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第三十三話 買い占め

貴賓室へ戻ってきたが、どうするかな。

神域へ行くのは、夜の方が良いだろう。まあ、分身を地上に残せば神域へ行ってもいいんだけどさ。俺は”在るモノ”でもあるので、分身が個別活動も可能で並列処理も出来るから問題は無いんだよ。俺の分身を例えるなら、手足がいくつもある様なものだ。タコやイカは足が複数あるが、自在に動かせるだろう?アレと同じだ。

街を見物でもするかな?別に見なくても良いんだけど。俺は、観光とか物見遊山は基本的に嫌いなんだ。胃腸が弱かったから、名物とか普段食わない物を食ったりすると具合悪くなるタイプだったからさ。

名所旧跡とか風景が綺麗とか興味ないしね。

工事屋だった時は建物とかは見学したけど、アレは仕事の一環だな。建物のデザインする建築士が無茶苦茶なデザインすると、しわ寄せが工事屋に来るんだよ。特に設備関係にね。

魔族対応の会合も、各国の連中や第二第三王子どもがネンドバーンに到着したら、すぐに行うわけじゃ無いし。会場の準備や各国の連中が移動の疲れを癒してからだ。

うーん、どうしようか。時間的にゴンちゃんの巣を確認するのは、後にした方が良さそうだしなぁ。神域で情報を確認してから行っても良いわけだし。


紙 「部屋に戻ったは良いが、どうするかな。皆、希望はあるか?」


赤熱 「街の見物はどうだ?」


白熱 「冒険者ギルドへ行ったりしたから多少見ただろうが、異世界人である主にとって参考になるモノがあるかも知れん。」


ゴンちゃん 「食べ物などの素材の説明なら、我々も出来ます。道具などに関しては、主様の世界と(ことわり)が違うようなので、説明は出来ますが参考になるか分かりません。」


ヴァンちゃん 「味に関しては主観になりますので、傾向しか説明できませんが…。」


ふむ。王都自体をデータ保存(ゴミや不要と思われるものは自動排除設定してある。能力がアップして自由度が増しているんだ。人外度がどんどん高くなって困るよ。神域でデータを取り出せば自分でデータ保存しなくても良いんだけど、自前で出来ることはするようにしているんだ。根神さんと一緒にいるのが嫌なわけじゃないから!折檻は嫌だけどさ。)してはあるが、食材などを見てみるか。食材と言えば、ワイバーンの巣に分身がいるけど、巣の近くにできたダンジョンの探索をさせるか。同じ種類の獣や魔物でも暗黒大陸のは、こっちの大陸より強力になってるからな。人間でもタフなタイプと貧弱なタイプがいるが、暗黒大陸にいるのはタフなタイプの連中がいると思ってくれればいいと思う。勿論、個体差はあるけどね。

