などの駆除とかな。後の用途は読者さんの想像に任せるよ。毒だから分かると思う。

養蜂も地球と違って、花が咲いている場所に移動しながら蜂蜜を採取するわけでは無いそうだ。まあ、この世界では移動するのは危険が伴うからな。街道は整備されているとはいっても蜂の巣箱を運ぶのは、馬車だと難しいだろうから。魔物に襲われるだろうしね。地球でも東南アジアでサトウキビを運ぶトラックが象に襲われるのは、そう珍しい事じゃ無いし。

同じ場所での養蜂なので、その地域の植物の開花時期を養蜂家は知っているから、毒のある植物の蜜を集める前に蜂蜜を回収するようにはしているようだが、時季外れの開花や植物系の魔物で毒があるものから蜂が蜜を採取する場合もある。

だから蜂蜜はそんなに採れないから貴重品だ。野生の蜂の巣から採取する蜂蜜もあるけど、そっちはもっと貴重だな。魔物の蜂の場合もあるし。

あ、常夏の場所で養蜂すると最初は大量に蜂蜜が採れるけど、花が一年中咲いていることを蜂が学習すると寒い場所で養蜂した時より採れなくなるそうだ。食料を溜め込まなくても飢えないって学習する為らしい。

作者の親の知り合いの養蜂家が言っていたそうだぞ。


食事する前に屋台で買った肉の説明をしよう。買った時の状況もね。

魚の塩焼きも買ったんだけど、切り身を焼いた奴なんだよね。切り身だから何の魚か不明だけど、チラッと見えた捌く前の奴がデカい鯉みたいな感じだったんだよね。テントで隠したタライに入っていたけどフナかなぁ、アレ。雷魚(らいぎょ)とか草魚(そうぎょ)かなぁ。魚の種類確認し忘れたんだよね。王都の近所の河で獲れる魚だとは言ってたけど。食えるなら良いかって感じで気にしないで買ったんだよ。塩焼きで大丈夫かな?地球なら鯉は味噌煮込みとか唐揚げの餡掛けとかだよね。油は十分流通しているはずなんだけどなぁ。食用よりも灯りで使う方がメインだったっけ。魔道具は高価だからさ。ランニングコストを考えると魔道具の方がトータルコスト的には安い筈だけどね。あ、壊れると修理代が高くつくか。魔導士は少ないし。

屋台では、皿とか包み紙の代わりにデカい葉っぱ使って包んでくれたけど、馬蘭(バラン)かな?最近はハランと言うんだっけか。地球のと違ってバナナの葉並みにデカいんだけど、ちゃんと洗ったんだろうな?

地球のハランは蝸牛(かたつむり)とかナメクジが受粉する説もあるし、キノコバエってのが受粉するとも言われてるんだから、洗ってないなら汚ねえだろう?

話がずれたけど、買った時の話をしよう。



* * * *



広場には屋台がいくつか並んでいるが、食い物は串焼きだけだな。食い物の屋台は多くない。

…ん?あれは魚の切り身か。あんな屋台があるのかよ。鮎の串焼きとかは見たことあるが、切り身の屋台とはな。干物を焼くのはアリかも知れんが…。

地球でも乾物のスルメイカを焼いて売ってたりするし。あ、地球にはイカ焼き屋台ってのもあるね。ここには無いけど。

他は…。アレは果物のジュースか?飲み物を売っている屋台もある。

…見た感じ何か水で割って、すっごく薄っすーい感じなんだけど。江戸時代に”水売り”って商売があったって聞いたことがあるが、その同類かな?