食用出来る魔物を確保するのも良いだろうし、珍しい食用植物などもあるかも知れんからな。分身がデータ保存しても、本体の俺の保存領域にデータは格納されるから。

まあ、これは後でも良いや。

取り合えず街に出てみるか。虐殺宣言したから、販売拒否とかあれば見せしめ出来るし、吹っ掛けやがったら徴発してやれ。

嫌がらせをするつもりだから、漫画などに出てくるチンピラの行動を参考にするとしよう。

今日は案内役と一緒に行くとして、街の壁付近は貧民街でスラムになっている場所もあるようだし、そっちは案内役無しで行くとするか。

街に入るのに身分証が必要だが、魔物がいる世界なので、親が移動中に殺されるなどして孤児なども街にいるのだ。

孤児院もあるようだが予算不足な為、十分に保護されていない。スラムには、正規の手続きで街に入れない連中の抜け穴などもあるようだ。どこの街にも下水道などがあるから。

何処の世界にもスラムのような場所があって、ゴロツキなんかもいる。孤児などは犯罪の片棒を担いだり、盗みなどで生きていたりするようだ。読者さんは孤児に情けを掛けろと言うかもしれないが、俺は情けは掛けないよ。海外に行ったことがある人なら遭遇したかもしれないが、物乞いなどをする連中に構うのはご法度だ。ピラニアがいる川に餌を投げ込むがごとく、しゃぶりつくされるのがオチだ。人の善意に感謝するよりもお人好しのカモとしか相手は思わない。イスラム教や仏教に”喜捨”と呼ばれるモノがあって、仏教はマシなのだが、イスラム教の連中で教義を自分達の都合で捻じ曲げる連中がいる。”バクシーシ”ってのを調べてみて欲しい。ロクデナシ事例が出てくるから。情けは人の為にならないんだよ。諺の意味と違って、言葉通りでね。それにこの世界は、日本に侵略行為を行った世界で、住民は敵だ!これは俺の主観だが、犯罪者は更生などしない。反省もね。性格は変わるかもしれないが、持って生まれた性分と言うのは、変わらないと思う。犯罪行為をするような連中は、元々そう言う性分なんだよ。犯罪まで行かなくても図々しい人ってのは、迷惑だと言っても何が悪いか理解しないだろう?自覚できないからさ。仕方が無いとはいえ、同胞はロクデナシどもも助けた形になっている。俺はこの世界の身勝手な権力者も嫌いだが、鼻つまみ者はもっと嫌いだ。王都を離れる前に見せしめ対応でもしようかと思ってね。能力や魔法のテストもしておきたいし。俺の能力だけでは無く、ゴンちゃんとヴァンちゃんの能力もね。

スラムで危険だからというわけではないが、案内役がいない方が良い可能性もある。

変化術を使う時用に、この世界の連中の様子を見ておくと言うのも良いかもしれない。

一般人のフリをした方が行動しやすい場合もあるかも知れないしね。変化術以外に幻影術と言うのもあるので、見た目を変化することは自由に出来る。他の者が俺の力をこの世界の一般人程度に認識する様にも出来るのは説明したと思うが、強い魔物なども気配を消すことで認識されないようにする能力を持っているからな。狩りをする関係でね。魔族も俺と同じ様に認識調整が出来るから、魔族だった俺の従魔も能力を引き継いでいるので、この能力は持っている。これは、人の街などに潜入して緩やかな強化を担当している魔族が使う能力だけどね。王都にも潜入魔族がいるのは認識しているが、接触が無いから放置している。

現状奴らは、地脈の回復をやっているようだ。根神さんが調整したけど、実際に作業するのは受肉していない魔族だ。あいつらは精霊の一種で、この手のことも行うんだよ。人の欲望から生まれる瘴気とかの回収とかもね。悪意とかの負の感情が寄り集まると瘴気に変化していくらしいからさ。それを普通は地脈に流して、暗黒大陸へ送ってるんだって。勇者召喚を行うと土地に悪影響が出るのは、これも理由の一つらしい。

話がそれたけど、一般人なら襲われたり、難癖をつけられたりするかもしれないから、その時に正体を明かして虐殺タイムと言うのも良さそうだ。

変化術のテストなど色々やるなら、案内役は邪魔だ。文句は言わないだろうが、報告されると効果が薄れるだろう?

各国の記録用の魔法生物や記録用の蟲が監視するかもしれんが、アレは数が少ないし、問題があるようなら排除すればいい。

記録の必要があると判断した時にしか使用されないからな、アレは。回収の必要がある分使い勝手が悪いからね。

俺の魔族対応で使ったのは、他国の王都で間者がある程度いるから対応できたという事だ。メソポ王国は勇者召喚を行える唯一の国だから間者が一定数常駐しているし、メソポ王国の諜報員も他国の間者対応で当然いるから、各国の記録用の魔法生物や記録用の蟲も数を確保していたんだよ。読者さんも理由は分かると思うけど、隷属した勇者を戦力として使った場合、ヤヴァイことになるからさ。この辺は神域で情報を確認しているから。俺は軍人では無いが設備屋だったから、医者なんかと同じで守秘義務が必要とされる仕事もしたことがあるから、この手の情報の確認は必要だと判断しているんだよ。工事屋ってのは、底辺仕事と思われることも多いけど、他人の財産にかかわる仕事でもあるんでね、色々やっているんだよ。詳しいことは言え無いが、金融機関の仕事とか犯罪者が欲しがる情報などに関わったりもするし。

まあでも、俺を探っても意味は無い。攻撃されれば絶滅必至は理解しただろうから、試すなら毒でも使うだろう?俺も従魔も毒は効かないけどさ。隙を見て、隷属の魔道具を試すというのはありそうだけどな。効果が無いのを知らない連中もいるからさ。


…これからの行動の為に情報収集といくか。

さらし首と串刺しどもの確認もしておくかな。そう言えば、今回は恐怖を植え付ける必要があったから串刺しとさらし首にしたけど、歴史上の事実として勇者召喚が危険だという認識を与える虐殺法を考える方が良いだろう。