んん?飲んだコップ返してるけど、洗ってねーな。洗えよ!汚ねえな。雑巾で拭くだけかよ!?海外の屋台とかあんな感じだった気もするけど…。何でも雑巾で拭いて終わりってね。まあ、屋台だと水を自由に使えないってのもあるから、地球でも気を付ける方が良い。これは俺の主観だが、旅行ガイドに”屋台巡りがオススメ!”とあっても衛生観念が違うって理解の上で利用する方が良いと思う。

胃腸が丈夫な人は自己責任で屋台を利用してくれ。まあ、最近はバイト店員がやりたい放題して問題になる飲食店もあるから、屋台だけが問題ってわけでは無いけど。

だけどアレは無いわ。病気が蔓延する環境が揃ってるじゃねーかよ。これも自然淘汰だろうか?胃腸が強い者の因子を残すという。

こんなところの食い物食って大丈夫かな?あの飲み物は絶対飲まないぞ!俺は。

潔癖症では無いが、体が丈夫じゃなかったから気になるよ。俺も現代日本人だからな。

北里柴三郎先生が言ったように「医の基本は予防にある」だぞ!

あ、読者さんも北里柴三郎先生は知っているよね?近代日本の偉大な医学博士だ。

それとも漢方で言う「未病を治す」かな?古代中国の書物「黄帝内経素問こうていだいけいそもん」に「聖人は未病を治す」って書いてあるんだっけ。

まあ、それは良いとして、串焼きは焼いているから大丈夫だろう。…多分な。今の俺には問題無くても胃腸が弱かったので、どうしても気になる。

海外の屋台で食事して酷い目に遭った記憶が蘇るよ。


…グダグダしても仕方が無い。屋台の串焼きを買い占めるとしよう。


紙 「おい!店主。仕込んである奴も含めて全部寄越せ!」


店主 「へい!毎度。って、お客さん大丈夫なんですか?…あーっ!ゆ、勇者様!い、命ばかりはお助けを!」


店主は跪いて、懇願し始めた。


紙 「お前は何を言っているんだ?金は払うから、さっさと焼いて寄越せ!それとも俺には売れないのか?」


店主 「そ、そんなことはありません!今すぐ焼きますので、少しお待ちを。」


焼いてあった串焼きを先に受け取り、案内役とゴンちゃんとヴァンちゃんに渡す。


紙 「先に食って良いぞ。店主、代金はいくらだ?」


さあ、吹っ掛けろよ!オラオラ!カモーン。


店主 「お、お待ちを。焼き上がってから計算しますので。」


焼くのに暫くかかりそうなので、何の肉か聞くことにした。


紙 「ところで店主よ。この肉は何の肉だ?」


店主 「勇者様は異世界から来られたので、ご存知ないかも知れませんが、こいつは川鼠です。」


川鼠?何だそりゃ。


紙 「川鼠?どんな生き物だ?家畜なのか?」


メイド見習い 「勇者様、川鼠は水辺の近くなら普通に食べられている生き物です。家畜では無く害獣です。」


害獣なのか。


ゴンちゃん 「主様、川鼠は水辺にいる大型の鼠です。魔物の川鼠もいます。ヌットリヤって名が正式名です。」


紙 「んん?ヌットリヤ?俺の世界にも似た生物がいて、ヌートリアと言うんだが同じ生物かな?」


ヴァンちゃん 「主様の世界の生物はどのような生物ですか?」


紙 「俺の故国には本来いない生物だが、家畜として移入されたんだ。だが、逃げ出して害獣になっている。泳ぎが得意な大型の鼠だ。巣は川の岸辺の土手なんかにあるんだったか。」


ゴンちゃん 「恐らく同じか同系統の生物ですよ。川鼠と呼ぶように泳ぎが得意ですし、足に水かきが付いてます。見た目は大きなドブ鼠です。鼠なので駆除してもいくらでも増えるので、この世界の食肉としては家畜より一般的です。」