後世まで遺物とか形が残る感じの虐殺法か…。


紙 『皆、後で良いが相談したいことがある。』


赤熱 『念話で話すとは、案内役どもに聞かれては不味い話か?』


白熱 『魔族対応の会合関係か?主よ。』


紙 『違う。虐殺方法に関してだ。』


ゴンちゃん 『今回の処刑方法では不味いのですか?』


紙 『不味くは無いんだが、勇者召喚が危険だという認識を後世まで残す方が良いだろうからな。今回の方法だと記録には残るだろうが、見てわかる形で残らんからな。』


ヴァンちゃん 『なるほど。今回の方法だと死体は腐って無くなりますからね。一か所で大量虐殺して、大量の死体を埋めてもアンデットモンスター化する可能性も高いですし。見てわかる形ですか…。うーん。』


紙 『まあ、相談は後にしよう。街を見物して色々見ればアイデアも浮かぶかもしれん。殺すだけなら簡単なんだがな。ダンジョンの探索とかをしている連中とか普通はその場所で処理が必要な者でも、俺は場所関係無く呪えば殺せるから。だけど、それだと意味が無いし。』


ヴァンちゃんの言うように恨みを持ちながら死んだ連中を火葬しないで埋めると、この世界では死体に残った魔力の残滓が呪い化して、アンデットモンスターになったりする。アンデットモンスターは、自身で魔力を生み出すことが出来ないので、生きている者を襲って血液などに含まれる魔力を吸収しようとする。なので、俺の目的の為には地球での虐殺方法と違う形が必要になる。尚、死霊系アンデットモンスターは、エナジードレインで生命力自体を吸収する。死霊系は魔力と残存思念が形作っている存在なので、生物の生命力を吸収しないと存在を保てなくなる。生命力は一種の存在力だから。残存思念を保つのに必要なだけだけどね。エナジードレインは生命力以外に魔力を吸収する。死霊系は残存思念が徐々に無くなって、最終的には暴走した呪いの塊になるんだけどね。それも魔力の塊だから、最後には拡散して消滅するけどね。吸血鬼などもエナジードレインを持っているが、能力として持っているだけだ。あまり使うことは無い。生命力を吸い取っても奴らには意味が無いからだ。魔物は俺の仕事対象では無いので、どうでも良いんだが。

それと下手な形で死体や骨を残すと死霊術と呼ばれる魔法を使う連中が、俺が処刑した連中の死体や骨を利用する可能性が高い。

まあ、死霊術を使える連中は少ないんだけど。一応禁忌になっている魔法だからさ。だけど、どこの世界にも禁忌を犯す連中はいるから。

死霊術の魔導書は数は少ないが”理解の魔法”が掛けられていたモノが発見されている。アンデットモンスター化する呪いも一緒に掛けられていたがね。

死霊術自体も使用すると精神を侵されて、廃人になるか魔物化していく性質のある魔法だ。魔物化もアンデット化するものだ。リッチなど魔法が使えるアンデットになるようだ。

俺も使えるけど、使う必要は無いから使わない。俺の場合はリスクなしで使用できるけど、アンデットモンスターとか使いたくないよ。

食料として肉は食うから、死肉と一緒が嫌とか言わないけど(生物の死肉を処理してるのが食肉だしね。屠殺処理や狩猟で獲った生物を解体してるから、死肉なのは間違いない。あ、アンデットモンスターで肉があるのは腐肉か。腐肉は嫌だな、熟成じゃなくて腐ってるんだから。)、アンデットモンスターは瘴気を発生するんだよね。呪いで動いているからさ。魔族の瘴気は、生物を強化するのに良い感じで周りに拡散するけど、アンデットモンスターのは一緒にいると不快だから。精神的にイライラしてくるよ。ゾンビとかグールは腐臭もするし、生物にとって有害だ。


案内役を呼んで街に出かけることにする。(案内役は貴賓室にある従者控室にいる。呼び鈴があるので、それで呼ぶんだよ。案内役以外にメイドもいる。人払いが必要な場合は、追っ払うけどね。)