この世界にもドブネズミと呼ばれる鼠がいる。日本で呼んでるのと同じ生物だ。魔物の鼠もいるのが違うだけだ。

しかし、ヌートリアの肉かぁ。

なるほど。鼠だからネズミ算的に増えるって事か。ウサギも大量に増える生物だよなぁ。普通ファンタジー世界の一般的な肉って、ウサギじゃねーのか?あるいは鳥…。


騎士見習い 「勇者様、どうされました?肉を焼く臭いがきついですか?」


どうやら渋い顔をしていたようだ。


紙 「別に問題は無い。気にするな。」


魔導士見習い 「代金の心配でしょうか?それなら、城に取りに来させれば問題ありませんが…。」


金ならある。データで複製も出来るから支払いには困らん。渋い顔の理由は別だ。

話しかけられながら、店主を見ていると焼き終わったようだ。串焼きを受け取り、代金を支払う。

…ちっ。吹っ掛けなかったか。端数切捨てでサービスしやがった。まあ、一本分程度だが。生鮮品だから売れ残るよりは店も得ってことだ。

インチキな計算するかと思ったのに!

…あ、騎士見習いと魔導士見習いがいるからか?計算誤魔化せないって判断かも。やはり、案内役がいない方が良いかもしれん。


店主 「あ、有難うございます。勇者様、うちのは大蒜の粉末を塩に混ぜて焼いてますから、一味違いますよ。そ、それで勇者様、この国を滅ぼすというのは本気ですか?」


大蒜の粉末か。ガーリックパウダーって奴かね?俺も自炊するけど、使ったことは無いな。


ゴンちゃん 「無礼者が!我が主に質問するとは何事だ!控えろ!」


紙 「ゴンちゃん、大声出すなよ。質問程度構わんから。店主よ、この世界やメソポ王国がしたことの責任は取らせるぞ。当然だろう。」


呆れた顔で答える。


店主 「ゆ、勇者様、ご、ご慈悲を掛けて貰うわけには?」


ヴァンちゃん 「店主よ、お前は何を言っているんだ?この世界の人族や亜人は、主様や歴代の召喚勇者に何をした?許されるはずなかろう。」


ゴンちゃんとヴァンちゃんが鼻で笑っている。

店主はがっくりと肩を落とした。

勇者召喚の史実を発表後だから、文句は言えないだろう。ゴンちゃんとヴァンちゃんの正体も知られているようだし、突っかかってくる馬鹿はいないだろう。

馬鹿がいれば面白いけど。馬鹿を処理するのに、サクッと虐殺すれば仕事も終わりだから楽なんだけどねぇ。誰か馬鹿やらんかな。


紙 「代金も払ったし、俺に質問することも無いな?じゃあな、店主。」


同じように他の屋台で買い占めをしたが、魚の切り身の屋台以外はヌットリヤの串焼きだった。塩に混ぜる物が違うようだけどね。

ハーブ塩だな。薬草塩とか言ってたけど。岩塩を使っている屋台もあった。ネンドバーンは河を使う輸送が使えるので、海水塩は普通に流通している。日本と違って大陸なので、天日で十分製塩可能な為だ。大陸国へ行ったことがある読者さんなら体感したと思うが、大陸は日本より乾燥している気候だ。湿度が日本ほど高くない。

ヌットリヤの現物も見たよ。アレはヌートリアだ。間違いない。以前日本の川で見たのと同じだった。地図連動型(ヌットリヤを索敵した。)の千里眼的能力で川辺を見たら、大量にいたよ。陸地だと鈍いけど、水中で泳ぐのは速かった。捕獲は下級冒険者などの仕事のようだぞ。肉は肉屋で普通に売っているそうだ。冒険者ギルド直営の売店でも売っているようだ。ダンジョンなどから出た時間停止や劣化防止の魔法が掛かったマジックバッグを持っているから、ある程度保管できる体制のようだ。それと大型の冷蔵庫を商人ギルドは持っているそう。お面が教えてくれたよ。根神さんが神域で説明してくれたらしい。…覚えてないけど。