城周辺は貴族街で屋敷しか無いので、勇者関連の事実を発表した建物まで転移してから街を見物することにした。

貴族街は行く必要無い。環境整備で貴族どもは領地に戻しているから。あ、そうだ。生かしている貴族もその内処理しないといけないな。

魔族対応で戦闘に駆り出されるだろうけどさ。

ま、後で考えよう。



◇◆◇◆◇◆



勇者関連の事実を発表した建物まで転移で来たが、さらし首は蠅が集っていたよ。見物している連中はいなかったな。

建物の警備をする兵士には、骨になったら片付けるように言ってあるので問題は無い。

蛆が湧いて、その内に骨になるだろう。さらし首は爆弾化とかしていないし。

駆二駆二(クニクニ)に乗って、王都の出入口に串刺しどもを見に来た。今日は安全運転だ。

移動中に観察したが、街は古いヨーロッパの街並みに近い感じだ。ショーウィンドウとかが無いので、店に入らないと何があるかは分からないな。千里眼とか能力を使えば別だけど。露天商もいるようだが、許可制で場所が決まっているので、通り道にはいなかった。まあ、商業区になっている場所は通っていないので、外から様子が分かる店が無かったのかもな。あるのは宿屋や飲食店、酒場って感じだったから。テラス席のある飲食店はあったけどね。神域の情報だと店の間口が広くなっていて、オーニングって言うのか?地球の店舗にもあるけど、軒先の”日よけ”とか”雨覆い”になってる布と言うかテントって言えば良いのか?あれが店の前にある感じだそうだが。まあ、扱うモノによって店の感じは違うようだけど…。


串刺しどもは、既に死んで死体が変色している。…まあ、アンデットモンスター化しても門番がいるから大丈夫だろう。

ゾンビやグール化して噛まれたりするとゾンビの仲間入りするけどな。

アンデットモンスターの呪いの効果の一つだ。こいつらは呪いの魔力で動いているから。

呪いを上回る魔力を持っているか魔法耐性を持っていれば平気だけどね。呪いの魔力を跳ね返せるからさ。

一応説明すると、この世界のゾンビやグールは、魔法以外だと首を刎ねるか頭を潰せば倒せる。スケルトンは頭蓋骨を破壊すればOKだ。問題になるのは、死霊系だな。魔法か魔法が付与された武器が必要になる。

”氣”や”オーラ”を使う武術でも倒せるけどね。アレは魔力を肉体に纏う魔法の様なものだから。武器などに”氣”を通す技でも大丈夫だ。あ、スケルトンは魔石が頭蓋骨の中にある。生物型の魔物と違ってね。

心臓が無い魔物は魔石が胸に無くて、頭の部分にあることが多い。実態が無い魔物は倒すと魔石が落ちてくる感じだな。スライムとかは体内に核と魔石がある感じだが、アレは不定形だからね。あ、魔物全てに核があるわけじゃないよ。魔物と他の生物を区別するのは魔石を持っているかだから。魔物のネズミと獣のネズミとかは見た目も大きさも同じだしね。日本人がイメージするモロ魔物ってのも多いけど。ゴンちゃんとヴァンちゃんみたいな竜とか亜竜とかさ。この世界の基になった世界にはロールプレイングゲームみたいな(ことわり)の世界もあったみたいで、その世界の残滓として、この世界の(ことわり)が多少影響を受けている。まあ、ゲームみたいに能力が数値化されていたりしないけど。レベルとかも無いしね。ダンジョンとかは影響が大きいみたいで、ゲームみたいにドロップ品を魔物を倒すと得られるのは、ゲーム的世界の影響が大きいな。

話がそれたけど、千里眼で確認したが王都以外の串刺しどもも同じだな。死体が腐り落ちたら燃えるようにしておくか。距離関係無しで調整可能だしね。

死体が腐れば、骨などが崩れ落ちるだろうし。実際の死体は、理科室とかにある骨格標本みたいにブラブラしないから。骨同士が繋がっているわけじゃないから、バラバラになってしまう。

この世界にもスケルトンと言う骨の魔物がいるけど、魔力で骨が一体となって動いているだけで、構造的にはバラバラになるはずなんだよ。この辺は、摩訶不思議の力がある世界ならではの(ことわり)だ。

まあ、魔物の説明は良いか。

死体も見慣れたんだろう。王都出入口を出入りする連中は、普通に列を作っている。

まあ、日常的に移動を行う連中は、死体も珍しくは無いからだろう。移動中に野盗や魔物に襲われる世界だからな。神域の情報だと街道を外れた場所で襲われて死んだ者の死体は、そう珍しいモノでは無いようだし。

小規模の村などでも、山菜取りなどで年に何人かは死ぬようだからな。

出入りしている連中を観察すると商人や護衛の冒険者がほとんどだな。農民と思われる連中が野菜などを運んでいるようだが、優先で入ってるな。魚などは街に河からの水路が通っているので、そこから搬入されるようだ。城の上空に飛んだ時に見えたよ。

食料の搬入は優先しないと不味いからだろう。運ぶのにも時間が掛かるし、生鮮食品はね。

この世界にも冷凍や冷蔵の知識と技術はあるが、魔道具の冷蔵庫は高価で普及はしていない。まあ、冷蔵庫と言っても氷を入れて冷やす方式だけどね。

冷蔵庫とかは金属を多く使うのと魔道具でもあるせいで高価になる。魔道具であるのは、氷を作る装置部分だけど。

冷凍は魔導士に凍らせて貰うことになるし、解凍が難しい。まあ、氷を作る魔道具の部分に入れておけば、冷凍できるかと言えば可能だけど、氷が出来る程度にしか冷えないから微妙ではあるね。