データシートや魔法で確認する必要も無く、ヌットリヤはヌートリアで確定だ。見た時は顔が引きつったよ。デカい鼠だからさ。

干し肉などの保存食の肉も普通はヌットリヤだって。城の食堂で食った羊とかは家畜なので高級品らしい。…アレが高級品ねぇ。食用可能な強力な魔物の肉は、特別な品で味も良いそうだが、入手が難しいみたいだ。弱い魔物の肉は、獣の肉と変わらないそうだ。小さい魔石が採れるだけでね。この辺は地球と違うな。運動量が多い生物の肉は固くなって、通常食肉には向かないから。強い生物ってのは筋肉が発達して、筋張っているはずだからね。まあ、例外はいるだろうけど。俺も野生生物の肉はそれ程食った経験は無いから断言はできないんだよ。猟師が捕獲する動物は、冬場の脂肪を蓄えている時期で肉質も違うだろうしね。因みに猟師がくれた鳩を食ったことがあるが、アレは固かった。不味くは無いけど。

色々考えていたら勤め人の時のことを思い出したが、飲食店がテナントで入っている建物の夜中の機械室で遭遇した鼠の大群を見た時に”ゾッ”としたのを思い出した。

機械室は大抵地下にあるから、隠れていやがったのが出てくるんだよ。噛まれると病気になるし危険なんだ。

ビルとかは地下にゴミの集積場があったりして、害虫とか害獣がいるんだよねぇ。

ゴキブリとか鼠の駆除は工事屋の仕事じゃ無いから、アレは勘弁だ。鼠はケーブルを齧ったりするし。

ヌットリヤみたいなデカい鼠のせいで嫌なことを思い出したが、街で買い占めた時の話はこんな感じだな。



* * * *



さて、データ化もして現物はマジックバッグに大量に入っている。でも食い物の買い占めは効果が微妙だと分かったからなぁ。酒はある程度効果があるようだけど。

どうしようかなぁ。案内役の話だと街道に沿って村があるから、僻地へ行ったりしなければ水の入手は何とかなるそうだ。人の分はだけど。馬車の馬の分が問題にはなるようだね。草だけ食わせれば良いわけでは無いし。この世界では、水の確保の関係で移動は時間が掛かる。金は掛かるが特殊な移動用生物を利用するか、大型の馬を使用する馬車を利用するかだな。こいつらは水を出発地で飲めば目的地まで十分だから。ラクダみたいに乾燥に強いんだよね。経費は掛かるけど。

…あ、思い出した。かなりレアなマジックアイテムで”給水袋”とか言う魔道具が遺跡やダンジョンから発見されることがあるんだった。空間の魔素や魔力を使って飲料水を得ることが出来るアイテムだったかな?魔法が使えなくても魔力を供給すれば、水が得られるはず。常温の水だけどね。まあ、絶対数が無いから見ることもないだろうけど。俺や従魔には必要無い物だし。それに使いたくないんだよ。水筒代わりの水袋の材質は動物の皮じゃないんだ。現代の地球では使わないが博物館などに有ったりするので、確認すると理由が分かると思う。水袋は中の液体が漏れないようになっている必要がある為、動物の内臓で作ってあったりする。多いのは胃とかだが、膀胱を使ったものもある。処理はしてあるが、ゲロや尿をイメージするから俺は使いたくないんだよ。この世界でも材質は同じだぞ。

話がずれたな。

テーブルの上の皿にも串焼きは置いてある。皿は”特殊能力:紙”で出した紙皿の大皿だ。酒屋で買い占めた酒もいくつか出してある。紙コップもね。紙製品は”特殊能力:紙”で出せるから、コストを気にせず使えるからね。特殊能力を使っているので、”破棄”すれば後片付けも簡単だ。

焼き鳥のネギマみたいな感じのもあったから、味に変化はあるだろう。

皿はデータシート改変で保温効果を持たせてみたから、料理は冷めない。

…ヌットリヤ。どうなんだろうね?

尻剥き出しでこっちの世界に来た時並みに何とも言えない気持ちだ。ファンタジー世界のテンプレだとウサギのはずなのに、この理不尽さは何だ!?せめて焼き鳥にしてくれ。作者よ!

おっさんだから子供と違って、世の中理不尽なことで成り立ってるのは理解しているけど、これは小説だろう?お約束のテンプレってあるよね?