冷凍の魔道具も作れるはずなんだけど、作られていないね。あれは、魔力が結構必要で、出力を一定にする必要もあるから、作るのが難しいけど。


紙 「魔族対応で各国の連中が来るまでは、死体持つかな?まあ、バラバラになっても良いか。俺のことは聞いているだろうし。」


串刺し死体どもをデータシート改変で設定調整しておく。崩れ落ちても触ると爆発するままだと問題だ。この世界の連中を守る必要ないのに魔物除けになるからね。


ゴンちゃん 「二・三日は大丈夫だと思います。」


ヴァンちゃん 「天気も崩れそうにないですし、気温もそう高くないですから持ちますよ。」


この世界の今の季節は、秋から冬になるあたりだ。ネンドバーンは日本よりも緯度が低い感じになるので、冬でもそれ程寒いわけでは無いが、夜間や早朝などは多少冷え込む。暑さもそれ程厳しいわけでは無い(最高気温25℃ぐらいだ。平均すると昼の気温が20℃程度だ。)不思議な環境だが、常春とかの感じでは無いな。

地球より惑星自体が大きいのと摩訶不思議の力がある世界なので、地球の環境とは違う部分がある。気温の変化が一年を通して大きくないと言ったところかな?冬でも滅多に降らないようだが、雪が降ることもあるようだし。


紙 「皆が言うなら大丈夫だろう。この後どうするかな?市場とか午後だから大したものは無いだろう?武器とか見ても仕方が無いしな。大概のことは魔法で済むから、魔道具とかも必要無いし。食い物ぐらいか。」


データはあるから、別に問題無いしな。

野営する必要がある場合でも日本でデータ化したキャンプ用品もあるし、神代さんがくれたデータもあるしね。そっちにはキャンピングカーのデータとかもあるしさ。”特殊能力:紙”にも野営向けの能力あるからね。


お面 『旦那、酒屋の酒を買い占めるというのはどうでやしょ?』


紙 『おお!それ良いな。移動時の飲料水が不足すれば、嫌がらせになる。』


赤熱 『良いでは無いか。』


白熱 『間接的だが効果的だ。』


通常、お面は俺にしか見えないから(データーシート改変で設定しないと他の者には見えない。根神さんや神代さん達”在るモノ”は認識するけどね。)、意見があれば発言するようにサポートを頼んだんだよ。念話で俺と魔剣、従魔の二人にのみ聞こえるようにしてね。


ゴンちゃん 『それは良いですね!貴族の屋敷にあったのも葡萄酒でしたから、酒屋なら他の酒がありそうです。』


ヴァンちゃん 『葡萄酒も赤しか無かったですからね。白があるかも知れません。ピンクやシードルもありそうです。』


ピンク?なんだそりゃ。…あ、ロゼのことか。この世界の酒は基本的に薄いか甘いモノが主流だが、地球の物に近い物もある。これは、遺伝子組み換えで酒を生み出す植物を生み出していた世界の残滓が植物系魔物になった魔物から得た酒を参考にして作られたモノがあるからだ。エールも濃い味(ビールに似た奴とかね。)で酒精が高い物もあるようだ。まあ、流通量は少ないようだがね。神域の情報を思い出したよ。以前説明したことと違う説明になっていたら、クリミナルから引き継いだ力が馴染んで情報の修正が出来るからなんだよ。神(仮)だけど、おっさんだから記憶違いしている場合があるんだよ。あまり気にしないで欲しい。突っ込まれると小心者の作者がビビる!それは勘弁して欲しい。

話がそれたけど、この世界でも呑兵衛ってのは、美味い酒を飲むための努力は惜しまないようだぞ。まあ、地球と同様に酒を造るのは許可制で管理されているから、密造酒を造ると奴隷落ちだけどね。昔の日本みたいに農家がどぶろくの様な感じで自家消費する分はOKらしいけど、少しでも販売すると駄目みたいだ。造っているのはどぶろくじゃなくて、ビールの原形みたいな奴だな。古代エジプトなどで造っていたパンを入れて発酵させるとか何とか。興味無いから、この辺の情報は聞き流したんだよねぇ。

魔物から得られる酒の方が質は良いようだ。酒精の高い蒸留酒やカクテルの様なモノなどを生み出す魔物もいるらしいから、消滅した世界の技術はすごいよね。ワインやウイスキーとかも熟成させた味になっている物を生み出すのもいるって神域の情報にあったな。魔法文明の進んだ世界でも酒文化が進んだ世界もあって、その残滓も取り込まれているんだったかな?この辺の情報は、あまり気にしなかったんだよね。しかし、この世界の摩訶不思議の(ことわり)って色々凄いよね。

まあ、酒が好きじゃない俺には理解できないけど。


…あ、魔導士が同行するなら水属性の魔法使えば飲料水は確保できるか。生活魔法じゃなくてもね。水球を生み出す魔法があるけど、あの水は飲用可能だったな。まあ、魔力の無駄遣いすればいいよ。水筒に使う皮袋もあるけど、水は腐るからな。水樽と言う比較的水を保存できる木材(殺菌・防腐作用がある木材がある。)で作られた樽もあるけど、運ぶのが大変だ。


よし!酒屋へ行くとしよう。


紙 「案内役よ、この世界の酒を調達する。オススメのつまみになりそうな食い物があれば教えろ。串焼きなどの屋台もあるんだろう?それも調達する。酒屋へ案内しろ。」


案内役どもは成人しているとは言え、酒に詳しくは無いから酒屋の案内だけだな。困惑した顔しているし。

まあ、それも詳しくないようなので、俺の特殊能力で探すとするか。

城の連中以外の隷属は解除しておこうかな?王都の連中を隷属したような気もするから…。

お面に確認すれば分かるけど、あきれられるから。別に隷属していない奴を解除しても何も起きないだけだし。

どうでも良いようなことは、つい忘れるんだよ。おっさんだから。

それに、隷属解除しておく方が色々イベントありそうだし、念のために解除する方が良いだろう?

ま、呪いはかかったままだけどさ。



◇◆◇◆◇◆



王都中の酒屋を巡って酒を買い占めたが、いくつかの店で買い占めは止めてくれと懇願されたよ。

ゴンちゃんとヴァンちゃんが従魔で一緒なのは知られているから、誰も文句言ったりして来ないんだよねぇ。土下座で買い占め止めてくれってだけだよ。酒屋にいた他の客とかもさ。

勿論無視したがね。他の客は追っ払ったし。泣きそうだったけどね。嗜好品ではあるが、必需品でもあるからなぁ。

まあ、そんなことはどうでも良いが、大量購入なので値切りまくったぞ!

俺の交渉はこうだ。


紙 「金を払うだけ有難いと思えよ。文句があるなら徴発するぞ!その場合は金を払わん。全部買うから、値引きしろ!普通なら”2割3割引きは当たり前!”と言うところだが、俺は違うぞ!2掛け3掛け当たり前!1掛けで寄越せ!」


もう無茶苦茶である。読者さんで2割3割引きは分かっても、2掛け3掛けが分からない人もいるかもしれないので説明する。

この”2掛け3掛け”と言うのは、要は販売価格の2割とか3割で売れと言っているのだ。割引で言うと7割8割引きという事だな。俺の言った1掛けと言うのは、1割で売れ!つまり9割引きにしろって言っているのだ!

無茶苦茶言っているのは承知しているので、データシートで確認すれば原価と人件費などの経費の情報も分かるから、それに少しだけ色を付けて買ってやった。

酒屋の店主などが恨めしそうな顔をしていたが、文句言えよ!殺してやるから。

飲食店や冒険者・商人どもに恨まれればいいのさ。

俺を恨むのはウエルカムだからな!