…そう言えば、学校とか自動車の教習所とかって、理不尽な状況を我慢する訓練施設じゃないのか?って、最近は思うんだけど、限度があるからストッパーとして教員や指導員がいるんじゃないだろうか?あまり機能していないような気もするけど。ストッパー側が暴走することも多いし。これは個人的な主観だから、あまり気にしないで欲しい。話が脇へそれたけど、小説ならテンプレを採用すべきだろう?

痛い!?作者さん止めて!もう小説とか言わないから!折檻されるのは根神さんでお腹いっぱいです。

…魚は後で食うことにする。冒険者ギルドから没収した料理にも魚はあったからね。あの時は鳥と魚だったけど、焼き鳥の屋台が無いのは何でだ?鳥のが高いのか。あの焼き鳥って食用出来る鳥の魔物の肉だったのかも知れない。ギルドの連中が捕獲した奴でさ。美味かったけど、何の鳥か気にしなかったんだよね。あ、基本的に運動量が多い生物の肉は固くて食用に向かないんだけど、魔物は関係無いらしい。食える奴は獣より美味いし、食えないのは固すぎたり、異様に不味かったりするらしい。肉や血に毒があったりする場合もあるそうだ。まあ、魚とかでも毒があったりするのもいるから、魔物も同じってことだ。あ、魔物の魔力は他の生き物と波長が違うので、獣と魔物で同じ生物がいるのは感覚的に区別がつく。気配を消したりできる魔物だと分からない場合もあるけどね。魔力察知能力が高ければ分かるけど。

話が変な方向にそれたな。戻そう。

どうせ俺は死ねないんだ、何食っても問題無い。

覚悟完了だ!食ってやる。


紙 「よし!覚悟完了だ。ネギマみたいなのから食ってみよう。全部肉の奴より初心者にも優しそうだ。」


そう言って、ヌットリヤのネギマ串を手に取る。葱と言うか西洋葱のリーキっぽいな。

従魔の二人が心配そうに見ているが大丈夫だ。俺は死ねない。死なないんじゃなくて、神の同類で死ねないんだ。厳密には生物では無い存在だからさ。”一応人でもある”って妙な存在だ。

自分が人外の存在であることを認識して、ヌットリヤを食うよりショックを受けた。…気にしても仕方が無いけど、きついよ。

いずれは神代さんや根神さんの同僚になるんだもん。嫌だよ。


まあ、それは置いておくとして、俺も海外の現場で仕事はしたことがあるが、鼠は食ったこと無いぞ。病気は怖いからな。

海外などで何食って良いか分からなかったら、鳥を食うのがおすすめだ。鳥なら宗教的な禁忌になる事もまず無いし。

魚も良いけど、魚によっては毒があったり、食うのが問題になるのもいるからね。

鳥ならそういう心配も普通は無いから。

話がそれたが、ヌットリヤを食わないとね。


ヌットリヤ実食です!


紙 「こ、これは!?普通に美味いぞ。何だよ、ビクビクして損した。」


魔剣どもと従魔の二人が笑ってる。あ、魔剣どもは人型になっている。


赤熱 「この世界最強の主がビクビクするとはな。」


白熱 「赤熱よ、主は食習慣が違う世界から来たのだ、ビクビクするのも仕方が無かろう。」


うるせーよ!変わった食い物食うのは勇気がいるんだよ。


ゴンちゃん 「主様、良かったですね。これで一般人のフリも出来ます。」


ヴァンちゃん 「後は魚ですね。屋台のアレは川魚ですね。大きくなりますが魔物では無いです。魚の魔物は海には結構いるんですが、淡水には少ないんですよ。いないわけでは無いですけど、亀や蟹、蝦などの魔物と生息域が競合するので、大きい湖じゃないとあまりいません。亜竜のサーペント種などが捕食もするので…。」


紙 「そうなんだ。サーペント種って蛇みたいな奴だっけ?」


ゴンちゃん 「そうです。アレも小さい種は亜竜なので群れを作るのですが、大型のモノは単独行動しますね。群れだと餌が足りなくなりますから。群れを作るのは繁殖期だけです。湖のヌシ的なレイクサーペントなどは、大きくなりすぎて繁殖不可能だったりします。移動できなくなりますから。アレは一定時間以上水から出れませんので。まあ、レイクなどと呼ばれますが、海水・淡水両方で生息可能です。繁殖は海で行ってますね。」


紙 「ネンドバーンの周辺にはいないみたいだな。サーペント種。ヌットリヤの現物を千里眼で探した時、蛇っぽいのは見かけなかったし。」


ヴァンちゃん 「いないわけでは無いですが、いるのは小型種です。見た目は、魔物では無い水棲の蛇が少し大型になっただけですから、主様が分からなくて当然です。それに他の生物よりも数は少ないですから。水棲の蛇も少ないですし。基本的に魔物の下位種は普通の生物と魔石がある以外は、ほとんど変わりません。稀に魔法が使えるモノがいますけど。」


紙 「そうなの?まあ、俺がこの世界でやる事に、魔物の討伐は関係無いから別にいいけど。あ、魔物の下位種でも人型の奴は、見た目が人と大分違うんだっけ?」


赤熱 「かなり違うぞ。ゴブリンなどが代表的だが、肌が緑色だ。」


白熱 「コボルトなどは人型の犬だが、犬の獣人と違って二足歩行の犬だ。獣人は手足が人のやつだからな。区別はつく。」


紙 「まあ、魔物の討伐は必要が無ければしないから、別にいいよ。ワイバーンの巣の近くにできたダンジョンの確認はする必要がありそうだけど、ダンジョンにいるのは気にせず殲滅すれば良いだけだしな。」


ヴァンちゃん 「ダンジョンの探索には、群れの者が同行するので、主様は気にしなくても大丈夫ですよ。」


紙 「この世界のダンジョンの魔物は倒すとドロップ品を落とすんだったな?食用可能な魔物なら肉にできる方が良いんだけど。」


ゴンちゃん 「肉をドロップする場合もありますけどね。」


紙 「まあ、食料は俺の場合、気にする必要は無いからなぁ。環境に対する影響の調査だけだな。」


雑談しながら食事して、酒の味見もしたんだけど辛口もあったので驚いた。植物系魔物の造る酒で同じようなのがあるそうなので、参考にしたんだろうって、従魔の二人が言っていた。二人共甘い物が好きなくせに、辛口のワインを”美味い!”って飲んでいたな。甘口のワインやシードルっぽい酒は、不味くは無い。水で割らないと甘すぎるけど。俺は辛口の酒は嫌いだから、従魔用にしよう。エールはやはり水っぽい。ビールっぽいのもあったけど、ビールも好きじゃないんだよねぇ。保存データから、お茶かコーヒーでも出して飲む方が良さそうだね。この世界の果物が入手できれば、搾ってジュースにしてもいいけど、それは後回しだな。

神域で食い物の情報も説明してもらっているはずだけど、食わなくても大丈夫だから、あまり気にしなかったんで覚えていないんだよねぇ。お面に確認すると馬鹿にされるし。俺の一部の癖に。

魚は朝飯にすることにしたよ。

食事しながら雑談して、良い時間になったので神域へ行くことにする。

部屋には一応分身を置いてあるので大丈夫だろう。

ゴンちゃんとヴァンちゃんに何かあれば対応するように命令もしてある。

問題は根神さんがご開帳するのだよなぁ。

あんな事言わなければよかった。

どんな演出するつもりだろう?

自分の発言のせいだから、諦めよう。

ヤヴァイと思ったら、抱き着いて誤魔化すことにしよう。ベタな台詞でも言うことにする。

…折檻されるかもしれないけど、その方がマシだろう。

発言の取り消しもできないから、覚悟を決めるしか無いし。

まいったね。



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