”来いよ!オラオラ!どうした?”ってなもんでね。来たらサクッと虐殺だ。


そんな事を考えているとメイド見習いから質問だ。


メイド見習い 「あ、あの…。勇者様、このような大量のお酒をどうなさるのでしょうか?お飲みになられるのですか?」


紙 「味見するだけだ。俺には大型の従魔がいるんでな、竜も亜竜も酒好きだから無駄にはならん。」


ゴンちゃん 「矮小なる人族よ、我が本来の姿で飲むなら、ジョッキ1杯分にもならん量だぞ。」


ヴァンちゃん 「その通りだ。ドラゴンもそうだが、ワイバーンでも同じだ。空を飛ぶ我らの飲む量が分からんのか?」


飛行するというのはエネルギー消費が大きいから、大量に飲食する必要がある。ゴンちゃんのジョッキ1杯分は極端な例えだが、大型の竜や亜竜にとって樽のサイズのバレルとかバーレルが、人の感覚で言う大ジョッキ1杯程度だな。まあ、日本のビールジョッキには規格が無いらしいから、店によって容量が違うらしいけどね。こっちの世界だと量り売りで、大ジョッキで800ml程度だったかな?ゴンちゃんたちが言っているジョッキのサイズが分からんけどさ。こっちの世界にもコップやジョッキの大きさはいくつかあるし。税金の関係でドイツみたいに規格が決まっていたかな?確か。俺は酒嫌いだから気にしていなかったんだよね。酒好きの竜や亜竜の言うジョッキって、ドイツのビールジョッキの1リットル入る奴じゃないだろうな?この世界にも同じサイズのがあったはずだ。妙なことだけ覚えているんだよ、俺は。あ、樽のサイズのバレルとかバーレルって言うのは、180リットル~200リットルの奴だ。酒屋には色々大きさが違う酒樽があったから、ジョッキ1杯分と言うのはちょっとオーバーだけど。

確か小さい樽の方が、酒が木材に接触しやすいので熟成が早いんだったかな?この辺は情報が正確じゃない。俺は酒が嫌いだから、その手の話は聞いても覚えないからさ。酒屋だけど造り酒屋じゃないから、酒樽が倉庫にあっただけだけどね。酒は水質が良くて水量が豊富な場所で造っている様だぞ。水みたいなエールは、移動中の飲料水替わりでもあるから街でも造っているみたいだけど。

酒屋にあった樽は、ウイスキーなどに使われる感じの樽だけだった。大きな神社に行くと奉納された日本酒樽があったりするけど、あんな感じのは無かったね。あれは桶屋さんが造るそうだけど、大きな奴は4斗樽で上げ底でなければ72リットルだな。これには、(こも)を巻いた菰樽と言うのもある。工事屋だったから、振舞い酒でこの手の樽酒を用意することもあって教わったんだよ。大きな現場だとお祝い行事とかがある時があってね。まあ、4斗樽を使うことは普通無いけど、見た目のインパクトがあるので上げ底のを使う場合はある。興味があれば調べて欲しい。あ、たまに焼酎の量り売りで使っている洋樽(ワインとかウイスキーで使う形の奴ね。)で450リットル入りの樽が店にあったりするけど、あれはパンチョンって呼ぶ大きさだな。パンチョン樽は480リットル~520リットルの容量だったかな?


そうそう、暗黒大陸に生息する生物は栄養価も高く、高カロリーだ。暗黒大陸は水源も豊富だし、食肉を生み出す植物系魔物なども大量にいる。こいつらはすぐ増える。蟲やネズミなんかを捕食して養分にしてる。小型の魔物とかもね。植物系魔物は、甘い樹液とかで捕食対象をおびき寄せるんだよ。蜂や蜂の魔物とは共生関係だけど。後は蠅かな?共生しているのは。蠅と共生して、蠅を捕食する蛙とかを捕まえて養分にするんだよ、確か。

話を戻そう。


ゴンちゃんとヴァンちゃんに説明されて、メイド見習いは怯えている。


紙 「メイド見習いよ、怯えなくても良いぞ。別に質問したからと言って、殺しはしないからよ。言っただろう?魔族の攻撃で死ぬのを見物するってよ。生き残ったら、俺が殺すけどな。」


良い笑顔で物騒なことを言ってやる。メイド見習いは一瞬安心したけど、俯いた。

慰めてやる必要無いしな。俺は味方じゃないんだから。

あ、そうだ。


紙 「そう言えば、飲食店や宿屋にも酒あるよな?そっちも買い占めるか。ついでに飯食うか?案内役どもにも奢ってやるぞ。」


金はデータがあるので、別に支払いに困らんから高級店でも良いぞ。

冥土の土産って奴だ。一緒なのはメイド見習いだけどね。

まあ、データで複製しなくても金はたっぷりあるけど。各国から没収しているからさ。

俺の言葉に案内役どもがギョッとしている。


メイド見習い 「ゆ、勇者様、それはお止めください!お願い致します。」


魔導士見習い 「勇者様、お願いです!そんなことをすれば、暴動が起きます。」


騎士見習い 「酒屋のお酒以外も買い占めるなど、お止めください!そのようなことをすれば、商人たちが商品を確保できなくなります。」


往来だというのに、案内役は土下座して懇願した。


紙 「別にお前らが困ろうが関係ない。大体、王都には水路もあるから、すぐに物資は搬入されるだろう?値上がりするだろうけどよ。」


ゴンちゃん 「主様、私達は別に困りません。」


ヴァンちゃん 「人などが困ろうが、我らには関係無いですからね。」


ゴンちゃんとヴァンちゃんは、鼻で笑っている。

俺らの話を聞いていた連中が、バタバタと宿屋などへ向かっていやがる。酒の確保だな。

ふと見るとメモ書きの様な紐で綴じられた紙束が落ちていた。


紙 「ん?何かの帳面か?それ。」


紙束を指差す。

メイド見習いが拾って渡してきたので確認する。


紙 「ふむ。商人のメモ書きのようなモノだな。…必要無いから捨てておこう。」


そう言って紙束を放り捨てる。届けてやる義理は無いからね。

様子を見ていた魔剣が念話で話しかけてきた。


赤熱 『主よ、主は人などを紙にできたな?』


紙 『ああ。』


白熱 『赤熱よ、あの魔物を参考にするのか?』


赤熱 『白熱よ、呪いも併用すれば良いのではないか?』


白熱 『うむ、そうだな。主よ、人が紙になったものを製本できないか?』


紙 『別に可能ではあるが…。』


赤熱 『そうか。それでは、勇者召喚が危険だという認識を後世まで伝えるのに、呪われた本と言う形で残すのはどうだ?』


白熱 『この世界には、魔導書が魔物になったモノが存在する。倒すと魔法スクロールか魔導書になる。魔物の癖に魔石が取れない連中だが、人を本にするのは良いのではないか?』


ゴンちゃん 『なるほど。呪いを掛けて、勇者召喚が危険だということを話すようにすれば、効果ありそうです。』


ヴァンちゃん 『うーん、でも本だとどこに残すとかも考えないと…。』


紙 『いや、本はアイデアとしては良いんだが、この世界は識字率が低いだろう?見ようとする連中は少ないだろう。』


赤熱 『召喚儀式を行おうとする連中なら、知識階級だろう?』


白熱 『赤熱よ、ヴァンちゃんの言う通り、どこに本を残すのかも考える必要があるぞ。』


紙 『まあ、そのアイデアは、取り合えず保留にしておこう。』


宿屋や飲食店へ行って酒の買い占めをしようと思ったが、出遅れたので店に行くのは諦めて、商業区の広場にやって来た。

屋台がある場所だそうだ。

…何か石像がある。


紙 「何の石像だ?」


メイド見習い 「あれは、歴代の勇者様です。」


紙 「同胞の像か。人攫い国家のメソポ王国に召喚勇者の像とはな。同胞を奴隷扱いしたくせによ。」


そう言うと、案内役や周りの連中がバツが悪そうに俯いた。

同胞の像を眺めているとヴァンちゃんが念話で話しかけてきた。


ヴァンちゃん 『主様!閃きました。勇者召喚が危険だという認識を後世まで残す方法。』


紙 『ん?どんなのだ。』


ヴァンちゃん 『石化ですよ!石化。』


ゴンちゃん 『おお!石化か。それなら後世まで残るな。』


紙 『石化か。見てすぐ分かるな。魔法で”召喚勇者参上!”とか石碑付きにしてやれば良いな。』


赤熱 『良いでは無いか。主も従魔も石化魔法を使えるからな。我らは出番が無いが。』


白熱 『主の従魔は石化ブレスや石化毒も使えるし、効果的だと思うぞ。』


紙 『確か、この世界の石化の魔法などは、急所である心臓や脳が石化してしまうと元に戻らないんだったな。』


ヴァンちゃん 『ええ、死にます。元に戻せるのは完全に石化する前ですね。』


ゴンちゃん 『一瞬で処理できますから問題無いです。瞬間的に石化も可能ですから。遅効性の石化で苦しめることも可能です。状態異常解除には強い魔力が必要ですから、我らの石化魔法などを解除するのは無理でしょう。我々の様に石化が使える生物や石の魔物などは石化しませんが、普通は耐性も無いですし。』


紙 『では、石化で対応する方向で考えよう。今日は、屋台の食い物を買って戻るとしよう。』


ゴンちゃんが自分達は石化しないと言ったが、俺がデータシート改変すれば石化するよ。

まあ、この世界の連中での(ことわり)だね。

俺の”特殊能力:紙”ってのは、その名の通り特殊だから。


処刑方針が決まったところで、屋台で大量買いを行った。

データシートで確認したら、薄利多売だったので値切らなかったよ。

屋台の店主はビビりまくっていたけどな。

俺の肌の色や服装で召喚勇者なのは一目瞭然だから。

何を買ったかは、次回説明するとしよう。

酒の買い占めは多少効果があるだろう。

不足分を補充するにしても発酵食品だから、造るのに時間が掛かるから。

まあ、水みたいなエールなら、すぐできるだろうけど、ワインなどはね。

さあ、城に戻るとしよう。



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